Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

たまには贅沢をしよう

ちょっとした小金が手に入ったので、相方に「なんか美味いもんでも喰いに行こうか」と水を向ける。俺の予想では、寿司か焼肉、しゃぶしゃぶ辺りを選択するだろうと思っていた。
相方は「ホテルのランチ・ビュッフェに行きたい」と言う。お、思ったよりも安上がりで済みそうだ。俺は思う。ランチ・ビュッフェなら、1人辺り2,500円~3,000円くらいだろう。
相方から、LINEのメッセージが来る。「川崎のホテルのランチ・ビュッフェ、1人6,000円だけど、どうかな?」
え? 何かの間違いか。ランチ・ビュッフェで、6,000円て何の冗談だ。ディナーじゃねえんだぞ、ランチだぞ!

「ランチなのに、6,000円もするのか。俺、3,000円くらいで喰えるのかと思ってたよ」帰宅してから相方に言う。
「昭和で(時が)止まってんの? 今時、ホテルのランチ・ビュッフェは6,000円が普通だよー」相方に馬鹿にされる。令和のランチ・ビュッフェは6,000円がデフォルトらしい。嫌な世の中になったものだ。
2人で12,000円か。ランチだぜ、ランチ。やっぱり頭がおかしい、いや誰の頭がおかしいのか既に判らなくなってきた。俺の頭かな?

焼肉喰っても、2人で1万円くらいは行く。だったら、ランチ・ビュッフェでも良いか。俺は了承した。ビュッフェは13:30に予約をしたという。
日曜の午後にホテルにビュッフェを食しに出掛ける。
窓際の席に通される。相方はペーパーナプキンを胸に掛けて、食べる気満々である。とは言え、俺も相方もそれほど喰える訳じゃない。既に50代半ばの老人手前の2人の食事の量なんて高が知れている。

まずは、ローストビーフ、それとサラダは必須だ。歳を喰ってから、野菜を美味く感じるようになったんだよなあ。若い頃は「野菜? そんなもん要らん」って感じだったのにな。人は歳を喰うと味覚が変わるという、味覚の許容範囲が広がると言ったほうが正解か。俺は若い頃から魚よりも肉が好きで、今も肉が好きだけれども、それに野菜も良いなと思えるようになった。

青椒肉絲、鶏の唐揚げ、白身魚のトマトソース煮とメインディッシュ的なメニューをとりあえず取って来る。ローストビーフはお代わりした。やはり肉だな、うん。

正直、今回のビュッフェは飲み物があまり充実していなくて、仕方なくアイスコーヒーとデトックスウォーターを。なんだよ、デトックスウォーターって。ウォーターサーバーの中にフルーツや野菜が入っているという代物。だから、ウォーターと言いつつ、無味じゃない。微妙に甘い。多分だけれども、「デトックス」という言葉に女性が惹かれるのだろう。本当はアイス・ティーが飲みたかった。

最初にメニューを見た時に蟹があるのに気付いてはいた。相方は「今、なんか量が少ないなあ。補充された時に取りに行こう」と言う。俺も蟹は格別好物という訳でもないので、後でいいやと言った感じ。
ホール担当の人が蟹の乗ったプレートをキッチン奥に片付けに行ったので、相方に「おい。多分蟹の補充があるぞ。取りに行くなら今がチャンスだ」と告げる。
俺も蟹のプレートが置かれる台の近くで待つ。と、そこに眼鏡姿の男性が明らかに蟹を待っている。ホール担当の人が山盛りの蟹の乗ったプレートを置く。順番的に眼鏡の男性が先に蟹を取るのを待った。俺は2番目だ。
あまりこういった事は書きたくないのだが、この眼鏡の男性、多分C国の人だと思う。というのも、まず蟹を5本、6本と取り皿に山盛りに取る。取り皿の大きさからして、3本程度が適切な量だ。この時点でどうなのかと俺は嫌な気分になる。そして、蟹の乗っているプレートをトングで引っ搔き回して、下にある大き目の蟹を取る。
こいつがもし日本人だったら、俺は後ろからジャンピングニーを喰らわせているところである。「お前、恥を知れ!」と。
この件に関しては、眼鏡の非常識な男性がC国の人である確証もないし、マナー論を語りたい訳でもないので、これ以上は言及しない。
俺は蟹は一本で充分に満足した。相方はお代わりしていたようである。好きな物を好きなだけ食べられるのが、ビュッフェの良いところである。

相方が「焼き野菜、美味しいよー」と言う。しかし、グリルド・ベジタブルは良いけれども味付けどうするんだと考える。そして「あ、カレー掛けると良いんじゃね」と気付く。キスと獅子唐の天婦羅、それにタルタルソース付きのエビカツ。さすがにビュッフェだけあって、もう混合過ぎて色々あり過ぎである。さらに餃子。もう何というか「とりあえず、全メニュー制覇してやるか」みたいな意味不明な使命感に駆られて、料理を選ぶ。

ここで、トリフュソースのハンバーグを相方とシェア。正直、トリフュソースはよく判らなかった。なんか味わったことのないソースではあるなとは思ったが、そもそもトリフュなんかよく知らない。貧乏人の悲しい宿命だ。

この辺りで、ローストビーフをお代わりし、残すは炭水化物系のメニューのみとなった。ピザは昨日食べたスーパーの冷凍ピザと良い勝負だった。もうちょい、頑張れ、シェフ達よ。ここでサラダのお代わりをする辺り、俺も歳喰ったなぁと思う。野菜を自発的にお代わりしたくなるのだからな。あと5年もしたら、俺もヴィーガンになっているかもな(なってません)。

下は判りづらいと思うが、獅子唐の天婦羅、大根おろし添えの蕎麦。味は正直、立ち食い蕎麦よりは良いか、程度。とか言いつつ3杯喰ったけど。そして、蛤の塩ラーメン、ペペロンチーノと麺が続く。どれだけ麺が好きなのかと言った話である。ところで、これ、蛤ラーメンって誰が信じるんだよ、こんな小さい蛤があっても良いのか?(誰に文句言ってるんだ)

〆で、ビーフカレーとココナッツカレーを食してもう胃袋の限界。これ以上は入らない。最後の最後にデザートのアイスを食べて、ホットコーヒーを飲んでお終い。

帰宅してから、ニュースを見ると、1ドル=157円とかいう洒落にならない状況になっていることをアナウンサーが伝えている。ハワイまで行って、米や食材を持参して自炊している観光客のことをニュースが告げている。
相方が「海外に行ってまで自炊なんて絶対に嫌だー。だったら、国内旅行のほうがずっといいよー」と言う。相方のその気持ちはよく判る。普段、仕事をしながら晩御飯の支度をするのは相方の役目だ。以前は俺も機会があれば晩御飯を作っていたが、今の現場では帰宅がどんなに早くても21時なので、それは無理な話。普段、ほぼ毎日食事を相方は作っている。せっかく海外まで行って、そこで料理をさせられたら、堪ったもんじゃないだろう。俺だって相方にそんなことは強要したくないし、海外で日本食(家庭料理)は要らない。
現地に行ったら、現地の食事を味わいたい。

ハワイでは、丸亀製麵のきつねうどんが3,600円だと言う。それを考えれば、腹いっぱい喰えて、コーヒーや紅茶も飲めるビュッフェが6,000円なのは安いのかもしれない。世界標準で考えればきっと安いのだろう。
しかし、6,000円って、よく考えてみたら、俺の昼飯代の15日分だけど…いや、それは考えてはいけないのだ、きっと。