Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

週末はジャズセッション

先週末にジャズセッションに出掛けてきた。主催者は俺の習っているSaxの先生だ。去年の年末、Saxのレッスン中に先生が「1月に川崎でセッションやるんですけど、参加しません?」と誘ってくれたのである。
俺がSax教室に通っているのは、バンドでSaxを吹く機会がないから、意図的にSaxを吹く機会を作るためというのがあった。
正直言えば、レッスンだけ受けていても詰まらない。いや、本音で言えばレッスンで吹くだけでもそれはそれで楽しい。もし俺が人前で演奏をしたことのない人間なら、レッスン内での演奏で完結して満足していたかもしれない。だが、やはり人前で演奏しないと。その演奏なんてものは自己満足100%の代物なのだけれども、それでいいのだ。音楽や映画、小説、絵なんてものはアマチュアであれば(商業ベースに乗らない限り)必ず自己満足の世界に行き尽く。f:id:somewereborntosingtheblues:20220118231329j:plain

セッションスタートは19時から。暇を持て余して、18時半には店に着いてしまう。まだお客さんもまばらだ。とりあえず、ステージに一番近いカウンター席に陣取ってビールを注文。無論、楽器演奏する前にアルコールを入れると、必ず痛い目に合う。過去にライブで何度もそれを繰り返してきたのに懲りない。

19時になり、セッションホスト(セッションの司会進行をやる人のこと)であるSaxのY先生がやって来る。Yさんはセッションシートを回覧し始める。セッション参加者は、そのシートに自分の名前、楽器、演奏曲を記入していくのだ。セッションホストとして、ピアノ、ドラム、ベースの人達がいる。彼らも音楽教室の講師の人達であろう。こういった人達がホストだと安心である。素人のこっちがしくじってもフォローしてくれるからね。世のセッションでは、ホストが自分の楽しみだけのためにセッションを開催して、素人や初心者を蔑ろにするケースが少なくない。f:id:somewereborntosingtheblues:20220118231351j:plain

店の入り口にいる人からセッションシートを回し始めたので、一番奥に座っていた俺はエントリーが最後のほうになった。どういうことかと言うと、演奏の順番が回って来るのがかなり遅くなるということだ。別に早く帰りたいとかそういったことは一切ないのだが、問題は自分の番を待っている間に酒を余計に飲んじゃうということだ。飲まなきゃいいだろという意見なんか百も承知だ。そこで「演奏が終わるまではお酒は我慢しよう」なんてことが出来る人間なら、俺はとっくに会社の社長にでもなって、仲間由紀恵を妻にしている。

結局、自分の順番が来るまでにビール5杯、テキーラ2杯くらい飲んでしまった。演奏前に飲み過ぎである。
今回はSaxで"Five Spot After Dark"、"You'd be so nice to come home to"の2曲をやることにした。参加人数が読めなかったから、3曲はちょっと我儘かな?と遠慮したのであった。3曲やっても良かったな。でも、代わりにドラムを1曲叩かせて貰ったから、充分だろう。f:id:somewereborntosingtheblues:20220118231420j:plain

生のバンドでSaxを吹くのはいつ以来だろう。2019年の8月にチェッカーズのセッションに参加して以来だ。今回はジャズセッションなので、メンバーはピアノ、ベース、ドラム。
正直言うと、自分の番が来た時は結構酔っていた。
メンバーがステージで準備出来たところで、ホストであるYさんが構成を確認する。
「じゃあ、ピアノがイントロ4小節、テーマはSax、その後にソロをSax、ピアノで回して、ベースはソロ行きます? ベースソロは無し、と。で、その後に4バースで…」
4バースというのは、各楽器とドラムの掛け合いのことだ。ジャズセッションのお約束。

俺のSax演奏は酷いものだった(いつも通りとも言う)。音は外すし、入りも間違えるし、アウトロ(エンディング)もセッションのお約束を忘れていて、1人で終わろうとしていた。ただの酔っ払いオヤジのダメダメSax演奏である。
一つだけ言い訳をさせて貰うと、ピアノの人がイントロをミスして、イントロの始まりがよく判らなくなった。そのせいでSaxの入りを間違えた。すかさず、ホストのYさんが正しい入りをガイドしてくれる。Saxの演奏が始まってすぐにSaxが二重奏になったのは、Yさんが「正しい入りのフレーズ」を吹いて俺を導いてくれたからだ。

今回動画をアップする為に演奏を聴き直した(演奏前後をカットするなどの編集をしたから)。アドリブの箇所で「ここからは、こういったフレーズが来るだろうなぁ」と自分のイメージした演奏を期待していたら、全然違うフレーズを酔っ払いの俺が吹いていて愕然とした。
俺が俺にダメ出しするとしたら「お前、音を外すのは構わん。でも、あのフレーズはねえだろ。ダセーわ」と言うところだろう。

www.youtube.com自分の番が終わったので、人の演奏を楽しんでいたら、同世代のおっちゃんがドラムで1曲だけ参加していた。しかしその後は演奏する気配がない。俺は彼のところに行き「叩かないんですか?」と訊く。彼が「あの1曲しか叩けないんです…」と恥ずかしそうに言う。おい、俺、少しはこういった謙虚さを見習えよ。
「大丈夫っすよ。せっかくだから他にも叩きましょう」と彼を焚き付ける。Yさんに「彼にも何か叩いて貰いましょうよ」と無責任な発言をする。1曲しか叩けない、ということはきっとドラムを始めて間がないのだろう。ドラム教室でもその1曲しか習っていないのだということはすぐに判る。
だが、ドラムがSaxやピアノと違う点が、音階がない、リズムだけの楽器ということだ。厳密に言えばドラムにも音階はあるし、リズムだけということはない。だが、少なくともここは音楽教室主催のセッションだ。ミスをしたからと言って睨みつけるような奏者はいないし、いざとなればホストが助けてくれる。
その後、彼は2曲ほど連続で叩いていた。ほーらね、出来るじゃん。俺は自分のことのように嬉しくなった。
カウンターに戻った彼に「どうでした?」と尋ねると「楽しかったです」という答えが返ってきた。良かった、良かった。

俺は昔、まだシャッフルが叩けなかった頃にブルースをやらされて(ブルースはシャッフルが叩けないと話にならない)、リーダーの人に「お前のドラム最悪だな」と面と向かって言われたことがある(その人とは初対面である)。
よく俺今でもドラム叩いてるな(笑)その言葉に心折れて、ドラムを止めていてもおかしくない。

セッションはたまに外れもあるが、こういった心優しい人々とやるセッションは楽しい。やはり俺はバンドで演奏するのが好きなんだな、そんなことを再認識させてくれる週末だった。