Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

34年前に始まり、5年のブランクを経て、また似たようなことをやろうとしている

やっと世の中が以前に近い形に戻って来た。そこで俺は旧友に連絡を取った。
「そろそろカラオケボックスにでも入る?」
旧友と、アコースティックギターデュオをやっているのだ。カバーしているのはローリングストーンズ。パートは旧友がリードボーカルとサイドギター、俺がリードギターとコーラス。

今から34年前、19歳だった俺は演劇部に入部した。音楽好きな人間が何故演劇部に入ったのか。理由は色々ある。だが、そんな大昔の話は忘れた。34年も前の話だ。
その演劇部で3つ年上の先輩が旧友だ。俺達は演劇部の先輩、後輩の間柄である。演劇部の人間だったが、2人で芝居の話をした記憶は殆どない。話していたのは、もっぱら音楽の話だった。

2人ともギターを弾けるのが判ったので(とは言っても、2人のギターの腕はかなり酷かった。旧友の腕前が下の上くらい。俺の腕前が下の中くらいだ)、バンドでもやろうかという話になった。
そもそも演劇部に所属しているのに、バンドを組もうということ自体がナンセンスだ。だったら、軽音楽部にでも入れと言いたくなる。

弦楽器に触ったこともない奴にベースを教え込み、ドラムスティックを握った事もない後輩に「ドラムをやれ」と命じ、カラオケ好きの二枚目にリードボーカルを任せた。
学園祭で無事デビューを飾り、メンバーチェンジを何度かして、俺達はローリングストーンズのカバーバンドを始めた。俺が21歳の時だ。
そのバンドでキーボードを努めたKさんも、もはやこの世の人ではない。

バンド結成から5年が過ぎ、ベースが仕事の関係で脱退した。それに伴い、俺も担当をリードギターからベースに替えた。結局バンドは俺が30代前半の頃に、自然消滅の憂き目に遭う。30代前半から30代の終わり頃までの時代は、俺の人生の暗黒期だ。楽器にも触らず、ひたすら酒と女だった。30代の終わり近くにして、Saxに出遭ったことで、俺は滅茶苦茶な人生をなんとか軌道修正することが出来た。

相方と知り合い、一緒になった時は既に30代が終わっていた。それまで旧友とはたまに酒を飲んだりしてはいたが、あまり建設的に音楽の話をする状態にはなっていなかった。何が原因かは思い出せない。10年以上も前の話だ。もう細かい話は忘れた。
いつの間にか、一緒にもう一度バンドをやろうという話になっていた。確か、旧友に相方を紹介した頃にその話が持ち上がっていたから、俺が既に40歳を超えていたのは間違いない。

それから2人でスタジオに入ってエレキギター2本をかき鳴らしてみたが、ちっとも面白くない。ドラム、ベースがいない状態でのエレキ2本はうるさいだけだ。試行錯誤の末に、2人ともアコースティックギターにしたらいいんじゃないかという結論に落ち着いた。f:id:somewereborntosingtheblues:20211026010352j:plain

旧友が「ボク、歌いたい!」というので、「どーぞ、どーぞ」と彼にリードボーカルの座を譲り(というか俺はリードボーカルに適していない)、俺はリードギターの役割になった。
初めてのライブを行ったのは2014年のことだ。もう7年も前になる。上の写真がそのライブの様子。俺はブルースハープを吹いている。そして互いにそれぞれこのバンドで何か面白いことをやろうと画策していたが、俺が札幌に引っ越すという思わぬイベントが発生し、バンドは解散。
よく解散に遭遇するメンツだ。

2016年の冬に札幌に引っ越したが、結局3年も経たずに東京に舞い戻った。その後はご存じの通り、コロナの影響で、自粛生活である。
今年の3月に数年ぶりに旧友に会い、酒食を共にし、俺は「またバンド(アコースティックギターデュオ)やらない?」と誘ってみた。旧友からは「いいよ」という返事が来た。

今週の木曜日に実に旧友と5年ぶりにギターを一緒に演奏する。演奏と言っても、練習だ。人前で弾く訳じゃない。そもそも、5年もブランクがあるのだから、人前で弾くには相当の練習を積まなければ、俺達の腕じゃ無理。

だが慌てる必要はどこにもない。のんびり、ゆるりとやるさ。34年前に組んだバンドだってそうだったのだから。復活するこのデュオだって同じだよ、きっと。