Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

「またバンドをやらないか」俺は言った

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昨日、旧友と酒食を共にしてきた。彼と会うのは約3年振りになる。旧友は、俺の大学時代の先輩だ。年齢は3つ上。
俺が札幌から東京に戻った時に「東京戻ったから、そのうち会おう」と約束していたのだ。ところが、東京に戻ってから暫くは、仕事が地獄のように忙しく、時間を捻出出来なかった。
そして時間に余裕が出来た頃、コロナ騒ぎで出掛けることが許されないような状況となり、再会するのに思った以上に時間が掛かってしまった。

やっと俺自身にも余裕が生まれたので、彼に連絡を取り、水曜(3/31)に会うことにした。待ち合わせの駅の改札口に懐かしい旧友の顔を認めた。互いに手をあげて「やぁ」といった感じ。
駅から徒歩1分の居酒屋に入る。時間は16時半だ。随分早い時間に飲み屋が営業しているものだ。これもコロナの影響なのだろう。店を閉める時間を早くせざるを得ないから、開店時間もそれに合わせて早くなっているのだろう。

生ビールで乾杯する。
「そういや最後に会ったのって、いつだっけ。2017年?」
「いや、2019年の夏じゃない。ほら、俺が(札幌から)東京出張に来た時」
「銀座で飲んだよな、あの時」
と、互いに話していて計算が合わない事に気付く。俺が東京に戻って来たのが2019年の6月だ。となると、それより前なのは間違いない。
「多分3年振りくらいだな」
「ま、そーだね」
別段、大した話じゃない。50歳過ぎたおっさんが2人、会うのが2年振りだろうが3年振りだろうが、大勢に影響はない。blogの過去ログを確認したら、最後に会ったのは2018年7月だった。

互いの近況報告をする。旧友の話は非常に面白いものが多い。残念ながら彼のプライバシーに深くかかわる話が多かったので、ここには記載出来ない。
「結局、札幌って何年いたの?」彼に問われる。
「約3年」(実際は2年半だけれども)
「当初の想定だと、定年までいる筈だったんだろ?」
「そう。60歳までいる予定だった。それが会社の都合で、3年で終わり」
「でも逆に3年で良かったんじゃないの。5年や6年いてから、東京に戻ったら、逆に辛くなってたんじゃない?」
旧友の問いかけに俺は頷いた。5年も暮らしていたら、完全に札幌での生活が自分の物として完成していただろう。そうなってから札幌を離れたら、かなり辛くなっていたのは間違いのないところだ。

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俺が札幌に行く前、旧友とはアコースティックギターのデュオをやっていた。ライブも何回かこなし、レパートリーも少しずつだが増え、良い感じでバンドは成長していた。それが、俺の札幌行きで儚くも解散の憂き目を見た。
「ギターは弾いてるの?」俺は問う。
「いや、部屋の置物になってる」と旧友の答え。
「そっか。実は思ってたんだけどさ、またデュオやらない?」
ちょっとだけ旧友は考え、「いいよ」と返してきた。

今、俺がドラム担当でやっているJ-POPのカバーバンドも、ブルースバンドもどちらも休止中だ。いつ再開出来るかその目途も立っていない。こればかりはどうしようも出来ない。その代替という訳じゃないが、せっかく旧友と再会したのだ。以前のようにアコースティックギターのデュオのバンドをやるのは悪くないんじゃないか、俺はそう思っていた。
旧友もすぐに乗り気になり、2人でじゃあリハビリ用のレパートリーを何にするかで盛り上がる。以前はローリングストーンズの楽曲をアコースティックギター2本のアレンジにして演奏していたのだ。

話がまとまったところで、旧友が言う。
「近くにさ、ロックバーあるんだよ。馴染みの店なんだ。ちょっと寄っていかない?」
居酒屋の壁掛け時計は7時を指していた。既に2時間半以上店にいた事になる。

居酒屋を出て、暫く歩くと見事にロックバーな店がある。カウンターの端の席に座り、旧友がマスターに声を掛け、俺を紹介する。
「マスター、こいつ、俺のマブダチ。大学の時からの付き合いだから」
リアルな世界で『マブダチ』という単語を初めて聴いた。『マブダチ』というのはヤンキー用語じゃないのかな。俺も旧友も元ヤンキーではない。

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バーなので、ブラッディマリーを注文した。
そこでも居酒屋の話の続きをする。だが、いい加減酔って来たのもあって、あまり大した話はしていない。互いに好きなミュージシャンや映画の話をする。これは30年前に俺達がフルバンドをやっていた頃と変わらない。
当時、俺達は大学のサークル仲間と一緒にロックバンドをやっていた(その時の俺の担当はベース)。当時もスタジオで練習が終わると居酒屋に行って、音楽や映画の話ばかりしていた。
30年の月日が流れても、話すことは何ら変わらないのだなぁ。

9時を回ったので店を出る。延々と5時間近くお喋りをしていたことになる。このデュオは慌てずにゆっくりやっていこうという話になった。初夏辺りに活動を再開しようと。
何か大きな野望や展望がある訳じゃない。50代半ばのおっさん2人でアコースティックギターをかき鳴らして、好きなロックを演奏する。ただそれだけの話だ。
でも、それだけで充分じゃないか。22歳と19歳で知り合った若者がバンドを組んだ。そして30数年経っても、やはりバンドをやっている。これ以上に大きな話なんて、そうは転がってない。