Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

原理主義者は要らない

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どんなジャンルにも純潔主義を良しとし、他の介入、混入を頑として認めない人がいる。

俺はFacebookをやっていて、音楽グループにもいくつか参加している。参加しているのは、ロック、ジャズ、ブルースがメイン。
音楽に関しては、詳しい人が山ほどいるので、俺はどちらかというと読む専門。「へぇー、そんなミュージシャンいるのか」とか「ああ、その曲昔聴いたなあ、懐かしいなあ」みたいな受動的な参加が主。

ただ、ロックにしてもジャズにしても、原理主義者とでも言えばいいのか、「俺はこんなのは認めない!」みたいに声高に言う人が必ずいるので閉口する。
海外のロックバンドは、メインであるボーカリストが交代する事がままある。有名なところだと、Deep Purpleは全盛期ですら、三回もリードボーカリストが交代している。一番人気があったのは、二番目のボーカリストのイアン・ギランだろう。だが、俺は三番目のボーカリストのデビッド・カバーディールのほうが好きだ。これは「紅茶が好きか、珈琲が好きか」みたいなもので、優劣もなければ上下もない。互いの好みの問題だ。
単純に、どちらが在籍していた時代のほうが売れていたか、という比較は出来るだろう。しかし、音楽なんて聴く人本人が好きなら、売れていようが、売れていまいが関係ない。「俺はAよりBが好きだな」これだけだ。それ以外には何もない。

だが、世の中には「Deep Purpleはイアン・ギランの時だよな。他のなんか聴く気にならない」と公言して憚らない人がいる。お前が好きなのはそれでいい。だからといって、他の人が好きなものを腐す必要はどこにもない。

ジャズの世界もやはりそういった原理主義的な人が多い。もしかすると、ジャズのほうが受け入れる間口は狭いかもしれない。Facebookでも先日「八代亜紀がジャズだなんて、認めない!」とお怒りの御仁がいた。俺はジャズボーカルは人に何か語れる程聴いていないので、「へー、八代亜紀ってジャズやってたのかー」くらいの認識である。
八代亜紀がジャズシンガーとして凄いのかどうかは俺には判らない。俺は歌物のジャズは興味がないので、正直言うと「どうでもいい」というのが本音。
俺の中で、ジャズというのは、サックスであり、ピアノ。たまにトランペット。そのくらいだ。サックスにしたって、大量に聴きまくった訳でもない。昔はスタン・ゲッツ(ジャズサックスの巨匠)って音色が気に食わねえとか思ってたくらいなのだ(スタン・ゲッツ好きからしたら、怒られる事必至である)。

問題なのは、こうやって「演歌のジャンルの人間がジャズをやる事を許さない」風潮というか空気が当たり前のように蔓延する事だ。どう考えても、今の時代にジャズはメインストリームじゃない。それを言えば、ロックも既に衰退しているという気もしなくもないが。
そうやって「新しい血」を入れる事を古参のファンが許さないと、そのジャンルはどんどん先細る。これは明白である。
そのジャズのグループも、投稿された文を読んでいると、結構年配の人が多い事に気付く。若い20代、30代のジャズ好きもゼロではないだろうが、分母は圧倒的に少なそうだ。

そうやって「新しい変化」を拒んできたから、ジャズはどんどんニッチな音楽ジャンルになったのではないか。ブルースにしても同様だ。俺が昔一緒にバンドを組んだ人は、ブルース原理主義者とも言うべき人で、ホワイトブルース(白人のやるブルース)は一切認めなかった。俺の好きな白人ギタリスト(兼ボーカリスト)にスティーヴィー・レイ・ボーンという人がいた(若くして亡くなってしまった)。その人は「スティーヴィー・レイ・ボーンなんかブルースじゃねえよ」とよく俺に向かって言っていた。

今の時代、ジャズを聴いているのは、俺と同世代かそれより上の人がメインだろう。そもそも若い人がジャズを聴く土壌がない。だから、今までジャズと無縁だったミュージシャンがジャズの世界に入って来て、そこで新しい市場が開拓されたりするのは、本来喜ばしい事ではないか。そうしなければ、新しいリスナーは増えないし、そのジャンルは発展していかない。ま、今の時代にどうやってもジャズは主流にはなり得ないとは思うが。

原理主義者の人達は、他の人の趣味を認めない偏狭さが、そのジャンルをどんどん狭めていっている事を自覚したほうがいい。
「変な方向に行くくらいなら、終わってしまったほうがいい」と思うのは自由だ。だが、それと同様に「多少形が変わっても、生き残る事のほうが大事だ」と思う人だっている。

ま、俺だってAKB48にジャズ歌われたら、嫌だけどな。
(真面目な話、AKBグループが売っているのは音楽ではなくて、握手券だろう)