Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

少しだけ愛が足りない

今日、仕事途中に休憩で煙草を吸っていると、来生たかおの"GoodBye Day"のメロディが頭の中に流れ始めた。何故、来生たかおなのか。何故、"GoodBye Day"なのか。自分でも判らない。

俺のblogを読んでくださるような奇特な方は、俺と同世代のおっさん、おばさんだと思うので、来生たかおの説明は不要だろう。「来生たかおって誰?」というような若い方は、俺のようなおっさんのblogは読まないほうが良い。
さて、俺自身、来生たかおのファンという訳ではない。知っている曲も数曲程度だ。そして、この"GoodBye Day"に関しても特に好きな曲という訳でもなければ、何か想い出の1曲というものでもない。

多分、カラオケで1回くらいは歌ったことがあるかもしれないが、その程度である。ちなみに、ここ10年くらい、俺はカラオケボックスに行って歌を歌ったことがない。もっぱらSaxの練習に行くのみである。歌うのは嫌いじゃないが、カラオケで歌うのは嫌いである(矛盾してるぞ)。俺はバンドや生演奏で歌うのはやぶさかではないが、カラオケで歌うのは御免被りたい。何故かというと、カラオケの演奏は100回演奏しても、一切ミスをしない。毎回同じテンポ、リズム、アレンジで完璧に演奏する。当たり前じゃねーか!と言われそうだが、下手くそなアマチュアバンドマンである俺からすると、毎回演奏が違うからバンドは面白いんじゃねえかと思っている。だから、何度やっても同じ演奏のカラオケで歌うことに面白みを感じられない。多分だが、多くのバンドマンはこの意見に賛同してくれると思う。カラオケで歌うことが大好きな人を否定している訳ではないので、お間違えの無いよう。

この"GoodBye Day"に関しては「良いメロディだし、歌詞も淡々としているけれども、沁みるなあ」とは思ってはいた。だが、だからといって、唐突に何の脈絡もなく、頭の中にメロディが流れてくるほど、俺の身体に沁み込んでいた曲ではない。不思議で仕方がない。
俺は喫煙所から自席に戻る途中に口ずさむ。

~少しだけ、愛が足りない、君はぼんやり呟いた~

この歌は静かに日々を過ごす恋人達の生活を男目線から歌った曲である。つまり彼女(或いは妻)から「貴方の愛情が薄いのを感じる。もっと愛して、もっと私に愛を注いで欲しい」そういった要求部分がここの歌詞だと思っている。
それは良いのだが、なんとなく違和感が拭えない。なんか歌詞違くねえか? 俺は自問する。自席に戻り、仕事中だが"GoodBye Day"の歌詞を検索する。
「あ、やっぱり間違えて覚えてたのか…」


【少しだけ】疲れた顔で 君は静かに眠ってる
スタンドの淡い光 そっと睫毛の影が出来る

昔より【愛が足りない 君はぼんやり呟いた】
費やした君との月日 惜しみはしない僕がいる

ここの歌詞がごっちゃになっていたんだな。俺は納得する。理解して、口ずさんでみる。

~少しだけ、愛が足りない、君はぼんやり呟いた~

駄目じゃねえか! この曲を聴いた何十年も前から、俺の中ではずっと「少しだけ愛が足りない」でインプットされているので、今更間違っていると気付いても、修正出来ないのだ。でも、俺の中で開き直った自分がいて「こっちの歌詞のほうが良くねえか?」と不遜なことを思っていた。
【昔より愛が足りない】より、【少しだけ愛が足りない】のほうが詩的だよなあと思っている自分がいる。だが、1コーラス目の歌詞と2コーラス目の歌詞を合体させたら、他の歌詞が繋がらなくなる。どうするんだよ? と思ったが、よく考えてみたら、この歌をフルコーラス歌うことは俺の人生の中にはないので、これで良いのかもしれない。カラオケで何か歌えと仮に言われるような状況になっても、この歌は選ばないだろう。

それにしても、何故今日唐突に"GoodBye Day"が俺の頭の中に降りてきたのか。理由が判らない。帰宅して、youtubeでフルコーラス聴いてみた。

~Goodbye day 今日が終わり One more day また一日 何事もなく それでいい~
~Goodbye day そしてI love you One more day また一日 おだやかならば それでいい~

何かの啓示なのだろうか。2024年はスタートからして不穏で不幸な悲しい出来事が続いた。
また俺の仕事は相変わらず、ストレスと残業代が溜まる(貯まる?)ようなことをやっている。それでも、帰宅すれば相方が作ってくれた晩御飯を食べられ、時代小説を読みながら風呂に入れる。ほんの30分程度、ピアノを弾いて自分の充足感を得ることも出来る。昨日と変わらない今日を俺は過ごすことが赦されている。

また一日 おだやかならば それでいい。