Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

仕事で疲弊しているので趣味に没頭したら、今度は趣味で疲弊した…

仕事が地獄の有様なので(あまりこの事については書きたくない)、週末は心穏やかに過ごしたいと思っている。週末に俺の予定が埋まっている場合、それはほぼ音楽に限定されるのだけれども、逆に予定が入り過ぎると今度は余裕がなくなって、大好きな音楽が楽しめなくなる。
どういうことかと言うと、土曜日の昼間にピアノ教室に行き、同じ日の夕方からブルースバンド(担当はドラム)のリハが入っている、翌日の日曜日はSaxのレッスンとかになると「詰め込み過ぎだなぁ…」と感じる。だが、そう思っていても、その週にしかこなせないスケジュールもある。如何ともしがたいのである。

楽器はどうしても「まず練習をするのが大前提」な部分がある。世の中にはミック・ジョーンズ(ロックギタリスト兼キーボード奏者)のように「練習をいつするかだって? 俺はライブが練習の場だよ」なんて嘯くふざけた奴もいる。彼は一流のプロだからね。プロだから許される発言だ。
俺のようにアマチュア奏者としても最下層に属する人間は、ある程度の練習を積まなくてはいけない。そうしないと、ピアノやSaxのレッスンの効率が悪くなる。またドラムに関してもバンドのリハに向けての準備を怠るわけにはいかない。楽器の個人レッスンは自分が自身に「なんでこんなさぼってんのかなぁ」と嫌悪を抱いていればそれで済む。だが、バンドはそうはいかない。俺がきちんとバンドのレパートリーのドラムを叩くことを前提に、他のメンバーも自分のパートを仕上げてくる。となると、スタジオに入って「いやー、すまん、すまん。この曲まだ準備出来てねーんだわ」などとふざけた事を言える筈がない。
バンドのリハーサルの間隔は充分にある。「これだけの期間があれば、新曲も対応出来るよね」という互いのネゴシエーションの基にスケジュールは立てられる。だが、俺の場合はそこに旧友と組んでいるアコースティックギターのデュオがあり、ピアノとSaxのレッスンがある。ピアノもSaxも、どちらもレッスンの課題曲があり、先生から「これはちゃんと復習しておいてね」という暗黙の宿題もある。そしてSaxは、不定期に「初心者歓迎ジャズセッション」にも参加している。
セッションだから、アドリブ(即興演奏)で誤魔化せば良いと思われるかもしれない。だが、そうではない。テーマ(曲の中で繰り返し演奏されるパート)は吹けるようにしておかなくてはいけない。そしてそれが全て簡単に出来る代物でもない。

ドラム担当のバンドでは、俺はバンマス(バンドマスター)の役割も担っている。だから、リハーサルの前に予め「今日はこういった練習をやろう」というリハーサルスケジュールを作っておかなくてはいけない。無論、厳密に遂行される必要は何処にもない。その場で「じゃ、ちょっと変更しようか」があっても許される。だが、それは最初にきちんとした「プラン」があってこその変更だ。最初から何も考えていない、無策の状態で行くことはあり得ない。
バンドメンバーの時間、スタジオ代金を使っているのだ。そこで俺が「いやー、悪い。今日は何にも考えて来なかったわ。みんな、一緒に考えてよ」は無しだ。俺がバンマスじゃないバンドに属していて、バンマスにそれを言われたら、正直キレる。

旧友とやっているアコースティックギターのデュオは上記のドラム担当のバンドに比べるとルーズだ。何しろ2人だから。おまけに相手はもう知り合って30年以上の友人。多少の出鱈目や手抜きは咎められない。だが、こちらのデュオでは俺はアレンジ(編曲)を任されている。つまり新曲をやる時に「この曲はこういった感じでやろうと思っている」というアイディアを提示しなくてはいけない。このデュオの場合、俺だけが責務を負うのは切っ掛けだけで、その後は2人のセッションやトークで色々変化していくから、最初だけ考えれば良い。
ただ、デュオのレパートリーのギターは練習しなくてはいけない。旧友は俺が「この程度はちゃんと弾けるだろう」と想定して来るのだ。そこで期待を下回った演奏しか出来ないと、彼に済まなく思うし、自分自身が「何やってんだ、俺は…」という気分になる。

ここまで書いて思ったけれども、俺は明らかに手を広げ過ぎている。俺が親の遺産で喰っている自由人なら、こういったのもありだろう。だが、そうじゃない。俺は平々凡々なおじいちゃん目前のサラリーマンだ。楽器の演奏テクニックも初級者レベルだ。ここまで色々な楽器やバンドに手を出すべき人間じゃない。
でも、俺はやるのだ。どれもやめるつもりはない。何故かって?
全部好きだからだ。「止めてもいいや」と思えるものが一つもないからだ。

君は仲間由紀恵とミラ・ジョヴォヴィッチに同時にデートに誘われて、どちらかを断ることが出来るか? そういうことだ。