先週の火曜から土曜まで、札幌に行っていた。この時期、東京都民が移動するなんて、ふざけてんのか? そう思われる人もいる事だろう。
しかし、俺にとっては必要なものだった。俺の行動を非難する人がいてもおかしくない。だから、その判断は今日のblogを読んだ人達の判断に任せたい。
3月半ば、相方からLINEのメッセージが来た。「健康診断で再検査したら、手術することになった」
俺は夜になって相方に電話をした。腫瘍が出来てそれを除去する手術らしい。手術は4月10日前後になると言う。俺は「札幌に行くよ」と告げた。相方は「難しい手術じゃないし、わざわざ来なくてもいいよ」と言う。
だが、同意書も書かなくちゃいけないし、手術の時にすぐに駆けつけられる場所にいなくてはいけない。東京にいたのでは、その辺りがどうにもならない。
相方は簡単な手術だと言う。事実そうなんだろう。だが、「万が一」ということがある。この世の中に絶対はあり得ない。もし、手術の時に東京にいて何かあったら、俺はきっと後悔する。俺が札幌にいたからと言って、物事が上手く進む訳じゃない。
これは単なる俺の自己満足に過ぎない。それでも、俺が相方に出来る唯一のことだ。それをしなかったら、何の為に日々生きているのか、意味がないじゃないか。
成田空港からLCCで札幌まで。札幌に行くのは、ほぼ一年振りだ。都内から成田空港まで京成スカイライナーを使ったのだが、一車両に乗客が俺しかいなかった。この辺りにコロナの影響を感じる。
火曜の夜に札幌に到着した。実は相方が入院、手術の日を一日間違えて俺に伝えていたのだ。この辺りが相方は抜けている。翌日水曜に入院だと思っていたら、入院は木曜だと言う。
水曜日は入院のヘルプをする予定だったが、相方の伝達ミスのせいで、やる事がなくなった。それでも、久しぶりなので懐かしく、マンションの近くを散歩したり。この景色も約一年振りだ。懐かしいの一言に尽きる。
相方は入院に備えて、冷蔵庫を空にしていたので、晩御飯は外食。家の近所になごやか亭という美味い回転寿司屋がある。そこに行った。普段は混んでいて、一時間待ちとかざらなのだが、この日はすぐに案内された。それもテーブル席にだ。これもコロナの影響だなあ。相方は美味い、美味いと寿司を頬張っている。入院前だが、体調が特に悪いのでもない。食欲旺盛だった。
人が「美味しい、美味しい」と食べている姿を見るのは良いことだ。
翌日、相方は入院。今はコロナの影響で、見舞とかも禁止なのだ。手術の付き添いとかも基本NG。だから、病院の受付まで相方の荷物を持ってやって、そこでお別れ。
入院した病院は時計台の近く。約一年振りに時計台を見た。一年前は、中国人観光客が大量にいたものだが、閑散としている。札幌も観光都市だから、今回の打撃はどれほどのものか。
札幌市役所の食堂に行って、味噌ラーメンを食べる。実は俺が札幌で一番多く食べた味噌ラーメンは市役所のそれだ。仕事場から近かったから、よく食べたんだよな。味は市役所の食堂レベルだ。それでも何か懐かしい。
木曜の夜は昔一緒にバンドをやっていた二人と再会。さすがに飲み屋はスカスカだった。東京から来た人間が札幌の人と接触するのはよろしくないのは判っている。だが、この機会を逃すとそう簡単には会えないし。
金曜は相方の手術の日。これもこちらは部屋で待機するのみ。午前中は、相方からLINEのメッセージが来る。入院している人とLINEで遣り取り出来るというのが、現代だなあと変なところで感心したり。
夕方の17時過ぎに相方から「麻酔から醒めたー」というメッセージが届く。無事に終わったらしい(というか、手術中に連絡がなかったのだから、それは無事であろうという事なんだろうけど)。
金曜の夜は、別のバンド仲間と再会。勿論、相方の手術が上手く行ったから、安心して出掛けられたのは否定出来ない。ほぼ一年振りに会う人達だが、みなあまり変わらない。一年くらいじゃ、そう簡単に変わらないのかもしれないな。
一年振りに会って会話しても、なんか俺が札幌にいた頃と全然変わらないのが嬉しい。向うもそういった感じで受け入れてくれたし。感謝、感謝だ。
土曜日は東京へ戻る日。相方が予定を間違えて伝えていなければ、本当は退院の手伝いをする予定だったのだが。まあ、仕方ない。
今回の手術は無事終わったが、腫瘍が悪性だともっと大きな手術を受けなくてはいけない。だから、これはあくまでも始まりに過ぎない。どちらに転ぶかは当然判らない。
そして神に祈るなんてことは俺はしない。神に祈ったところで、相方の状況が良くなる訳じゃない。
俺は俺に出来ることをやるのみだ。