Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

今年の夏はイケてない

今年の夏は駄目だ。

去年、一昨年と7月、8月は札幌に旅行していた。旅行とはちょっと違うか。テナーSaxを担いで、札幌でバンドの仲間と一緒に演奏をした。一昨年はファンク系の曲と映画やドラマのサントラがレパートリーの中心だった。去年の夏は、シティ・ポップが主な演奏曲だった。このバンドはメンバーが殆ど変わっていないのに、やる曲が毎年変わるのである。出世魚のようだ。

今年、バンドは札幌シティジャズに参加することを画策していた。日程も決まっていたし、俺も早々とホテルと飛行機のチケットを予約するつもりでいた。ところが、バンドが札幌シティジャズに申込をしようとした時点で、既に応募は締め切られていたらしい。
こればかりは誰が悪いということでもない。唯一悪いものがあるとしたら、運が悪かったとでも言うべきか。

毎年、夏は札幌に行ってSaxを吹く、というのが俺のライフワークになるかなと目論んでいたが、3年目で頓挫してしまった。残念でならない。だが、札幌でSaxを吹くことが未来永劫絶たれた訳じゃない。今年駄目だっただけだ。また来年を目指せば良い。そう気持ちを切り替えた。

7月になり、或る日バンドメンバー募集サイトを通じて連絡が来た。(この話は以前も書いた
ファンクバンドにテナーSax奏者として参加してきた - Some Were Born To Sing The Blues)
ファンクバンドをやっているギタリストから「一緒にバンドをやらないか」という誘いだった。これは渡りに船だ。この機会を断る理由はどこにもない。正直、ネットを通じてのバンド募集への応募はある種の賭けに近い。何しろ、判っている情報が、年齢、性別、担当楽器、そして好きなジャンルやミュージシャン程度しかない。年齢が近くて、同じミュージシャンが好きだから意気投合するとは限らない。互いの相性というものがある。また、バンドは複数メンバーでやるのが常だから、Aさんとは良い感じになったが、Bさんとは馬が合わないなんてこともよくある。

そして実際に初リハーサルに行ってみると、なかなか良い感じでリハは行うことが出来た。個人的には俺のSaxはそれほど悪くなかったつもりである。ギター、ベース、キーボードと俺のSaxもそれなりに嵌っていたという感触はあった。
そしてリハ後に飲みに行こうという話になり、ボーカルのHさんとは今後も良い付き合いが出来そうだなという空気があった。Hさんも俺に対して悪い印象は持っていなかったという自負はある。

ところが、初リハから1週間ほどが過ぎた時に、ギターであり発起人のNさんから「キーボードが見つからないのでバンドは解散します」と一方的にバンドのグループLINEにメッセージが届いた。
え? 寝耳に水とはこのことだ。元々、初リハに参加したキーボードの人は他にも4つバンドを掛け持ちしていて、もうこれ以上のバンド活動は無理だと飲み会の席で言っていた。俺自身も複数バンドを並行してやっていた経験があるが、正直2つ程度が限界だと思う。それ以上になると、個人練習の時間とバンドのリハーサルの時間で、自分の自由な時間が殆どなくなる。時間の自由がなくなるのもきついが、精神的にも色々なプレッシャーからキツくなる。本来、楽しい遊びであるバンドが、むしろ逆に辛くなってくる場合すらもあるのだ。

だが、まだ今のメンバーでリハは一回しかやっていないし、キーボードがいないなら、キーボード不在で今のメンバーだけでバンド活動を継続し、新しいキーボードを探して行けばいい。俺がそういった意味のことを言うと、発起人のNさんは「うちのバンドのレパートリーはキーボードが肝だから、キーボード無しならやらない」という意味の言葉を返してきた。
正直言うと、俺の知らない裏で何かメンバー間で揉め事があったのかもしれない。だが、そんなことは詮索しても意味がないし、無駄だ。諦めた。
せっかく良い感じでやっていけそうだと手応えを感じたファンクバンドは、初リハ一回で空中分解。

今年の夏はSaxを吹く大きな機会が二度もあった筈なのに、そのどちらも俺の手からすり抜けて行った。ファンクバンドが解散(というか、まだ結成もしていなかったが実情か)して、俺はすっかりやる気を削がれた。
ピアノも全く弾かずに次のレッスンがやってきた。俺は小芝風花似の優香先生に、ファンクバンドが駄目になった経緯を伝え、「なんかそれでモチベーション下がって、ピアノを弾く気になれないんだよねー」と言い訳をし、レッスンは中途半端な形でお茶を濁して終わった。
今年の夏は駄目だ。

愛用していたブレスレットの紐が切れた。おまけに母親から貰ったオヤジの形見のブレスレットも壊れた。
今年の夏は駄目だ。だが、それで良いのだ。生あるものはいつか死す。形あるものはいつか壊れる。

「よし、中華街に行って新しいブレスレットを買おう」
相方を誘って、中華街に出掛けた。なんでブレスレットを買うのに中華街? と思われる方もいるかもしれない。俺が前回買ったブレスレットは中華街の中にある店で購入したのだ。俺のメインの目的はブレスレットを買うことだが、相方には「美味い中華でも食べよう」と誘っていた。
相方に「店を探しておいて」とお願いしておいたところ、中華の食べ放題の店を探してきた。中華街のメインストリートから一本横に逸れると雑多な感じがして非常に楽しい。今現在、横浜の中華街は食べ放題の店が滅茶苦茶多いが、正直ピンキリなので、何も考えずに飛び込みで入ると失敗することもある。

今回は相方の選んだ店だ。俺は味音痴なので、だいたいどれを食べても問題ないし、仮に不味くても相方が自分で選んだのだから、相方も文句は言うまい。

ということで、麻婆豆腐、エビチリから始まり、一番最後の〆の担々麺までかなり食べた。料理の量がだいたい通常の一人前の3/5程度のボリュームで複数食べるのに適している。相方が炒飯を食べたいと注文したら(写真撮り忘れた)、これが普通に一人前程度あり、これで相方の胃袋はギブアップ。

「思ってたより量が多い!」と相方は文句を言っていた。俺は最後に何があろうとも〆でラーメンを喰うつもりだった。相方とシェアした炒飯で、もう腹一杯だったが、意地で担々麺を頼んだ。

最後の最後に相方は「杏仁豆腐」をデザートに食べていた。俺が「女性の言う、甘いものは別腹ってホントだな。よく喰えるな」と感嘆していると相方が返してきた。
「男の人って、本当にお腹いっぱいになるまで食べるでしょ。女性はね、ちゃんとデザートの分も考えての【お腹いっぱい】なんだよ」
へぇー。初めて知った。なるほどね。
中華食べ放題とソフトドリンク飲み放題(と言っても烏龍茶くらいしか飲みたいものがなかった)で、おひとり様2,800円程度。これで晩飯が要らなくなるくらいまで腹が膨れるのだから、リーズナブルである。

その後、お目当ての店に行き、無事にブレスレットを購入。これはなんでも金運の神様が宿っているブレスレットらしい。前回もこれを買った。この店では、健康運や仕事運、恋愛運などの神様を宿したブレスレットもあるのだが、前回も今回も俺は金運の神様一択である。
無事にブレスレットを購入し、満足し帰宅する。

今年の夏は駄目だったが、ずっと駄目な訳じゃない。禍福は糾える縄の如し。よし、とりあえずSaxメンバーを募集しているバンドに声を掛けてみよう。あと、blogを通じて知り合った”ひめ様”
ZiZi Joint Live 「カーペンターズ&オールディーズ」 - つるひめの日記
がオールディーズをやる時は声を掛けて貰えるかもしれない。そう、可能性はゼロじゃない。
俺がSaxを吹くことをやめない限り、可能性はゼロじゃない。

今年の夏は駄目だった。だが、秋がそうとは限らない。そして冬がどうなるかも判らない。まだ勝負は終わってはいない。