Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

おもてなしは、ろくでなし

NHKでウズベキスタンからやってきた留学生の特集をやっていた。ウズベキスタンは、スペイン、ポルトガル、トルコに次いで行ってみたい国なので、ちょっと興味がある。
その留学生(男性)は、日本のサービスを学び、ウズベキスタンでサービスの良いホテルをやりたいのだと言う。f:id:somewereborntosingtheblues:20210925003619j:plain

日本のサービスの質は世界でも1、2だと彼が言う。相方が「えー、日本は1番じゃないのかなぁ」と疑問を口にする。「いや、サービスの質で言ったら日本は世界一だと思うよ」俺は返す。
それほど多くの外国に旅行や滞在した経験はないけれども、それでも客観的に比較した場合、日本のサービスの質はかなり高いと断言出来る。
だが、質が高いというのは、イコール満足度が高いというものでもない。

トルコなんてかなりいい加減で適当だけれども、それはそれで楽しい。トルコの土産物屋で、小皿を10枚程買った。小さい店で、従業員が1人しかいなかった。彼は小皿を包装しようとしたのだが、手が足りない。彼は言った。「ヘイ、マイフレンド。包むのを手伝ってくれ」
俺は笑顔で了承した。日本だったら、客が従業員の作業を手伝うなんてことは考えられない。だが、皿を包むのに、新聞で包む人とセロテープを切って貼る係の2人が必要だ。従業員は1人。じゃあ、客が手伝えば良いではないか。単純だ。
嫌な気分になる人はどこにもいない。これが正解だ。f:id:somewereborntosingtheblues:20210925003647j:plain

ラスベガスのダウンタウンで遊んでいた時、相方がアイスクリームを食べたいと言い出した。アイスを食べながら、ホテルに戻る路線バスを待っていた。バスが来たが相方はまだアイスを食べている。バスのドアが開いたので、俺は運転手に相方を指差しながら、「乗ってもいいか?」と訊く。体重が150キロくらいありそうな黒人ドライバーは「ダメだ」と言う。ま、しょうがないよな。そりゃそうだ。俺達は次のバスを待つ。
相方がアイスを食べ終わり、次のバスが来た。俺達が乗り込むと、次のバスの運転手はハンバーガーを齧りながら運転していた。どういうことだよ?

スペインのレストランで裏切られた記憶はない。可もなく不可もなくといった感じか。だが、それで充分だ。というか、スペインの景色や街の空気に触れながら食事をしていたら、それだけでもう満点を上げてもよいくらいだ。
頭から水でもぶっかけられない限り、マイナス査定になろう筈がない。逆にそういったトラブルに遭遇したらきっと思い出に残るし、楽しそうだ。f:id:somewereborntosingtheblues:20210925003709j:plain

メキシコでは大衆レストランで鶏料理を頼んだ。メニューを指さしながら「POJO(鶏)か?」と訊くと「Si(そうだ)」との答え。そして来た料理はビーフだった。どういった間違いだ?
でもそれも楽しい。思わず笑ってしまう。

以前、海外で働いている人のblogを読んだ時に「サービスを受けるなら、絶対に日本だ。でも、日本のサービス業で働く気には到底なれない」と書いてあった。それはそうかもしれない。
日本のサービス業は、その労働の質と賃金が見合っていない。あれだけのサービスをするのなら、給料は倍くらい貰わないとやっていられないだろうし、逆に今の賃金のままなら、サービスは半分程度でも充分だ。

日本のサービスの質がここまで高く(逆説的に、従業員は厳しい基準をクリアしなくてはいけない)、きめ細やかな気配りが行き届いているのは何故なんだろう。
「おもてなしの精神」の発露なのだろうか。お前は滝川クリステルか?

もう今更、他国のように「アバウトな緩いサービス」に路線変更することは不可能に近い。日本はこれからも、やはり質の良い接客や、気配りをするのが当たり前のような対応をしていくのだろう。客側はそれで良いかもしれないが、そのサーブを求められる従業員、店員は堪ったものじゃない。
気違いみたいなクレーマーに文句の一つも言えずに、ひたすら低姿勢を貫かなくてはいけないのだろうか。f:id:somewereborntosingtheblues:20210925003736j:plain

だが、もうそろそろいいんじゃないか。日本が世界のナンバー2だった時代はとっくに終わった。日本はかつては優秀な先進国だった。第二次世界大戦で焼け野原になったが、たったの40年程度で復興し、世界のトップに肩を並べた。でもそれもかつての栄光だ。
もう、日本は落ちぶれているのだ。サービスだって、そこまで厳格に過去の亡霊に追われなくてもいいじゃないか。

サービスをするほうも、受けるほうも「ケセラセラ」の精神で緩く行ったほうが幸せになれると思うんだよ。
緩いってのは、結構良いものだと思うんだ、俺は。糸をずっと張り詰めていると、いつか耐えきれずに切れてしまう。
適度に緩めると長持ちするんだぜ、物も人の気持ちも。