Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

5年振りにアコースティックギターデュオの練習をしてきた

先週の木曜日のこと。ちょうど1週間前の話だ。
旧友と再開したアコースティックギターデュオの練習があった。実に5年振りの練習だ。よくこれだけのブランクがあって復活出来たものだな、感心する。
彼と最後に練習したのは、確か2016年の秋頃だと思う。ちょうど俺は就職先が札幌に決まったタイミングだった。練習が終わった後、旧友が「今度はさあ、こんな曲やろうぜ」と盛り上がっていたところに「悪い、実はバンド続けられなくなった」と話したんだっけ。

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横浜のカラオケボックスで待ち合わせ。予約は2時間。昔は3時間くらい練習したものだが、何しろ久しぶりの練習だ。今日はほぼリハビリで良いだろう、そんな気分である。
部屋に入り、俺は言う。
「今日はさ、2時間、120分でしょ。で、最初と最後の10分はセッティングや片付けで取られるから、練習時間は正味100分。で、今回は4曲やるから、1曲辺りにつき25分。ということは、1曲を3回くらいやれればいいかな」
「おぉー、さすが。見事に計画してくるねー」旧友が笑う。
2人でギターを出しながら、チューニング。旧友が俺のギターを見て言う。
「なに、それGibson?」
「Gibsonの訳ないでしょ。エピフォンだよ」
「そのギター、なんて言うんだっけ?」
「ハミングバード。Gibsonだと40万するんだよ。中古でも30万前後。18万くらいなら買うんだけどねー」
「確かに40万は出せないな」
※Gibsonはギターメーカー。一流どころである。会話にもあるように俺の欲しいモデルは40万円する。とても手が出ない。エピフォンはGibsonの廉価版で、4万円で買える。桁が一つ違う。20万円を切っていれば、思い切って買うんだけれども。下の画像は実際の俺のギター。4万円だ(笑)f:id:somewereborntosingtheblues:20211105005438j:plain

「それでさ、曲順なんだけど、まずは【Parachute Woman】、【Country Honk】をやって、【Waitin' On A Friend】で最後に【Live With Me】ってやっていこう」俺は言う。
「ふむふむ、その意図は?」旧友が問い返す。
「アレンジの決めで2人の意見にそんなにズレがないだろうと思われる順。で後半の2曲は、互いの想いとかアイディアで、どう曲が転ぶか判らん。正直形になるところまでいかないと思ってる(時間がきっと足りない)。だから、今日は方向性だけ決められればいいかと思ってる」
「おっけー。じゃそれで行こう」

そして俺達は1曲目から順番に練習を始めた。最初の【Parachute Woman】は、想定通りのアレンジとなった。アウトロー(後奏)で俺がブルースハープ(ハーモニカ)を演奏する。
「最後のハープってさ、そんな感じなの?」
「本家(ローリングストーンズ)だって、こんな感じだよ」
「なんか、もうちょい色つけようよ」
旧友は、俺の演奏に駄目出しをするのが得意だ。やっぱり学生時代に芝居で演出家をやってたからかな?

2曲目の【Country Honk】で早くも意見が分かれた。この曲の雰囲気を作っているアクセント部分をどちらが弾くかで意見が割れた。
「これはさ、俺が弾くよ。そこをわざわざお前が弾く必要ねえだろ」と旧友が言う。
「ふーん。Jさん、弾きながら歌えるの?」(俺は旧友をJさんと呼んでいる)
「大丈夫だよ。でさ、Tはどうする?」(旧友は俺をTと呼ぶ)
俺はそこで唸った。俺が元々弾く想定で考えていたパートを旧友が弾くという。そうなると、俺は何をすべきか?
「それじゃ、俺はオブリガードやるわ。ちょっと弾いてみて。俺のギターと合わせてみよう」
2人で弾き始める。1番のサビくらいで一旦止める。
「どうかな、こんな感じで」
「うん、いいよ。その感じで行こう」旧友は俺のアイディアに満足したようだ。
「で、構成どうする? 本家だと、ソロないよね」旧友がソロ有り、無しのどちらを望んでいるかが判らなかった。
「そうだな。ソロないと曲短くなるよなあ。だったら、2番終わったところで、ソロ入れて、またサビやって終わるか」
「いいよ、賛成」

【Waitin' On A Friend】は俺の持っているアレンジイメージを最初に説明した。
「曲の頭から流れるカッティングあるじゃん。あれをJさんには弾いていて欲しい。そのギターが伴奏の90%。で、この曲は俺が歌うじゃん。となると、色々弾くのは難しいから、歌と歌の合間にフレーズ入れるよ」
「じゃ、ちょっとそのイメージでやってみるか」と旧友がイントロを弾き始める。俺はそこに本来だとピアノが弾いているフレーズを模してギターで弾く。
曲が終わり、2人でこの曲をどうするべきか意見を出し合う。別に「さあ意見を言い合おうぜ」なんて言わなくても、「ここはこうしよう」「あそこはこうのほうがいいな」という話が自然と出てくる。
「ソロはどうする?」
「オリジナルは(ソニー)ロリンズじゃん。あのSaxのイメージがあるから、ブルースハープで行こうかと思うんだけど」
「おお、いいね。じゃ、それで行ってみよう」
「そんでアウトローもハープだとしつこいからさ。そこはギターにしよう。スライド(ボトルネック演奏)がいいかと思うんだ」
「じゃ、ちょっとそれでやってみるか」

2人で演奏し、曲が終わってアイディアを出し合う。これがデュオの理想形だと俺は思う。アレンジも俺が家で一人で考えて来たものは限界がある。旧友が出してくれた案に、俺は「ああ、そういったのもあるのか…」と驚嘆し、実際に旧友の弾くギターを聴くことにより、俺にもその場でアイディアが出てくる。
格好つけた事を言えば、1+1が2じゃなくて、3にも4にもなるという構図だ。

最後の【Live With Me】は、もう時間が足りなくなって、おおまかなアレンジのアイディアを交換し合っているうちに、タイムリミットを知らせる電話が鳴る。

5年振りのギターデュオ演奏は面白かった。それに、他のプレイヤーと合わせたのも1年7ヶ月振りだ。
やはり、人と演奏するのは楽しい。ソロ演奏を俺は否定する気はない。でも、俺個人はやっぱりソロよりもバンドなんだな。