Some Were Born To Sing The Blues

酒好き(2017年秋に断酒を宣言)、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越し、2017年春にピアノを始めました。そして2019年6月に東京で一人暮らしを開始。2020年10月に神奈川に移り住む。生々流転の日々。

ブルースをやることにした

東京に戻ってから、新しくバンドを結成した話は以前に書いた。

バンドの成田離婚 - Some Were Born To Sing The Blues

メンバーチェンジとかも行ったが、結果として良いメンバーでリユニオン出来、状況としては悪くない。
女性ボーカルバンドで、カバーしているのは邦楽ロック。曲はボーカルの希望を優先して、椎名林檎やジュディ アンド マリーが中心。椎名林檎は嫌いじゃないし(むしろ、結構好き)、やっていて中々楽しい。ただ曲の難易度が高いという問題点はあるが。

バンドのリハ後は大抵「ちょっと時間ありますか? 寄っていきません」とリーダー兼ギター担当の圭司君(仮名)の誘いで、居酒屋で雑談。バンドの話や好きな音楽の話など。この辺りはどこのバンドも似たり寄ったりだと思う。ちなみに圭司君は俺より一つ下。俺達くらいの歳になったら、一歳の差なんて無いのも同然。
12月のリハ後に、やはり飲んでいたら、俺と圭司君だけになった事があった。他のメンバーは用があって早く引き上げたので。圭司君は俺に言う。「やっぱりブルースやりたいんすよー」
俺は彼に返した。「そもそも、ブルースやりたいのに、なんで邦楽にしか興味のない女性ボーカルに声掛けたのよ(笑)」
俺はそこが不思議で仕方なかった。バンドのボーカルの美帆ちゃん(仮名)は歌は上手いし、美人(つまりステージ映えする)。バンドの歌姫としては文句無しだ。だが、彼女をボーカルに据えたら、ブルースをやれないのは明白。それは圭司君も判っていた筈。
「そうなんですよねー」と返す圭司君。訳判らん。
俺は、邦楽ロックでもドラムが叩ければ充分に楽しいから、今のままでも良かったが、圭司君は微妙に違ったようだ。
「J-POPは難しいっすよー」
そこは同意する。1コーラス(12小節)で、また同じコード進行を繰り返すブルースと違い、J-POPはコード進行、構成がやたらと難しくて面倒臭い。一筋縄ではいかない。それがある意味、楽しさでもあるのだけれど。

二人でだらだらと飲んでいたら、酔った勢いで俺は言ってしまった。
「圭司君、そんなにブルースやりたいなら、別バンドやればいいじゃん。ギターとボーカルは圭司君でさ。で、ドラムは俺がいるから、ベース募集掛ければ良い」
「だったら、今のバンドのベースさんにやってもらったほうが早くないすか?」
「そんな事したら、美帆ちゃんだけ仲間外れにして別バンドやる形になる。それはさすがに拙いよ」
「ですよねー」

俺は別バンドでブルースをやるというのは、酔った上での与太話だと思っていた。だが、圭司君は違ったようだった。
「ベースの人募集したら、50代半ばの人から応募あったんで、スタジオ入りましょう。あと、ブルースやりたいって女性ボーカルの人いたんで、その人にも声掛けました」
圭司君からメッセージが来た。本気だったのか。だから酔った上で、無責任な発言をしてはいけない。ま、応募があったからと言って、それはイコールバンド結成とはならない。
友人同士らでバンドを組むのならともかく、年齢と性別とニックネームくらいしか判らない相手と顔合わせして、スタジオに入るのだ。演奏テクニックの差異や、やりたい音楽の違い、人間性(実はここが一番大事な要素)など、上手く行くか否かはある意味、賭けに近い。

酒のせいとは言え、圭司君を焚きつけたのは俺だ。これは責任を取らなくてはいけない。スタジオの日取りを決めた。
「曲は何にします?」
「顔合わせだし、王道でいいんじゃない? 『Sweet Home Chicago』、『CrossRoads』くらいで。まあ、ブルースだから、その場で適当にやってもいいしさ」

そして先週末。ブルースバンドの初顔合わせと、初リハをやってきた。ベースの人は50代半ば。俺や圭司君より多少年上だが、この年代になれば、もはや誤差の範疇だ。女性ボーカルの人は、思ったよりも柔らかい感じ。というか、これは俺の勝手なイメージ像なんだけれども、50歳過ぎてブルースをやっている女性って、なんかある意味尖がっているって勝手に思い込んでいたんだよな。

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スタジオに入り、まずは『CrossRoads』から。今回は4曲候補を出していたので、それらを順番にやる。ブルースなんで当然、オリジナル音源通りにやらない。というかやる必要もない。ブレイクのキメとかがなかったり、エンディングが合わなかったりするが、それも初リハのあるある、だ。
女性ボーカルの人はちょっとハスキーな感じで、これがブルースにハマる。美帆ちゃんとは別のタイプのシンガーだ。ベースの人は一回合わせただけで、「ああこの人は若いころにどっぷり音楽やってた人だな」というのが判る安定のベース。こういった上手いベースの人とやれると、俺みたいなへっぽこドラマーは助かる。リズムの指針をベースが示してくれるからだ。
(ちなみに、J-POPバンドのベースの人も滅茶苦茶上手い)

二時間のスタジオは楽しく演奏出来て終わった。J-POPバンドの時と同じように、圭司君が「時間があれば、寄っていきませんか」と誘う。ベース、ボーカルの両名もOKとの事で、四人で居酒屋で。
自己紹介をして、それぞれの好きな音楽の話や楽器演奏の経験の話など。話が行ったり来たりするが、それもまた面白いのだ。驚いたのが、ベースの人は子供が出来てから、ベースを20年触っていなかったのだとか。子供が独立したので、そこでまたベースを手にしたのだと言う。ベースを再開してから、4年くらいだと。20年のブランクがあっても、若い頃に身に付けた演奏能力って、そう簡単には落ちないのだなあ、俺と圭司君は驚く。

この二人とは話していても楽しく、つまり人柄が良いというのは見て取れた。そして俺と圭司君が別バンドをやっているから、このブルースバンドも活動はかなり緩やかになるという説明もしたが、それも納得の上で一緒にやりましょうという話になった。
女性ボーカルの人も別バンドをやっているので好都合だと言う。

ううむ。人(バンドメンバー)が見つからない時は、まったく引っ掛からないのに、上手く行く時はこうも良い人達が次から次へと来るかね。
俺と圭司君は、嬉しい誤算にちょっと戸惑った。J-POPバンドは当然続けていくつもりだし、このブルースバンドのほうも良い感じになりそうだ。しかし、バンド二つ掛け持ちはキツイなあ、というのが正直なところ。

札幌時代もバンド二つ掛け持ちしていたが、あの時は、ドラム、ギターと担当楽器が分散していたからなあ。今回はどっちもドラムだ。ただ、音楽のジャンルがJ-POPとブルースという、全く違うのが良いところだ。同じようなジャンルのバンドを複数やったら、悪い意味で煮詰まる。

当面どうなるかは判らないが、とりあえずこれでやってみるとするか。あとは、サックスを吹く場を見つけなくちゃいけないな。これが今のところ、一番ハードルが高いかもしれない。