Some Were Born To Sing The Blues

酒好き(2017年秋に断酒を宣言)、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越す。2017年春にピアノを始めた。そして2019年6月に東京で一人暮らしを開始。2020年10月に神奈川に移り住む。生々流転の日々。

Saxを吹いて、安室奈美恵に憧れたアムラーの気持ちを知る

札幌から東京に戻っての1年半、Saxを吹いた回数は数える程だった。10回未満なのは間違いない。去年の10月末に川崎に引っ越して「これではいかん」と心を入れ替えた。Saxを吹くよう、意識的に機会を増やした。また自分の中で、エリック・クラプトンの『Tears In Heaven』を吹けるようにしようと決めた。ここまでは良かった。 

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問題はここからだった。とりあえずメロディはコピーして、そこに自分のアドリブを足す計画にした。そしてあっさり頓挫した。自分のアドリブ能力の低さを失念していたのだ。どう頑張ってみても、聴くに堪えない演奏にしかならなかった。
これは駄目だな、自分のアドリブを入れる作戦は諦めた。きっと何処かに俺が吹きたくなるような『Tears In Heaven』をSaxで演奏している人がいる筈だ。俺はYouTubeを漁った。
おお、いるじゃないか。ジョシュア・レッドマンが素晴らしい演奏をしていた。よし、これをカバーしよう。そう決めた。今は、ひたすらジョシュア・レッドマンの演奏する『Tears In Heaven』をマスターしようとしている。尤も、俺の場合は完全コピーは出来ないので、難しいフレーズや自分の中で「なんか違うな」と思う部分はばっさりカットしているのだけれど。

それでもやはりなかなか吹けないフレーズが出てくる。何度も何度も反復練習を繰り返す。オリジナルのテンポでは吹けない場合、一旦半分くらいまでテンポを落として、ひたすら反復。出来たかなと思い、通して吹く。駄目だ、指が動かない。また最初に戻って反復練習。
基本、楽器練習はこのパターンが殆どだ。これは楽器をやる方は賛同して貰えると思う。
今は吹けなくても、繰り返し練習していれば、いつかは吹けるようになる。だって、今までもそうだったから。過去の経験が俺にそれを教えてくれる。

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吹けないフレーズって、やっぱり格好良いのだ。格好良いものほど、難しいと言ったらいいのかな。自分の中で「これは難しいな。でも、これは吹けるようになりたい。吹けたら絶対に決まる!」という想いがある。それが練習のモチベーションにもなっている。
やっぱり、ジョシュア・レッドマンはプロだけあって、凄いよなあと実感しながら練習していたら、唐突に安室奈美恵さんというか、アムラーが頭に浮かんだ。

アムラーというのは、安室奈美恵さんに影響を受けて彼女のファッション(見た目)を真似した10代の女の子達のことだ(多分。詳しくは知らないけれど)。
当時、テレビやネットとかで「アムラー」という言葉を見聞する度に「今更、ガンダムが流行ってんのか?」と勘違いしたものだった。ガンダムの主人公の名前がアムロ・レイである。俺と同様にアムラーをガンダム用語だと勘違いしたおじさんが間違いなく一定数いる筈だ。
暫くして、安室奈美恵さんに影響を受けた少女を指す言葉だと知る。俺は「全く、今時の女の子は自分を持ってねえな。有名芸能人のファッション真似してどうすんだよ。自分の好きなファッションを身につけろよ。猿真似してそれがお前のファッションか?」などと苦々しく思っていた。

だが、だ。
今の自分はどうなのだ。
オリジナルの『Tears In Heaven』を吹く事が出来ず、プロのジョシュア・レッドマンのバージョンをカバーしようとしている。アムラーと何が違うと言うのか。
俺がジョシュアの演奏をカバーしようと思っているのは、それが最高級に格好良いからだ。俺も同じフレーズを吹きたい、吹けるようになったら間違いなく気持ちよくなれる。それが判っている。そりゃ、ジョシュアに匹敵するようなオリジナルの演奏が出来ればそれに越したことはない。でも、それが出来たらプロのSaxプレイヤーになってるよ。出来ないから、ある種の疑似体験じゃないけど、プロの演奏を真似するんじゃないか。

アムラー達も同じだったに違いない。自分で選んだ服やアイテムで「可愛く」なれればいい。でも自分じゃ良いアイディアが浮かばない。安室奈美恵さんが最高級にキュートな服や靴を身に着けて、イケてるメイクアップをしている。ああ、私もそれ着てみたいな、メイク見習いたいな、そしたら安室ちゃんみたいに少しでも可愛くなれるんじゃないか。安室ちゃんみたいなルックスに近づきたい。10代の女の子がそう思って何の不都合があろう。いや、それは自然の感情じゃないか。

誰だって格好良くなりたい、可愛くなりたいだろう。自分から不細工な見た目、格好悪い行動を取ろうとする人間はいない。そして、格好良くなる術が判らない時に、目の前にそれを導いてくれる先人がいたら、その人のフォロワーとなっても何ら咎められるものではない。むしろ、「追っかけ」になって何が悪いの? である。

憧れの人と同じようになりたい。
それは10代の少女であろうと、50代の棺桶に片足突っ込んだおじさんであろうとも、同じなのだ。