Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

正月は熱海へ

2021年の元日。俺と相方は熱海にいた。

2020年は、それまで二人で毎年行っていた海外も行く事が出来なかった。これはコロナのせいじゃない。もともと2020年は行く予定がなかった。相方が札幌から神奈川への引越、俺が東京の単身赴任生活を終えて、神奈川への引越と二つの引越の予定があったからだ。
二つの引越が設定されていた状況で、海外旅行なぞに行ける時間的、金銭的余裕は俺達にはない。

それは仕方のないことではあるけれども、相方のストレスが溜まっていたのは判っていた。札幌からの転居や、マイカーの売却などを相方に全てやって貰った。労う必要がある。
「年末年始にどこか温泉でも行こうか。Go Toキャンペーンもあることだし」俺が相方に水を向けたのは、Go Toキャンペーンがやたらと盛り上がっていた時期の筈だ(いつかはもう忘れた)。

相方は千葉県の某所の温泉宿を探してきた。残念ながら、大晦日に宿泊するコースはなかった。きっと何年も前から予約済なのだろう。代わりに元日の夜に宿泊出来るコースなら空きがあった。ただし、料金は冗談抜きで高い。温泉は一年のうちで年末年始が一番料金設定が高いのである。Go Toキャンペーンのお陰で、かなりの額が割り引かれたが、それでも充分に高かった。

ところが12月に入り、アベと同じように嘘が得意なスガが「Go Toキャンペーンは無し」と言い出した。相方が驚愕し、予約サイトでGo To無しの場合の料金を確認した。洒落にならない額になっていた。
「いくらなんでも、千葉の温泉宿にそんな金が払えるか!」(千葉の方、すみません)と、キャンセル。だが、相方は既に元日は温泉モードになっているのがありありと判った。
「じゃ、元々払う金額で行ける温泉あるなら、そこに変更でも良いよ」俺が言うと、相方は「熱海なら、空きがありそうだよ!」と探してきた。こういった時の相方は行動が素早い。

熱海に行く事にした。相方の母方の祖母が伊豆の出身なのだ。伊豆地方に行くと必ず相方は「おばあちゃん」の話をいくつもしてきた。相方にとっては、幼少期そして10代の頃の思い出のある地なのだろう。

レンタカーで川崎から熱海を目指す。行きは時間があるので、高速は使わずに国道1号線をのんびりと。暫く走っていると富士山が見えた。そういえば、札幌に引っ越して以来、富士山は見ていなかった。実に4年振りの富士山だ。

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そして静岡に入る。今度は海が見える。

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11時を過ぎた辺りで、相方がお腹が空いたと言い出す。「2021年最初の食事はファミレスかなー。最悪コンビニだねー」
さすがに元日の食事がコンビニはどうなんだろうと思う。せめてファミレスが良いな。そう思っていたら、運よくデニーズに遭遇。

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相方は、パンが食べたいとのことで、クラブハウスサンドイッチ。元日のランチがそれか?

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と偉そうに言っているが、俺のそれは担々麺。2021年からこれである。良いのか、これで?

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熱海に到着したのが、14時くらい。まだ、チェックインまでは時間がある。相方は「熱海城」と「トリックアート館」に行こうと言う。暇つぶしには丁度良いかもしれない。

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高台から眺める太平洋。やはり海は良いなー。「なんで人って海に惹かれるのかな」と俺が問うでもなく相方に言う。「やっぱりさ、母のお腹の中を思い出すからじゃない」とは相方の答え。俺はそんなの覚えてねえぞ、深層意識の中にあるのか?

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そして熱海城の前から見た景色。これはあのイタリアのナポリにも似た景色で、確か姉妹都市契約を結んでいるとかいう話を昔聴いたけど、今はどうなってるのかな。この景色も悪くはないのだけれども、海外に比べるとやはりインパクト不足だな。

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相方が「日本てさ、無難に収めちゃうからね。もっとホテルの外観とかビビッドにすればいいのに」と言う。「そういえば、韓国とかでも派手な色合いの建物が沢山あることで観光名所になった場所あったな」と俺が返す。相方の言い分も判る。白やベージュのホテルばかりじゃ景色が単一で面白くないのは事実だな。

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そして、熱海城。チープというか、そのチート感が尋常ではない。要するに「偽物感満載」だ。もともと観光用の建造物だからそこは言っても詮無いことだ。

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トリックアート館をまずは最初に見る。

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正直、もっといろいろなバリエーションがあるのかと思ったが、三次元に見える絵が多数ある程度。こんなこと書くと悪いが、正直大したことなかった。

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これはお約束の、大小関係が逆に見えるという部屋だ。相方が俺よりもでかく見える。ちなみに俺が身長177センチ、相方は160センチ。

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下もお約束の一つ。背中を向けている男性の大きさは三つとも同じ。この類のネタはネットでよく見かけるなあ。

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トリックアート館はそんな感じであっさり終了。他にも色々飾ってあったが、あまり変わり映えしないものが多かったので、写真は割愛。今見直しても「おおっ」ってなるものは殆どない。
これで、大人1,000円だからなあ。うーんて感じだ。

次は熱海城を見ようと思っていたら、ちょうどお猿の芸をやっていたので見る。お猿の背中にリボンが付いていたので、相方はお猿は女の子だと思っていたらしい。猿回しの人が「お猿の金太郎君です」と紹介していたら、相方は脱力していた。

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次いで熱海城。ここも特に面白いものはない。ふーんという感想以外が出てこない。

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お城の中に足湯があるというのが、熱海っぽいと言えば、熱海っぽいか。

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何故、熱海とゴジラが戦うのか、その理由がさっぱり判りません。

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熱海城の中では浮世絵を見る事も出来る。俺は北斎の「富嶽三十六景」が好きなんだよな。昔は北斎の絵を集めようかと思っていた頃もあったのだが、気づくと断念していた。何故かって? 金がなかったからだ。そして今は収集しようという気力がない。人生は上手くいかないものだ。

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と、延々と前振りを長く書き過ぎた。やっとホテルに到着。

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部屋はそれなりに広くて立派である。一泊しかしないので勿体ない気がしなくもない。が、正月に温泉に泊まるなんて滅多にない事だ。たまの贅沢はしておこう。いつ死ぬか判らないんだしな。

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夕食までは時間があるので、ホテルの近くを散歩。とは言え、特に見るべきものなどない。俺達の場合は観光に来たというよりも、(相方が)正月のおさんどんを逃れる為にやって来たというのが正解だからな。それで良いのだ。

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晩御飯はビュッフェだ。レストランで好きな物を取って食べる。今回は選択の余地がなかったけれども、温泉宿はやっぱりビュッフェよりも懐石スタイルのほうが良いと思うのは、俺が年寄りだからか?

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相方から「ビールなら3本まではいいよ」とのお許しを得たので、久しぶりにアルコールを。スーパードライ飲んだのは久しぶりだが、これ美味くないな。

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食事を終えて風呂に入る。陽がとっくに落ちているので、露天風呂に入っても景色も見えず、うーんて感じ。ま、しょうがねえか。風呂は空いていて、俺以外に客は二人くらい。みんな、早い時間に風呂に入っているのかな。

翌朝。窓からの景色。朝日が綺麗だなあ。

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朝風呂を終えて部屋に戻ると、すっかり陽が高くなっていた。

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そして、またまた朝食はビュッフェ。この時に俺達は痛恨のミスを犯す。熱海に行く前から「沼津に寄って美味しい海鮮を食べよう」とずっと言っていたのだ。それなのに、ホテルの朝食で俺達は満腹になってしまい、昼を過ぎてもお腹が空かなかった。何故あの時、朝食を腹いっぱい食べたのか、未だに理解出来ない。
人はたまに、理由の判明しない過ちを犯すことがある。うーん、判らん。

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ホテルを出て、千本松公園という場所へ向かう。相方が「千本松公園へ行こう」と言うので行っただけ。何があるのかと尋ねると、富士山が綺麗なのだとか。なるほど。確かに見事な富士山だ。

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太平洋と富士山を両方見る事が出来るというのも、なかなか珍しい景色ではあると思う。

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そしてこの後は沼津の海鮮市場に行ったのだが、二人とも腹が空かず、せっかくの海鮮を食すことが出来なかった。勿体ないことをした。朝食のウィンナーやスクランブルエッグで満腹にしている場合ではなかった。
こんなにも美味そうな店が沢山あるというのに。

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相方は金目の干物とマグロのテール煮込みを自分への土産に買っていた。それらは今日の晩御飯の食卓に並んだ。金目の干物は美味かった。

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やる事もなく、腹も減っていない。どうしようかとなった。相方が「そうだ、世界遺産になった反射炉を見に行こう。おばあちゃんちの裏にあったんだよ」と言う。じゃ、付き合うかと反射炉まで。

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反射炉は補修工事中なのかカバーが掛けてあり、見た目が今一つ。今回の旅行は色々とタイミングやらが悪かったようである。

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と、梅が咲いていた。この辺りは暖かいのだなあ。1月で梅が咲いているのだから。札幌にいた頃なんて、梅と桜と桃が同時に見られたものだが、日本というのが縦長な国であることを再認識する。

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レンタカーは20時までに返却しないと一泊分の延長料金を払わなくてはいけない。ということで、夕方16時半に出発。到着予定は18時半。帰りは東名高速だ。
と余裕を見せていたら、なんと高速で事故渋滞が2つも発生。到着予定時刻21時をカーナビが示している。
「こりゃまずいな。レンタカー屋に連絡して」と相方に頼む。相方が従業員と話をしているのが聞こえる。どうやら20時に着かない場合、延泊料金として9,300円程余計に払う事になるらしい。

「あー、正月早々、事故に巻き込まれるなんて、ついてないなー」相方が嘆く。
「いいじゃねえか。俺達は金払えば済む問題だ。事故起こした当人達は正月三が日に事故だぞ。そっちのほうが大変だろう」
確かに9,000円払うのは勿体ないし、馬鹿らしい。でも少なくとも金で片付く問題だ。渋滞で疲れたりはしたが、それだって無事に帰ってこれたのだ。そう思えば、大した問題じゃない。

高速を降り、21時を回った辺りで腹が減ったので、和食ファミレスで晩御飯。本当なら沼津の海鮮丼を食べていた筈なのにな(笑)

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でも悪い事ばかりじゃないさ。翌日もレンタカーを使えたから、車でないと行けないIKEA(大型家具店)に行って、布団とか買えたから。そう考えれば、結果オーライだ。
沼津の海鮮もまたいつか食べる事も出来るさ。
マイナスがあれば、いつかプラスも来る。そう考えてりゃ、多少はハッピーには生きていけるさ、きっと。