Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

どうやら来年はエジプトに行くらしい

土曜の朝、10時頃に起きる。相方に「今日は午後からピアノ教室だから、1時ちょっと過ぎに出るよ」と告げる。相方は、夕方から元同僚のF妻と食事に出掛けるとの事。となると、晩御飯は俺1人だ、サッポロ一番で決まりである。味噌にするか塩にするかは後で決めよう。

ピアノ教室に出掛け、小芝風花似の優香先生のレッスン。この人は20代半ばなのだが、俺と会話する時も完全タメ口である。それが優香先生のキャラなので気にならない。今、レッスンでやっている練習曲は「イパネマの娘」である。Aメロがタイの連発、そしてBメロは二拍三連が続くという、俺の苦手なリズムパターンのみで構成される曲だ。二拍三連は以前レッスンでやった「ALL OF ME」でもあった。だが、その時はきちんと二拍三連を自分の物に出来ないまま終えてしまった。今回は優香先生からも「今度こそ、二拍三連をモノにしましょう!」と言われているのだ。さすがに前回出来ないまま逃げたので、今回も「こんなもんでよくない?」と有耶無耶にするのは許されない。

レッスンで、優香先生から「二拍三連出来てるよー。うん、大丈夫ー。あとは曲全体を繋げるだけだねー。それと左手(のリズム)」と太鼓判を貰う。優香先生は本当にこういった口調で俺に話しかけるのである。変に丁寧語で話しかけられるよりは、なんだか楽しい気分になる。俺が日常生活で会話をする20代の女性なんて、優香先生しかいないからな。貴重なのである。
そして、楽器演奏というのはピアノに限らず、自分がある程度「よし出来るようになったな」と実感出来るまでが苦行なのだ。そこを抜けてしまうと楽しさしかないのだが、そこに到達するまでが長い。仕方あるまい。五十の手習いで始めたピアノだ。ギターやSaxのように上手くいく訳がない(ギターもSaxも別段、上手くなってはいない)。

レッスンを終え、ABCマートに向かい、靴を買う。今履いている靴が一足へたれてきたので、交換の時期だ。新しい靴の候補は値段もデザインも何も決めていない。唯一自分の中で決まっていたのは「バーガンディ(ワイン色)の靴を買う」ということだけ。
店に行って物色すると、CONVERSEのバスケットシューズで「これだ!」というのを見つけた。一目ぼれである。店員さんを呼んで、俺に合ったサイズを出して貰う。履いてみると問題無しだったので、即決で購入。ファッショングッズというものは、一目惚れしたら買うしかないのである。
元ファッションブーツ輸入代理店勤務の俺から言わせて貰うと、上着やパンツ(ズボンのことね)に金を掛ける以上に、靴には金を掛けろ。これは鉄則だ。シャツやパンツはユニクロで構わない。だが、靴だけは良い物を買え。安い靴は買うな。
帰宅すると、ちょうど相方が出掛けるところだった。「靴買ったんだー」と見せびらかすと「前も似たような靴持ってなかった?」と呆れられる。あのな、男というものは、そう簡単に趣味がコロコロ変わってはいかんのだよ。一生ずっと同じテイストを愛でるのが男なのである。とか言ってるが、単にファッションの趣味が死ぬほど狭いだけだ。

夕方になったので、晩飯を作ることにした。結果、サッポロ一番味噌ラーメンに決定した。なんか数日前も似たようなトピックを上げた気がするが、細かいことは気にするな。
まずは、野菜とウインナーを炒める。

そして、予めラーメン丼に添付の粉末スープを入れておく。この時、冷蔵庫の味噌を大匙1/2入れる。これで旨味が増す(YouTubeの料理チャンネルの受け売りだ)。

麺を茹でる。丼にお湯と麺を入れて馴染ませ、整える。

最後に野菜&ウインナー炒めを入れて完成。胡椒を死ぬほど振って、さあ喰え。

と、いかに俺が年中同じモノを喰っているかを証明してしまっただけである。そういえば、結婚する前に相方によく「晩御飯何食べた?」と訊かれ、「サッポロ一番味噌ラーメン、具無し」と答えていた。あの頃は、晩飯は殆どそれだった。「今日食べたものが明日の君を作るんだよ」が口癖の相方は、俺からその晩飯のメニューを聴くのが凄く嫌だったらしい。だったら、訊かなきゃいいじゃんね。それに今は野菜とウインナーを入れるようになったのだから、だいぶに進歩した。あ、今日も玉子を入れるのを忘れた。

夜の23時頃に相方が帰宅する。相方から「来年はF夫妻とエジプトに行くよー」といきなり告げられる。え? なんだそれ。時間も遅いので、確認は翌日(日曜)にしよう。

そして日曜は10時半くらいに起き出して、のんびりと過ごす。駅前にキッチンカーが出ているので、そこでランチを済ませることにしようと決める。

相方はタコライス、俺はドライカレー。正直、ドライカレーは今一つだった。

相方から話を聞く。
「F妻ちゃんと飲んでたらね、F夫さんも合流して。で、2人の会社を手伝って欲しいって言われた」
ふーむ。そうなのか。去年の話だが、相方は前の会社を辞めて、北海道で働こうと画策していた。札幌時代に世話になった社長と組んで新しい事業をやろうとしていたのだ。だが、その事業はあっさりと頓挫し、相方は神奈川にすぐに舞い戻って来た。その後、食い扶持を稼ぐために今の会社に就職した。F夫妻は以前働いていた会社の元同僚。2人は新規に会社を興し、その仕事が忙しくなってきたので、仲間が欲しいのだと言う。こうやって札幌の社長や、F夫妻から誘われるというのも、相方の人たらし能力の高さを物語っている。客観的に見て、相方がそれほど仕事が出来るとは俺には思えない。にも拘わらず、こうやって次から次へと「一緒にやろう」と誘われるというのは、或る意味、凄い能力の持ち主なのかもしれない、夫の俺が気付いていないだけで。
「でね、しばらくは週に1回ヘルプして、6月になったら、F夫妻の会社の仕事を本格的にやろうかと思って。勉強しなくちゃなー」
相方は新しい仕事の展望が見えたようで、意気揚々としている。仕事にしろ、何にしろ、希望に燃えているというのは良いことだ。
「でね。F妻ちゃんが夫(俺)のことを聴きたがるんだよね。どんな人なのーって」
「へえ。で、なんて答えたの?」
「酒癖が最悪の人…」
うーむ。否定出来ない。
「お酒さえ飲まなければ、控えめで良い人なんだけどねーって言っておいた」
全然、フォローになっていない気がする。俺は太宰の人間失格か!
「でね。来年、F夫妻と一緒にエジプト行こうって話になったの」
「なんで、唐突にそうなるんだよ?」意味が判らない。
「私がF妻ちゃんにエジプト行きたいんだよねーって言ってたら、F妻ちゃんも行きたいって言い出して。で、F夫さんも交えて、皆で行こうよって」
うーむ。話が急過ぎて、ついていけない。
「でね、夫(俺)は英語喋れるから、通訳で連れて行こうってことになった。だから4人で行こう」
俺は添乗員か!
「エジプトの前にマドリードじゃねーのかよ?」
俺達は最低あと1回はスペインに行きたいね、行きそびれていたマドリードに行こうと話していたのだ。今年は燃油サーチャージや諸々の料金の高さで断念していた。
「スペインは絶対に死ぬまでに行くよ。だから、とりあえず来年はエジプト!」
こうなると、俺に選択権はない。来年はエジプトに行くらしい。とは言え、来年の話なんかしてると鬼に笑われるぜ。

だが、深刻な話や気分がダークになる話をするよりも、明るい話に満ち溢れているほうが、生活が潤うのは間違いない。