Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

サンフランシスコ旅行(11)5日目 最後のディナー 2009/09/24(木)

2009年9月にサンフランシスコへ出掛けた。旅行はたかだか一週間程度なのだが、やはり貴重なものだなと思う。
当時、40代前半で旅行したから出来た行動もある。もし今の歳で行っていれば違った見え方をしたものも沢山あるだろう。
だからこそ、旅は一期一会なのだと実感する。

***

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土産用のTシャツも買い込んだので、残すはディナーのみ。せっかくのサンフランシスコ最後の夜。ならば、ディナーは景色の良いレストランで摂ろうということになった。ガイドブックを見ると、海岸沿いにはオーシャンヴューの良いレストランがあるらしい。
相変わらず「要予約」とあるが、面倒臭いので(実は電話で英語が通じる自信がなかったので、予約しなかっただけ)直接行く事にした。
まずは何度も利用したFラインという路面電車に乗って、ベイブリッジ近くの停留所で降りる。さすがにこの頃は路面電車、市バス、ケーブル・カーも乗りなれたものである。
ガイドブックを頼りに歩く。本に載っている地図が相当アバウトなので、一体どのくらい歩けばレストランに辿り着くのか判らない。10分くらい歩いても目当てのレストランが全然見つからない。

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「うーむ。またもや迷ったか…」
おまけに、アメリカ人ファミリーぽい人達が急ぎ足で我々を追い越して行く。もしかして、この辺りのレストランは大人気なので皆慌てているのだろうか、と疑心暗鬼になる。
途中で黒人青年が胸にダンボールで作ったプラカードをぶら下げていた。"I NEED A TICKET"とある。
相方と「一体、何のチケットが必要なんだろ? バスや電車のなら窓口で買えるよねえ…」と首を傾げる。歩いていると、一般的な全然オーシャンビューじゃない街中にあるレストランを二つほど見かけたが、目的のガイドブックに載っているレストランはない。
そろそろ20分は楽勝で歩いたであろう。アメリカンなファミリー何組にも追い抜かれる。段々と絶望感に襲われてくる。こりゃ、駄目か。
相方と「どうする? 戻ってさっきの(何の変哲もない)レストランで夕食にするか?」と弱気になってきた。と、その時だった。目の前に見えたのが、下の景色。

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そう、AT&Tパーク。あのサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地だ。あ、そういうことか。納得が行く。先程、チケット欲しいと胸にカードをぶら下げていた青年のいうチケットとは野球の観戦チケットのことだったのだ。
我々を追い越して行ったアメリカンなファミリー達はみな、これから楽しく家族で野球観戦をする人達だったのだ。

野球場の目の前にはバーが三軒程並んでいた。中には当然TVが何台も設置されていて、野球中継をやっている。既にビールやウィスキーで乾杯をして、歓声を上げている人達多数。ストリートでは野球のレプリカユニフォームを売っている人なぞ。
周りは人だかりだ。自転車に乗った黒人ダフ屋さんに「チケット要らんか?」と声を掛けられた。この日が最終日じゃなければ、野球観戦も記念に良いのだが、今日はラスト日だしな。残念ながら、3時間もスタジアムにいるわけにはいかない。
18年程前に仕事でシンシナティに行った事があった。その時、シンシナティ・レッズの野球ゲームを見た事があるのだが、その時の熱狂も凄かったな。それを思い出した。

野球場の近くに、適当なレストランはないし(仮にあっても、野球ファンで一杯だろう)、これは戻るしかあるまいと元来た道を引き返す。途中でやはりSFジャイアンツのユニフォームに身を包んだ人達多数とすれ違う。とりあえず、街外れのレストランに入る。まあ、一般的なこれといった特徴のないアメリカンレストラン。
やはり最初はパンが出てくる。これはお約束。

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で、これがラスト・ディナーなのだから、せっかくだからワインを飲もうと相方が言い出す。酒ならなんでもOKな俺だから、ワインでも全然構わないが、ワインの味なんて判らんぜ。メニューを見ても、どれがどうなのか、さっぱり判らない。
「こういった時は、スパークリング・ワインにすればいいんじゃないかな?」
と相方の提案でスパークリング・ワインを頼む。ボトルで22$なり。安いね。

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一口飲んでみるとこれが美味い。さすがカリフォルニア。ワインは美味い。というか、普段、スパークリング・ワインなんか飲まないから、合格なワインなのかは不明だけれど。でも、甘すぎずに良い味でした。
ひたすら歩いて外の寒さに若干やられたので、「本日のスープ」も頼む事にした。カップとボウルの2サイズが選べる。アメリカで調子づいてボウルなんかで頼むと、それだけで腹一杯になってしまうので、カップで注文。コーン・スープである。個人的にはオニオン・スープが好きなのだが、まあ仕方ない。

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そして、相方はなんやらよく判らんパスタを。俺はターキー・ステーキを注文。

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このパスタ、味はあまりよく覚えていない。多分、記憶に残っていないので、物凄く美味かった訳でもなく、特に不味かったということもなかったのだろう。平均的な味だったと思う。
そして、俺の注文したターキー・ステーキ。とは言っても、パスタとステーキは当然シェアして食べる。単純にそれぞれ一品ずつ食べたい物を注文すれば、文句はないだろうというルールなだけである。取り決めた訳じゃないけど。

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ターキーが個人的に好き、というのもあるのだが、これは滅茶苦茶美味かった。最後のディナーに選択して正解。但し、見て貰って判る通り、マッシュ・ポテトの量が尋常じゃない。なぜ、アメリカ人はこうもポテトを食べたがるのだろうか。
料理を堪能し、すっかり満腹になったところで、相方がデザートを食べたいと言い出す。最後のディナーということで、相方にチョコ・ケーキとカフェラテ。

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そして俺はコーヒー。コーヒーよりもアルコールというのが本音なのだが、まだ時間は早い。ここで一旦コーヒーブレイク。

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ディナーはトータルで約85$。非常にリーズナブルな値段であろうと思う。レストランは街外れだったので、食事を終えて徒歩でダウンタウンまで戻る。すっかり日が落ちて夜の街になった。ちょっと判りづらいが、この写真の奥に写っている青いネオンの店が食事をしたレストランである。

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そして、夜のベイブリッジ。日本と一緒で夜になると、橋がライトアップして非常に綺麗。ムードがある…

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さらに夜のサンフランシスコを歩く。いやあ、椰子の木が良い感じだ。

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ダウンタウンに行き、どうするか考える。まだ行った事のないライブハウスに行くのも手なのだが、下手に迷うのもイヤだな、ということで初日に行った「ビスケット&ブルーズ」に再度行く事にする。
前回行った時は22時過ぎで一時間しか演奏を聞けなかったが、今日はまだ20時ちょっと過ぎ。たっぷり時間はある。

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ということで前回撮れなかった店内の写真をいくつか。
これは廊下に飾ってあった写真。「father of the blues」と書かれているが、生憎誰だかよく判らん。普段の不勉強ぶりを恥じるばかりなり。

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次はトイレに飾ってあったもの。いやあ、渋いね。使い込まれたアコースティック・ギターが良い味出してる。こういったポスターがあったら、自分の部屋に飾りたいところなんだが。こちらはブルースの王様、ロバート・ジョンソンだ。

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本日はまず、ブラッディ・メアリを注文し、そしてお代わりはバーボン。最後の夜なんで、ちょっと強めの酒も注文するのであった。(最後の夜じゃなくても注文してるだろ! というツッコミは無しで)

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本日の出演者は、ギター、ヴォーカルとドラムの二人組。初日見た時も二人組だったんだよな。ここのステージは二人組専門なのかな?(出演者の人数が三人未満と三人以上だと出演料金が変る場合があるから、そのせいかもしれない)
ギターの人はちょっとカート・コバーンみたいな感じの人。ドラムの人は特に印象に残っていない。

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やっている曲は全然知らないカントリーとポップスの中間みたいな曲ばかり。というか知らなくて当然だった。途中でヴォーカルの人のMCがあったが、これはギターの人が作った曲だったのだ。
「夜ベッドで寝てたら、シーツを奥さんに取られたんですよ、その時にこの曲が出来ました。聞いて下さい」と意味不明な前振りで歌ったりして、典型的な売れないポップスシンガーといった風情ではあった。日米問わず、音楽で喰っていくのは大変だ。
何故か、ブルース・バーなのに、静物の油絵が飾ってあったので、これも記念に撮っておく。撮る意味がよく判らんけどね。

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と適当に彼らの演奏を聞きながら酒を飲んで、サンフランシスコの最後の夜は更けて行った。

さて帰ろうかとブルースバーを後にする。ダウンタウンを歩いていると、リムジンに遭遇。いやあ、凄いな。VIPでも乗ってるのかな?

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サンフランシスコ最後の夜なので、街の写真を適当に載せておく。

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いつものように、夜のケーブルカーに乗って、フィッシャーマンズ・ワーフに戻る。ケーブルカーでホテルに帰るのがある種の日常となった。ケーブルカーの中から撮った夜景をいくつか。夜でもサンフランシスコの坂が凄いことは見てとれるかと思う。

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終点に到着する。客が俺達しかいないので、ドライバーが気を効かせて写真を撮ってくれた。

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楽しい時間はあっという間に過ぎて行く。こうしてサンフランシスコ最後の夜も静かに終了した。明日は帰国だ。