Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

バンドマンだったら、LINEくらい使おうぜ

週末にU-NEXTで「探偵はBARにいる」を見た。もう何度か見ているので、今更新しい発見とかも特にない。俺が大泉洋のファンということでもない。
では何故見るかというと、この映画は舞台が札幌だからだ。2016年から2019年まで札幌で暮らした。この映画のススキノの景色を見ているだけで色々と懐かしくなる。
大泉洋が演じているのは探偵なのだが、彼は携帯電話を持たない。この映画を放映していた頃は、まだスマホよりも携帯電話が主流だったはずだ。またこの探偵には名前がない。探偵が名無しだったり、携帯電話を持たないのは、原作の設定なので映画もそれを踏襲しているに過ぎない。
今の時代にスマホ(携帯電話)を持たずに探偵業が成立するとは思えない。だが、フィクションの世界なので、それは目を瞑ろう。

俺は趣味で旧友とアコースティックギターデュオをやっている。旧友はさすがにスマホを持っているが、LINEは入れていない。そういった現代における当たり前のツールを彼は拒絶しているのだ。何かポリシーがあるのかもしれないが、訊いたことはない。訊いたところで、彼がLINEを使うようになるわけではない。
ギターデュオの練習スケジュール調整は全てショートメールだ。ショートメールは料金が掛るし、LINEに比べると使い勝手がよくない。
「LINEやらないの?(LINEやろうよ)」と前に訊いたところ「LINEはアンインストールした」との驚愕の答えが返って来た。
LINEを使わないというのは百歩譲って理解するが(実は俺は理解出来ない)、なんでアンインストールする必要があるんだよ?
最初からインストールされているんだから、そのままにしておけば良いだろ。使いたくなる日が来るかもしれないじゃないか。
ただ、まだ旧友とのやり取りはショートメールでも良い。何故ならギターデュオは2人だけのグループだから。デュオでやる選曲やアレンジの取り決めなどは、直接会った時にゆっくり話せばいい。
旧友とは付き合いも長いから、その辺りは互いにある程度判っている部分もある。

ギターデュオとは別にブルースバンドをやっている。そのバンドはボーカル、ギター、ベース、ドラム(俺)の編成だ。前回のリハーサルでキーボード候補の人(男性)が初参加した。良い感じでリハも終わり、既存メンバーも「彼に参加して貰おう」という雰囲気になった。キーボードの人も参加したいということだった。
ここまでは良かった。彼は言った。「自分、LINEやってないんですけど、大丈夫ですか?」
え、まじかよ。今時LINEやってねえのかよ。ちょっと微妙な空気が流れた。だが、LINEをやっていないから、バンドに参加させないというのも変な話だ。我々は了承した。
ただ、ボーカル、ギター、ベース、そして俺は全員LINEをやっているのだ。バンド用のグループLINEも作って、連絡はそこでやり取りしている。

誰かが「今度はこんな曲やりたいな」と言い出し、音源のリンクを貼る。すると他のメンバーが「これはやってみたい」とか「これ、ちょっと微妙~」と意見交換したりするのだ。LINEならば、互いの遣り取りのログが残るから、そういった選曲のアイディアやリハーサルのスケジュール調整がし易い。
キーボードの人のみがLINEをやらないので、スケジュール調整はリーダー兼ギターのK君がショートメールで個別に対応することになった。

スケジュール調整はまだショートメールで良いのだが、曲のアレンジに対しての話とか、練習方法の意見交換とかを俺達はグループLINEで割と頻繁にやる。そういったコミュニケーションもバンドの楽しさの一つではある。
だが、今後もそういった遣り取りの場にキーボードの人は現れないのだ。

キーボードの人とはまだ1回合わせたきりなので(6月のリハはもう決まっているが)、今後どうなるかは判らないが、もしかすると彼はなんとなく「ゲストプレイヤー」みたいな立ち位置になるのかもしれない。
無論、バンドである以上、スタジオで音を出して合わせて、そこで「ああしよう、こうしよう」という話し合いの場を持つようにはなるだろう。当然の話だ。
だが、俺達は週に1回スタジオに入れるようなバンドじゃない。基本は月に1回程度だ。そうなると、練習前後にLINEで意見交換をするのが必須となってくる。

LINEでの遣り取りは、選曲、アレンジ、練習方法などの確認の場となっているが、そういった遣り取りを重ねることで、メンバー間の距離が近くなるという効用は否定出来ない。

俺とギターのK君だって、コロナ前に知り合った間柄だ。まだ付き合いは3年程度。だから、そういったスマホのツールでコミュニケーションを取ることによって、互いの心の垣根が低くなっていくのだ。ボーカルとベースの人とはまだ数回合わせただけ。それでも文字だけでも遣り取りを重ねることで、互いが段々と見えてくるようになる。

スマホのツールが全てだとは思わない。そういったものが無くても、互いの距離を詰めることは可能だ。ただ、ツールがあったほうが、各段と距離は詰めやすくなる。ツールというものは、そういった場合にこそ使うべき機能なのだから。
そして、そういったツールがあるのに、あえてそれを使わないという選択をする発想も俺にはよく判らない。

ライターがあるのに、火打石で火をおこすようなものだ。
この杞憂が杞憂で終われば良いのだが。そう思っている自分がいる。