Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

彼方からの手紙

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Facebook、Instagram、TwitterとSNS全盛期な気がする。皆、よくそんなにやっているなあと思う。

俺がFacebookを始めた最大の理由は、古いアメリカの友人を見つける為だった。無事にその目的は果たされ、友人と連絡を取れる状況になった。アメリカ人はFacebookを当たり前のようにやっているだろうという狙いは当たっていた。
目的を果たしたのだから、もうFacebookは辞めても良かったのだが、いくつかのグループに登録して情報交換などをやるとそれはそれで楽しい。
所属しているグループは音楽関係が多い。たまに余計な投稿やコメントをする馬鹿もいるが、それは黙殺すれば済む話だ。

Twitterは基本的には読む専門だ。たまに投稿するけれども、取り立てて呟きたいことがある訳でもないので、一週間くらい平気で放置したりする。そもそも140文字じゃ、書く量が少なすぎて中途半端だ。
鹿島アントラーズ(サッカーチーム)の情報収集に利用しているくらいである。

Instagramを始めた理由はミラ・ジョヴォヴィッチの投稿を見たかったからだ。それ以外に積極的な理由はなかった。だが、勝手に「この人知り合いじゃありませんか?」機能が働いて、学生時代の友人や音楽関係の仲間達がレコメンドに上がってくるので、深く考えずにフォローしたりしている。画像アップをする趣味がないので、Instagramではただの一度も投稿をしたことがない。今後もする予定はない。
上げたい画像があれば、それはblogで事足りる。Instagramは見る専門である。

そのInstagramでメッセージのやり取りが出来る機能があることを昨日知った。紙飛行機のようなアイコンがあって、メッセージが届いている事を知らせていた。なんだろうなと思ってクリックすると、昔の恋人からのメッセージだった。
昔の恋人と言っても、10代の頃に交際していた相手だ。互いにそれぞれの家庭があり、今更なんだろうという気分のほうが強かった。

最初は「お久しぶりです。***です。元気ですか」だけのメッセージ。俺も同じように当たり障りのない返信をした。すると彼女から「実家の@@@に戻りました。夫は別に女性がいます」と衝撃的な追伸が来た。
一読して驚いたが、やはり俺がとやかく言えることはほぼないので、「それは辛かったね」的なニュアンスの言葉を返した。

彼女は詳細を書いていなかったし(書きたくもなかったのだろう)、きっと離婚という形になるのだろうと俺は想像した。彼女はいくつだっけと思い返した。俺の二つ下だ。ということは、今51歳。50歳を過ぎてからの熟年離婚か。
彼女の夫のことを俺はよく知らない。というか、彼女の夫は俺と彼女の関係を終わらせた直接的な原因を作った人でもある。

俺と彼女が学校の関係で遠距離恋愛となり、その時に彼女にアプローチしてきたのが、彼女の夫だ。詳細は判らないけれども、彼女はそこで離れている俺よりも彼を選んだ。そのことで当時は彼女を責めたが、それは致し方ないことだなと後になって思い至った。
誰だって離れている恋人よりも、辛い時にすぐ側にいてくれる人を受け入れるのは当たり前の話だ。

彼女と別れ、何年か経ち、24歳の時に彼女と再会した。その時、既に彼女は彼と結婚していた。子供もいたかな、多分。もうその時は俺にも別のパートナーがいたし、彼女に対しては「懐かしい」以外の感情はなかった。
ああ、10代の頃はこの子のことが大好きだったんだよなぁという感慨しかなかった。俺達は10代の恋愛を卒業したんだな、格好つけて言えば、そういったことだったのだと思う。
それ以後、彼女と会うことは無論なかった。彼女から娘さんとのツーショット写真を貰ったりもした。俺の中では、彼女のことは良い想い出以外の何物でもなかった。

彼女が彼女の夫と親密になった理由の一つとして、俺とのことを彼に相談していたからだと聞かされたことがある。確か彼女がバイトしている店の店長だったのかな? 彼は俺よりも年上だったはずだ。
恋愛相談に格好つけて、人の女を取りやがって。当時はそんな思いもあった。だが、彼女が惚れた男なのだから、きっと良い人なんだろう。俺はそう思う事によって、彼女を諦めた。
素直に俺の負けだな、そうも思った。恋愛は勝ち負けじゃないけれどもね。

だから、彼女が彼と結婚し子供を設けたという話を聴いた時も、それは素直に「良かったな」と思えた。逆に彼女から「結婚しないの?」と心配されたりもした。大きなお世話だよ(笑) 昔の男の心配してんじゃねーよ、である。

勿論、今の俺には相方がいるし、仮に俺が今一人だとしても、彼女に何かをする事はあり得ない。もう俺の中で彼女とのことは終わったことだからだ。そして彼女に対して何かをしてあげたいというだけの気持ちも残っていない。
不人情だと言う人もいるかもしれない。だが、人はいつまでも17歳で立ち止まってはいられないのだ。

彼女にしても、俺に「亭主が浮気(本気の可能性が高そうだが)している」とメッセージを寄越したのも、単に昔の男に愚痴りたくなっただけなのだろう。俺に何かをして欲しいという事でもないのは明白だ。
SNSを通じて、昔の女の苦悩を知る羽目になるとは、17歳の頃の俺には想像もつかなかった世界だ。

ツールがどれだけ進化しても、人の心に寄り添えるようにはならない。人の心に寄り添えるのは、人だけなんだな、そんなことを考えた。