Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

頭痛にはバファリン

薬をお茶で飲んではいけない。

よく言われる言葉である。しかし、これは本当なのだろうか。自分には疑問でしょうがない。
俺は頭痛持ち故、机の引出しにはバファリンが常備してある。
理由もなく頭痛がしたり、二日酔いで頭痛がしたり、女性にハンドバッグで頭を殴られて頭痛がしたりした時に服用している。
ちなみに判っていると思うが、最後のはジョークなので本気にしないで頂きたい。

今日も何故か昼飯を食い終わった頃に頭痛が発生した。
これは別に二日酔いのせいでも、女性にハンドバッグの角で頭を殴られたせいでもない。純然たる頭痛である。

俺は早速、バファリンを2錠取り出した。箱の注意書きには15歳以上、1回2錠服用と記載がある。
しかし、大人は2錠服用と言っても、バファリンの半分は優しさで出来ているので、実質1錠飲むのと変わらない。だからと言って1錠しか飲まないと、バファリンの半分は優しさ故、半錠飲むだけの効果になってしまう。
ということは、バファリンは4錠飲まないと本当の効果は得られないのではないのか。
ううむ。一体、バファリンは何錠飲めば良いのだ。誰か、教えてくれ。

そんな馬鹿げたことを考えているから、頭痛がするのであろうか。悩みは尽きぬ。

とりあえず、2錠飲むことにした。ところが、都合が悪いことに水がない。机の上にあるのはスターバックスで買ってきた珈琲の飲み残し(もう、すっかり冷めている)だけだ。
水を汲んでくるのが面倒くさいので、珈琲でバファリンを飲むことにした。
錠剤を口に入れ、珈琲を流し込む。冷めた珈琲は苦い。

ふう、なんとか頭痛薬を飲み終えると、それを見ていた武井さん(元・うら若き乙女。俺のセクハラ相手)が言う。
「西崎くん。薬は珈琲なんかで飲んじゃ駄目だよ」
「見てたんなら、飲む前に言ってくれりゃいいのに。今更そんなこと言われてもなあ」
「ん?いつもセクハラしてるから、そのお返しだよ」
「…なるほど。でもなんで珈琲で薬飲んじゃいかんの?」
「えー。知らないよー、そんなこと。でも、昔っから言わない?お茶で薬飲んじゃいけないって」
「俺が飲んだのは珈琲だから、いいのだ、多分」
「西崎くん。そういうのを屁理屈って言うんだよ。要は薬は水で飲みなさいってことよ」

思い起こしてみれば、自分が子供の頃にも「薬は水で飲むべし」という不文律があった気がする。だが、何故水でなければいけないのだ?珈琲では駄目か?お茶で飲むなんぞ、以ての外か?
どうにも納得出来ぬ。

例えば、だ。頭痛薬(風邪薬でもよいが)を水で飲むとする。そして、薬を飲んで30秒以内に珈琲を飲む。さすれば、胃の中には薬と水と珈琲が存在していることになる。(薬摂取以前に、胃の中に在った飲食物は、あえて無視)。
今度は逆に頭痛薬(風邪薬でもよいが)を珈琲で飲むとする。そして、薬を飲んで30秒以内に水を飲む。さすれば、胃の中には薬と珈琲と水が存在していることになる。

結果は一緒ではないのか。違うとしたら、一体何が違うというのだ。考えられるのは食道通過時点のみである。
薬と水、その後に珈琲。この場合、食道を薬と水が通過。その後に珈琲。
薬と珈琲、その後に水。この場合、食道を薬と珈琲が通過。その後に水。

薬と珈琲(茶でも可)が同時に食道を通ると、何か不都合な点でもあるのだろうか?
化学変化を起こして、食道(咽喉)を痛めるとか。まさか、ね。そもそも、俺は10代の頃からバファリンのお世話になりっぱなしだが、2回に1回は水以外で経口している。
だが、過去にそれが理由で体調不良を起こしたことも、副作用に苛まれたこともない。

そうか。大変なことを忘れていた。先ほども書いたが、バファリンの半分は優しさで出来ている。この優しさが水と溶け合う分には何の問題もないのだ。
だが、お茶や珈琲でバファリンを摂取すると、この「半分の優しさ」が化学変化を起こして、「変態」へと変わるのだ。

そうか、そうなのだよ、武井さん。俺がセクハラを起こすのはこのせいなのだ。
って、それじゃあ納得してくれませんかと武井さんのお尻をすりすり。

痛っ。だから、バッグの角で頭を殴るのはよせ。また頭痛がしてきた。バファリン飲まなきゃ。


***

上記の実話なんだか小噺なんだかよく判らない文章は、20年以上前に書いたものだ。当時はこういったくだらない文章を書いてはネットにアップしていた。今は老成して、こんな話は書けない。ただ、20年以上前に、こんな阿保みたいな文章を書いては喜んでいた自分も悪くないな、とも思う。