Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

晩餐始末記

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今は在宅ワークが基本。必要があると現場に出勤する。相方は週のうち半分くらいが在宅。
今日は相方が起き出してきたのが遅い。ああ、在宅なんだなと気づく。

相方はLDKに置いてあるダイニングテーブルに自分のPCをセッティングする。相方が在宅の日は、俺は北向きの別室で作業をする。互いに会議が発生するから、別の部屋で作業する必要があるのだ。
お昼近くになり、俺は相方に言う。
「なあ、ちょっと言いたいことあるんだけど。いい?」
相方の顔色に緊張が走るのが判った。俺が何かとんでもないことを言い出すとでも思ったのだろう。

「俺、今日誕生日なんだけど」
「え? あ。そうか。おめでとー」
それにしても、昼になるまで、「おめでとう」の一言もないとは薄情な奴だ。
「今日だったかぁー。勝手に17日だと思い込んでたよ」
俺と一緒になって何年だよ。もう13年だぞ。毎年1月7日はやってくるというのに。ま、いいけど。

相方が俺の機嫌を取るように言う。
「じゃ、晩御飯は横浜辺りで食べようか」
俺は了承した。

仕事が片付いたのが19時くらい。さあ出掛けようとなったところで相方が言う。
「そういえば、緊急事態宣言で、店とか時短だよ。レストラン、20時で閉まっちゃう」
「え、やばいじゃん。時間ないぞ」
「でも、明日からだから今日は大丈夫じゃないかなあ」
二人で駅まで急ぎ足で歩く。歩きながら相方が何を食べたいか尋ねてくる。
「そうだな、ピザか焼肉だな」
「焼肉だったら、横浜である必要ないねー」
「いや、一番食べたいのはピザ。ピザがいいな」
俺はピザと鴨南蛮蕎麦が好物なのである。

横浜に着き、ピザを食べられそうなレストランを探す。駅ビルの中によさげな店があったので行ってみる。ビルの中に庭があって、その奥に店がある。洒落ているなあ。

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雰囲気も良さそうだ。入ってみると、女性従業員がやってくる。
「申し訳ございません。本日はラストオーダーが19時半となっておりまして…」
時間は19時45分くらい。え? もう時短営業が始まっていたのか。弱ったなあ。

二人で店を後にする。

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「もしかすると、他の店も時短対応既にやってるかもね。そうなると、他行っても一緒かなぁ」
「誕生日の晩飯がコンビニ飯かよ。最悪だな」
高島屋のレストラン街に行ってみると、高島屋の入り口に「時短営業の為、レストランは20時閉店」と貼り紙がある。
いよいよもって、コンビニ飯の可能性が高くなってきた。

横浜駅周辺なんて、俺達にとっては異邦の地だ。まだ神奈川に住んで2ヶ月しか経っていない。適当に歩いてみると、別のビルにもレストランエリアがある事が判る。貼り紙がやはりある。時短営業は明日(1/8)からだった。今日は22時まで営業している。また運の良いことに、そこにはピザレストランもある。好都合だ。

店に入って、メニューを貰いピザを吟味する。相方がメニューを見て言う。
「ねえ、十勝牛があるよ。これ食べたいねー。十勝牛食べようよ!」
何を言っているのだ、お前は? 今日は俺の誕生日で、俺が主賓じゃないのか。なんでお前の喰いたい物を注文しなくてはいかんのだ。
「あ。サラダも欲しいねー。んー、シーザーサラダは好きじゃないしなあ。あ、こっちのグリーンサラダがいいかなー」
だから、なんでお前の喰いたい物ばかりになっているのだ。何度も言うが、今日は俺がもてなされる為の晩御飯ではないのか?
「ピザは好きなの頼みなよ」
なんで、俺が一番喰いたいピザがおまけ扱いなのだ。納得いかん! 

無論、上記は俺の心の叫びであり、一言も口に出してはいない。

俺が飲み物を問うと、相方は「アルコール飲む気分じゃないから、ソフトドリンクでいいや。あ、お酒1杯だけなら飲んでもいいよ」と言う。
なんで、誕生日なのに1杯だけなんだよ。せめて3杯は飲ませろ!

無論、上記は俺の心の叫びであり、一言も口に出してはいない。

十勝牛のステーキ、サラダ、ピザというメニューとなった。俺達くらいの歳になると胃袋も小さくなるので、これで充分だ。
アルコールはハイボールにした。何杯か飲んで良いなら最初はビールを行きたいが、1杯となるとハイボールである。ピザにはやはり炭酸が合う。

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そしてサラダ。サラダは特に可もなく不可もなく。

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ステーキを相方は美味しいと喜んでいた。それは良かったな。というか、このディナーの主賓は誰なのだ?

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ピザはマルゲリータ。味は美味いか否かで言えば、ま、こんなものかなと。最近はスーパーのピザくらいしか喰っていないから味がよく判らない。ただ一つだけ言えるのは、ピザはやっぱりアメリカで喰うのが一番美味いと思う。

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ピザはイタリアだろ?と思われる人もいるだろうけれど、俺はイタリアに行ったことがないので、本家のピザの味を知らない。
俺にとって、最高にピザの美味い国と言えば、アメリカなのだ。

食事を終えて、横浜駅への道を歩いていると、前を着物姿の若い女性が歩いていた。
「あ、成人式かもね」
「え? まだ成人式には早いだろ」
「成人式が取りやめになったから、写真だけでも撮ったのかも…」
なるほどなあ。誕生日は毎年やってくるが、成人式は一生に一度だ。そう考えると、誕生日の晩御飯がコンビニ飯になるくらいで文句を言ってはいけない
ピザも喰えて、酒も飲めた。これ以上に贅沢な晩飯を望んだら、罰が当たる。