Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

ファンクバンドにテナーSax奏者として参加してきた

今日、ファンクバンドにテナーSax担当として、初リハーサルに参加してきた。その顛末を覚書として、残しておく。

俺はバンドメンバー募集サイトに「担当楽器:管楽器」でユーザー登録している。自己紹介文には「テナーSax吹いてます。ジャズとロックとブルースが好きです」と記載。また、好きなミュージシャンを書く欄もあるので、そこには自分のお気に入りのバンドやミュージシャンの名前を適当に書いている。
動画のリンクを貼ることも可能なので、俺が過去にSaxを演奏した動画のリンクも貼ってある。

Sax奏者が欲しいなと思っているバンドは、俺の演奏動画を観ることによって、「ははぁ、こいつの腕前はこんなものか」と予め判断することが出来る。俺だって、ハードルの高い要求をされても応えられない。だから、動画を貼っておいたほうが、お互いに不幸になる確率が低くなる。

或る日、そのバンドメンバー募集サイトを通じてメッセージが届いた。
「ファンクバンドをやっています。良かったら参加しませんか」
興味はある、という答えを返すと「上田正樹とサウス・トゥ・サウス」を5曲やるから、まずはコピーしておいてくれとのリクエスト。尤も、そのうちの2曲はSax無しだから、実質やらなくてはいけないのは3曲のみだ。
上田正樹と言われても「悲しい色やね」しか知らん。とりあえず、指定された音源をyoutubeから漁る。ははぁ、こんな感じなのか。
音源をMP3プレイヤーに落として、カラオケボックスに行って4時間程籠る。順番に演奏を聴きながら、音を拾う。当然のことながら譜面なんてものはないので、いわゆる耳コピ(実際の音源を聴いて、自分で譜面を起こすこと)である。
譜面を起こすなんていうと格好良いけれども、実際は下のようなもので、五線譜を使ってはいるが、ドレミファソラシドを五線譜に書くという間抜けな代物である。仕方ないのである。オタマジャクシ書けないので。

そして、俺に声を掛けて来たバンドの発起人であるNさんから「時間が余ったら、【Sweet Home Chicago】もやるから聴いておいて(演奏出来るようにしておいて)」と追加注文が来る。【Sweet Home Chicago】はファンクではなくて、ごりごりのブルースである。俺が過去、そして現在参加しているブルースバンド(こちらの担当はドラム)で、何度も叩いている曲だ。ただ、この曲はSaxで演奏したことは一度もないのだよな。俺はよく考えてみると、Saxでブルースを吹いたことがないのであるな、今まで。正直愕然とした。
いや、Jazzが好きだから、ずっとJazzを吹いてきたとか言うと格好良いけど、アドリブなんかかなり出鱈目だし、フレーズもださい。ブルースをSaxでやる良い機会であるな、これは。こういった「今までやったことのないものが、向こうから転がり込んできた」のなら、それは有難く頂戴しなくてはいかん。
チャンスの神様の髪は前にしか生えてないのであるからして。

バンドのメンバー編成は、ヴォーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラム。ここに俺のSaxが加わる6人編成だ。既存のバンドに新規メンバー(俺のこと)が顔を合わせて初リハーサルをやる場合、それはある意味オーディションという性質を兼ねている。
既存メンバー達はバンドとして固まっている。つまりこのバンドである程度のリハーサルやライブを重ねて、互いの技量や、バンドの進め方、コミュニケーションの取り方が出来上がっている。そこへ新参者のSax奏者(俺)が、リハに参加する。
当然、「今回初リハに参加するSax奏者は俺達のバンドの力量についてこれるのか」とか「こいつ、ちゃんと他のメンバーと問題なくやれる性格なのか」みたいなものを値踏みする場になるのである。
俺も逆の立場で、新規参加見込みのメンバーに対して、オーディション的なことをしたことは何度もある。だからこれは不公平でもなんでもない。新参者はそういった「試される場」に立つ必要があるのだ。それを乗り切れないと、既存のバンドに参加することは出来ないのである。

そして今日スタジオに行き、控室で発起人のNさんらしき人を探す。すぐに見つかり「本日はよろしくお願いします」と声を掛けていると、実は今日のメンバーのうち、俺を含めて半数が初参加であることが判明した。
ははぁ、既存メンバーの入れ替わりがあったのだな。これもまた、バンドではよくあることなので、特段珍しいことでもない。
だが、メンバーの半数が今日初参加となると、オーディションという意味合いがかなり薄れる。それよりも、ちょっとセッション的な緩い感じの練習という体になるのだ。

実際に課題曲をやってみると、思ったよりも気楽にSaxを吹くことが出来、初対面の人達と合わせたにしては、楽しくリラックスして演奏することが出来た。
また、メンバー6人中、5人が喫煙者(俺も含む)であったのもこれまた良かった。昨今、煙草呑みは肩身が狭いので。
割とSaxがフューチャーされている曲を終えたところで、発起人のNさんが俺に向かってサムズアップをしてくる。「Saxいい感じっすよー」と、お褒めの言葉を貰う。
今日の課題曲のうち、2曲はSax無しなので、俺はその2曲は気楽に聴いていればいいやとサボっていたら、ボーカルのHさんから「この曲、ツインボーカルなんですよ。良かったら一緒に歌いましょうよ。歌はNGですか?」と誘われる。俺が「いやあ、歌はNGじゃないっすけど、今日は全然準備してこなかったから」と言い訳をして、申し訳程度にコーラスを入れる。ボーカルのHさんは俺がコーラスを入れると、アイコンタクトをしてくる(オッケー、オッケーみたいな感じで)。

練習後に発起人のNさんから「この後、飲みに行こうって話が出てるんですが、行きませんか」と誘われる。相方に「今日は晩御飯食べるよ」と伝えている。また、酒を飲んで帰ったのがばれたら、即離婚である。2、3杯なら良いかと承諾する。
居酒屋に行き、乾杯を終えて雑談。バンドの練習後の飲み会、ましてや初参加メンバーが3人もいると、大抵話は「どんな音楽聴いてきたんですか」になる。これも互いのルーツを探るという意味でもお約束である。

発起人のNさんが、俺を含めた初参加組の人達に対して「どうですか、一緒にやりませんか」と参加の意思確認をしてくる。俺を含め、3人全員が「参加したいです」と返す。ちなみにボーカルのHさんも初参加組である。
Hさんは俺に「いやあ、達さん。良い感じっすよねー。次も絶対参加して下さいね。次はツインボーカルやりましょうよ」と俺を口説いてくる。どうやらHさんに気に入られた様である。

バンドなんてものは、男と女と同じで、どう転ぶなんかなんて誰にも判らない。なんとなく付き合い始めたら、それが結婚まで辿り着くカップルもいれば、端から見たらベストカップルと思われた2人があっさり破局したりする。
このファンクバンドも同じ。どう転ぶかは正直何も見えない。でも今日は楽しかった。だから次回もデートの約束をする(またこのメンバーとリハーサルを続けてみる)。
それだけのことだ。