Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

さよならスィートホーム

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新居に越して一週間が過ぎた。
一年半振りに相方と一緒に生活をすることになったのだが、これが面白いくらいに違和感がない。

しかし、仕事がちょうど地獄の一丁目を迎えていて、久しぶりの同居を実感している暇がなかった。
現在、在宅ワーク中なのだが、相方と生活を再開した途端に、現場出勤の状況となったのである。朝から現場に行き、夜中の23時に帰宅。そして、そのまま零時過ぎても家で仕事。
ワーカホリックかよ、ブラック企業かよ! てな話である。
ちなみに水曜日は23時に帰宅した後、夜中の2時まで仕事。木曜日も23時に帰宅した後、明け方4時半まで自宅で作業。気違い沙汰である。翌日は無論、朝の9時に出勤。

せっかくなので、忘れないうちに引越の顛末でも書いておこう。大した話は一つもないが。

10月24日、土曜日。ついに一年半の東京での一人暮らしを終了する事になった。引越業者は午後にやってくる。朝起きて、最後の片づけをする。もともと大して荷物があった訳ではないから、片付けも簡単だ。
一年半暮らした部屋だが、愛着も何もない。最初から「相方と再び暮らすまでの、一時的な仮住まいの場所だ」という意識だったから、部屋を暮らし易くしようとか、居心地の良い空間にしようという発想がなかった。
カーテンを買うのも勿体なかったので、デパートに行って窓を囲えるだけの布を買って、それをクリップで止めて吊るしていた。

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そして上述したように引越の準備が整う。カーテンがない窓ってなんか間抜けである。

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俺が住んでいた部屋は角部屋だったので窓が二つあった。だが、片方の出窓は一年半、一度も開けた事がなかった。というのも、俺は一階に住んでいたのだが、この出窓がアパートの二階への階段に近かった。開けると部屋が丸見えになるんじゃないかという恐れがあったせいだ。そもそも、布で隠していたから、開けるも何もないんだけれども。
一年半で初めて出窓を開けた。

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引越の前夜、最後の食事は冷ややっことビール。それにしても、侘しいどころの騒ぎではない食事だ。何かの拷問かな?

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引越業者がやってくる。部屋が狭く、荷物が少ないので、スタッフ二人とドライバー一人。簡単でよい。搬出は30分程度で済む。業者のリーダーはどうやらアルバイトのようだった。
俺が「ここに住む前は札幌にいたんだよね」と話す。彼は「別の仕事で札幌行ったことありますよ。【探偵はバーにいる】って映画ありますよね。あれのエキストラで真冬の二月に裸で船にしばられる役だったんです」リーダーは言った。
へえ、あの映画にそんなシーンあったかな。また見てみよう。

俺の部屋に楽器が多かったから、リーダーが「楽器やられるんですね、自分もベース弾くんですよ」と言う。俺は「今はやってないけど、昔はベースを弾いてたよ」と返す。二人で「ベースの音が小さいミックスのアルバムとか聴くと、むかつくよね」と合意する。
音楽はやはり、こうやって人と人を仲良くさせる吸引力を持つなあ。

引越業者と俺はほぼ同時に部屋を出る。一年半暮らした部屋も空っぽになった。

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新居に向かうと、業者のほうが早く到着していて、荷物の搬入は終わっていた。
マンションの廊下から見える景色。商業用ビルや住居の灯りが見える。これから、この夜の景色を何度見る事になるのだろう。それは俺にも相方にも判らない。それはきっと誰にも判らない。

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晩御飯はマンションの近所の中華料理屋へ。二人で青椒肉絲、麻婆豆腐、餡掛けチャーハンを食す。

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二人で「やっぱり麻婆豆腐は赤坂の過門香だね。今度行こう」と話す。
俺が東京、相方が札幌で暮らしていた頃はこういった会話をする事も不可能だった。それを思えば、今度あそこへ行こうか、そう言えるだけ、充分に今の状況は贅沢なのだろう。