Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

5番目の恋人がやってきた

タイトルだけ読んで、何やら艶っぽい話でもあるのかと想像した人はいないだろう。そんな話がある筈もない。
では、5番目とは何か。楽器の話である。

中学生の時にギターを弾き始めた。同じクラスの横山君というオタク少年にギターを教えて貰い、俺はコードを覚え、ギターの弾き方を学んだ。当時、中島みゆきのファンであったので、彼女の歌をギターで弾きたいなと思ったのが、ギターを始めた切っ掛け。
同級生の由利ちゃんが「ギター弾ける人って格好良いよね!」と呟いたことは、俺のギター歴に一切影響を与えていない。本当だぞ。由利ちゃんは、身長163センチで足が長かった。放課後、教室でブルマ姿(昭和の遺物だ)の由利ちゃんとお喋りをしながら、彼女の長い足が綺麗だったのを今でも昨日のように覚えている。由利ちゃん、元気かなあ…話が逸れまくった。由利ちゃんをデートに誘って断られたのも、今でもよく覚え…だから、しつこいよ。本題に戻れ!

本題に戻ります。中島みゆきのファンだったが、「フォークソング」というジャンルそのものにはあまり興味がなかったので、すぐにフォークギターには飽きた。横山君の影響で洋楽ロックを聴き始め、高校生の頃はアコースティックギターからエレキギターに鞍替えした。ところが残念なことに、俺はギター習得能力が低く、ロックギターはちっとも上達しなかった。
大学で演劇部に入り(何故ロックギターをやろうと思っていた男が演劇部に入ったのか、今でも謎だ)、演劇部の仲間とバンドを結成し、リードギターを担当した。どうして演劇部で芝居をやらずにロックバンドをやっていたのか、今でも謎だ。謎が多い。

社会人になってもそのバンドは存続していた。が、社会人バンドマンあるある話で、ベースが「仕事が忙しくなったから、バンドを抜ける」と言い出した。ベースのいないロックバンドは音が締まらず間抜けである。暫くベースレスでやっていたが、ベースを弾けそうな知り合いがいなかったので、俺がベースをやることにした。26歳の時だ。それからバンドが自然消滅するまでの約5年程、俺はベースを弾いていた。ギターの下手糞な奴がベースを弾くとどうなるか。無論、下手糞なベーシストが出来上がるだけの話。それでも、ベースを弾いていた時は楽しかったし、ギターにはない面白さも見つけられたので、あの時期は良かったと思っている。実際、ベーシストとして、ライブも4回経験出来た。

30代になり、バンドも消滅し、やることがなくなったので、ひたすら酒と***に溺れていた。今思い返してみても、無益で無駄な時間だった。だが、時として、そういった時間も必要な気がする。酒と***に溺れずにSaxをやっていれば良かったと後に何度も思ったが、あの不毛な何年かを過ごしたから、結果として今の俺があるのは間違いない。

38歳の時に知り合いの若者のblogを読んで、「俺はSaxをやらなくては!」と決意し、Saxを始めた。この話は過去に何度か書いたことがある。彼が「僕は今年、フルートをやります!」とblogで宣言したのだ。それを読んだ瞬間、俺は「Saxも吹かずに酒と***に溺れて、何やってんだ」と反省したのである。もう、彼とは会うこともないし、彼は俺のことを忘れているだろう。だが、もし会えたら礼を言わなくてはならない。「君のお陰でSaxを始めることが出来た」と。

Saxを始めて、色々なジャズ狂の人のblogを読む機会が増えた。とあるジャズ好きの女性blogに「鈴木道子のボーカルは最高だ」と書かれていたので、彼女のライブスケジュールを検索したところ、吉祥寺にある「Sometime」というジャズバーで歌が聴けることが判明した。ちなみにこの「Sometime」は、「孤独のグルメ」に出て来たこともある。良いジャズバーだ。横浜からでは遠くて中々行く気になれないのが辛いところではあるが。

鈴木道子さんのライブを観に行ったのだが、俺はその時バックのドラムに魅了された。一目惚れならぬ一聴惚れという奴だ。正直言って、それまで俺はドラムに一切興味がなかった。要するにバンドのリズムキープ役でしょ、ドラムって。その程度の認識。
とにかく、全てが圧巻だった。一言で表わすと、そのドラムはSexyという言葉に尽きる。後にも先にも、あれだけ艶のあるドラムを俺は聴いたことがない。そのSexyなドラムを叩く人は渡辺文男さんと言う。あのSaxのナベサダの実弟だ。
「ドラム叩けるようになりたい」俺は思った。まだSaxを始めて1年くらいしか経っていない。出来もしない楽器を2つやるのは無謀な馬鹿者のやることだ。だが、俺は後先は考えなかった。30代をほぼ楽器や音楽と無縁で過ごし、無駄に人生を費やした。躊躇している時間は俺には無い、そんな意識だった。

それから、50歳目前で俺は仕事の関係で札幌に引っ越した。20代から40代を東京で暮らした俺には、札幌の雪は脅威でしかない。札幌でも無論、Saxは続けるつもりだったが、降り積もった滑る雪道の中、テナーSaxを担いで教室に行くのは札幌素人には難易度が高過ぎる。こけて、Saxを傷物にしたくない。そこで「そうだ、前からやりたかったピアノを始めよう」と決意する。ピアノなら、譜面だけ教室に持っていけば良い。相方から譲って貰った電子ピアノは札幌のマンションまで運んであった。
残念ながら札幌生活が2年半程度で終わり、また東京へ転勤となった。東京の仕事は地獄だった。仕事の忙しさ、その仕事からのプレッシャー、東京での独り暮らし、コロナによる音楽教室の休校、それらの複合的要素のせいで、札幌で始めたピアノはちっとも上達しない。いつまで経っても万年ルーキーのままだ。

ギターは、古い友人とアコースティックギターデュオでローリングストーンズのカバーをやっていたのだが、どうもこのデュオもまた自然消滅しそうな気配。だが、ライブも多く経験したし、これで終わっても良いかなという気もしている。終わるというのは「バンドでギターを弾くのはもういいかな」という意味だ。ギターを弾くこと自体を止める訳じゃない。
今も1曲、1人で弾きたい曲を見つけたので、ちまちま練習しようと思っている。弾けるようになったら、動画を撮って、youtubeにでもアップして、それで自己満足していれば良いといった気分である。このblogに動画のリンクを貼れば、心優しき閲覧者の方が、10人くらいは見てくれるんじゃないか。

Saxは俺にとって最上位のヒエラルキーに位置する楽器なので、これはもう死ぬまで止める気はない。それにしても、Saxはよく考えるとパーマネントなバンドに入ったことがない。本当の理想はジャズのカルテット(Sax、ピアノ、ベース、ドラムの4人編成)でテナーSaxを吹くことなのだが、俺の腕ではそれは無理だ。
だから、代わりに歌物バンドでSaxが吹けたら良いかなあと思って、バンドメンバー募集サイトをよく覗いては「Sax募集しているバンドないかなー」と物色している。
よく考えたら、一応俺は札幌の某バンドの正式メンバーなんだよな、テナーSax担当として。過去に2回にしかライブに参加してないし、普段のリハーサルは当然参加出来ないけれど。
今年、バンドは「札幌シティジャズ」に参加するらしい。それに合わせて7月には札幌に行く予定だ。ってゆーか、俺はバンドをまだ馘になってないよな、師匠(札幌の友人への個人的呼びかけ)?

ピアノは相変わらず、ピアノ教室で小芝風花似の優香先生にしごかれながら、ちまちまと練習を繰り返している。左手でコードをじゃらーんと弾いて、右手でメロディを弾く程度のレベルでしか弾けない。だが、焦っても仕方がない。ピアニストとしての俺の野望は、死ぬまでに「ブルース・ピアニスト」になることだ。ジャズバーに行って、バーボンをロックで飲んだ後に「マスター、ちょっと弾かせて貰ってもいいかな」とお願いして、下手なブルースピアノを演奏するのだ。これが夢なんだけど、多分実現する前に、お迎えが来るだろう(笑)

そして、ドラムは去年の3月に、当時所属していたブルースバンドで解散ライブをやった。それ以降はブルースセッションに参加してドラムを叩くくらいしかしていなかった。
今年に入り、メンバーが見つかって新しいブルースバンドを結成した。去年の3月に解散したバンドでベースを弾いていたIT君、10年くらい前に一緒にバンドをやっていたR(ギター&ボーカル担当)と3人でバンドをやることにしたのだ。こういったバンドの縁が細々と続いているのは良いことだ。

ギター&ボーカルを担当しているRは、このバンドとは別にアコースティックギターデュオもやっている。その相棒のTちゃん(女性。俺も友達だ)から、「この秋にデュオのライブあるんだけど、そのバックでカホン叩いてくれないかな?」と頼まれた。
よく考えてみれば、Tちゃんと初めて会った時も、俺はRに頼まれてカホンを叩いたのであった。
「カホンなんか安いからさー。1つ持っておくと、遊べると思うぜー」「そうそう。値段も安いし」とRとTちゃんは好き勝手なことを言う。だが、カホンも悪くないなということで承諾。
最悪、カホンは今後使い道がなくても、椅子の代用になる(いや、ならない)。ということで、カホンに関しては素人なので、見た目重視で購入した。音なんか判らんし(そもそも通販で買うから、音のチェックは出来ない)。
そのカホンが今日届いた。

ってゆーか、ギターも練習したいし、ピアノ教室の課題曲もやらなくてはいかん。7月の札幌に向けて、Saxもそろそろ練習を始めなくてはならない。多分、5、6曲は演奏するだろう。音を拾ってアレンジを考える必要がある。
そこで、カホン叩いてる余裕なんかあるのか? 無論、ない。
だが、やるのだ。

ギター、Sax、ドラム、ピアノとやっている中に5番目の楽器がやってきた。どう転ぶのかなんて、俺自身も判らない。でも、Sax始めて1年足らずでドラムを始めてなんとかなった(いや、なってない。反語)。ギターも弾いていると楽しい。ピアノは変わらずちっとも上達しないが、大きな野望に向かって突き進むのみ。

そこにやってきた新参者、カホン。おい、お前。先輩達への挨拶を忘れるなよ。出来ればこのニューフェイスが下克上でも起こしてくれたら面白いんだけどな。
ま、とりあえず、やってみるさ。ゴールも定まっていないけれどもね。走り出したら、何か答えが出るだろう。