俺達の旅行はいつだって、行き当たりばったり。過去にきっちりとスケジュールが組まれた旅行などをした事がない。例えば8日間現地で過ごせる旅行を予定したとしよう。そうした場合、オプショナル・ツアーで2日程埋まるとする。その場合、残りの6日間何をするか一切決めずに現地に行く。相方の中には「あそこは絶対行きたいなあ。あっちは行けたらでいいかなー。こっちはまあ、行かなくてもいいやー」程度のざっくりした展望しかない。
当然、俺なんか現地に着くまでそこがどこか判らないレベルなんだから推して知るべしだ。
今回の旅行も
3日目:ミハスからグラナダへ移動。グラナダ到着は12時ちょっと前。アルハンブラ宮殿のチケットを入手する。
4日目:12時にアルハンブラ宮殿見学。16時半の長距離バスに乗って、コルドバへ移動。
この二日間で決まっている事は上記に書いた事のみ。それ以外は全部、出たとこ勝負なのだ。
そして、この三日目もアルハンブラ宮殿のチケット入手というミッションはクリアしてしまった。あとはその場その場でやりたい事をやるのみ。
「地球の歩き方」を見て、観光名所を確認。まずは、先程食事をしたカフェのすぐ近くに「アラブ人街」があり、その先に「サンニコラス展望台」があるという。相方がカフェのウエイターに「サンニコラス展望台までどのくらい?」と訊くと「徒歩で10分くらいだよ」との答え。
最初は、バス使っていこうかと話していたのだが、10分で行けるのなら、歩いていこうとなった。が、どうもグーグルで探しながら歩いているのだが、よく判らない。下のような土産物屋さんが何軒かある通りがあったけど、これが「アラブ人街」だったのか、俺達にその確証はない。
まあ、アラブ人街はメインじゃない。メインは「サンニコラス展望台」だ。ここからアルハンブラ宮殿がよく見えるのだとか。この街にほぼ一日だけいる事にしたもの、あくまでも「アルハンブラ宮殿」を観るのが目的。それ以外は全ておまけなのだ。
ということで、グーグル先生の導きを信じて俺達は歩き出す。それにしても、結構道が石畳なので足の裏に対する反応がきつい。ビーチサンダルじゃなくて、バスケットシューズを履いてきて正解だった。
俺達は単に普通に街を歩いているだけなんだけど、それでも充分に楽しいんだよね。果たして外国の人が東京に来て、普通に練馬区や江東区を歩いていて「楽しい」と思えるのだろうか? そんな事を考えた(旅行中じゃないよ、今これを書きながら思ったのよ)。
グーグルを信じて歩いていると、かなり厳しい坂道を昇る事を要求された。まじか、俺と相方は顔を見合わせた。まあ確かに展望台ってくらいだから、高台にあるだろうから、坂道を昇るのは必須なんだろうけど。
かなり歩き回った。正確には「かなり歩き昇った」という感じ。だいぶにグラナダの景色がよく見えるような場所まで登った。
この下の画像にある急な坂道を俺達は昇ったのだ。年寄にはきつい道のりだ。相方と歩きながら「失敗したなー。スペインはもっと前に(俺達がもっと若かった頃に)来るべきだったねー」と。
この辺りに来るまでに既に10分以上は間違いなく歩いている。相方は「あの兄ちゃん(ウエイター)、10分をどんだけのスピードで歩くんだよー」と愚痴っていた。
綺麗な花を見掛けたので、写真を撮る。ちなみに、表向きは綺麗な花を見たからだが、当然お判りの通り、綺麗なお姉さんがいたから撮ったのである。
この辺りを歩きながら、俺達は「しかしさー、こんな急な坂道ばっかり登った先に展望台あるのかなー。やっぱりバスで行くのが正解なのかなー」と微妙に疑心暗鬼になる。観光客っぽい人達とは一切遭遇しない。たまに遭遇するのはどうみても地元民な人達。俺達はなんとなく、「道間違えてんじゃねーかなー」という気分になっていた。
でも、実は俺も相方もこういった地元の人達の住む街(つまり、非観光エリア)を歩くのが嫌いじゃない。いや、むしろ好きなのだ。だから、上り坂はきつかったけど、ここを歩いている事自体は楽しかった。それに団体の観光客に遭遇しなかったから(住宅街だからある意味当然なんだけど)、それも気分が良かった。
そして、またまた上り坂に遭遇。ここら辺りで俺も相方も、明らかに道を間違えているなーという確信はあった。だが、今更引き返して仕方ない。せめてデッドエンドにいくまでは、行けるところまでは行ってみようという気分になっていた。
この坂を上り切ったら、どうやら一番の高台に到着した模様。しかし、ここが「サンニコラス展望台」かなー? 怪しいなあという感じ。それでも眺めは良かったから、特に文句はないんだけど。
高台の上に教会らしき建物がある。近寄ってみたが、どう見ても廃墟である(笑) ここが「サンニコラス展望台」とは考えにくい。
それでも、街の良い景色を眺める事が出来たから、良しとしよう。この緑に囲まれている建造物が「アルハンブラ宮殿」だ。それは明日観に行くしね。
そして、下はこの「偽サンニコラス展望台」から見下ろしたグラナダの街並み。いいよなー、こういう景色。
展望台の案内板を見て、ガイドブックを見直した瞬間、俺達の過ちに気づいた。ガイドブックに記載されていた展望台は「サンニコラス」。俺達が30分以上歩き回って到着したのは「サンミゲル」であった(笑) でも、いい景色観れたから、いいよね。
絶景に満足したので、下山(?)する事にした。せっかくだから、行きとは違う道で帰ろうとわざと違う道で降りる。大抵こういう事をやると迷子になるのは必定。と、市内バスに遭遇したので、ちょっとそのバスのいく道を歩いてみた(バスの巡回ルートなら、ある意味安心ではある)。すると、人が沢山いるエリアがあった。そこのバス停の表示を見て、俺は衝撃を受けた!「サンニコラス展望台」とある。そうか、ここだったか。相方に「ここが本当の展望台だよ? 寄っていく?」と訊くと「いい。さっきもっといい景色みたから」と。明らかに負け惜しみなのだが、まあ相方の気持ちも判るので、そこには寄らずにさらに下山。
ちょっとした広場的な場所で休憩。さすがに歩き回ったから、ふくらはぎがパンパンである。水はさっき偽展望台に行った時に呑み切ってしまった。まだ日も強く喉が渇いたなあ、と。そこへ雑貨屋さん的な店を見つけたので飲み物を買いにいく。相方は広場で座ってガイドブックを見ている。
水とコーク・ライトを冷蔵庫から出してレジに出すと、「ドス******」と言われた。ドスというのは数値の「2」という意味だ。つまり、これは「2ユーロ」って言われたんだろうなあと推察。そこで2ユーロコインを出す。普通にOKだったようだ。これは俺がスペインで単独で成功した初めての買い物である!(偉そうな割に全然大したことない)
ここで呑んだ水は美味かった。自力で買い物したから、余計に美味かったのかもしれない。
時間が夕方の5時近く。相方が「あー。迷っちゃったから、洞窟博物館行けないー」とがっかりする。ガイドブックを確認すると、夜の8時までやっている(冬のシーズンになると6時で終わり。運よく冬シーズンになる数日前だった)。「行けるよ」と相方に伝え、バスを乗り継いで、洞窟博物館まで行く。バスは割と行き先表示とかが明白なのであまり迷うという事はない。ただし、特定コースを走る市バスは小さい。何故かというと、道自体が狭いからだ。日本のような大型の路線バスだと、そもそも道路を走る事が出来ないのだ。
サクラモンテ洞窟博物館に到着。一人、入場料5ユーロ。昔の洞窟で暮らした人達の生活を窺う事が出来る。
正直言うと、それほど大した博物館じゃない。時間が余った人が行くにはいいかも。スケジュール厳しい人はパスしてもいいんじゃないかな。俺達はのんべんだらり観光客だから、全然いいんだけどね。
下は博物館にいたニャンコ。
またバスに乗ってセントロ(街の中心地)に戻ろうと思ったが、なかなかバスが来ない。相方に「歩いて帰ろうぜ」と提案する。今日はさすがに歩き回って足がパンパンだが、まだ歩けるだろう。
途中でアルハンブラ宮殿を見上げる事の出来るカフェに遭遇したので休憩する事にした。いやあ、世界遺産をゆっくり眺めながらカフェで休憩ってかなり贅沢じゃないか?
相方はスペインに来たら食べたいと言っていたプリンを注文。無論、俺はビール。
俺のビールにはお通し(?)でオリーブがついてきた。ウエイターが「滅茶苦茶美味いぜ!」と。やっぱスペインやトルコ、モロッコと言ったら、オリーブだよねー。確かに美味かった。
カフェでゆっくり休憩していると、流しのギタリストがスパニッシュギターを演奏していた。いやあ、スペインで「禁じられた遊び」を生で聴けるとは思わなかった。無論、彼がチップ回収に来た時は、ちゃんと支払った。いい演奏でした。
カフェタイムを終え、街の中心に向かって歩いていると、新郎新婦に遭遇! 本物なのか、コスプレの人達なのかは不明。でもなんか「写真撮ってー」オーラが半端なかったので、写真を撮らせて貰った。
と、ここで想定外の嬉しいイベントに遭遇した。なんと「ストリート・フラメンコ」である!
いやあ、すげーな。さすが本場。とにかく格好良い。このダンサーの女性のルックスが、俺の好きな女性のタイプを全て兼ね備えている人だったので、余計に(俺の気持ちは)盛り上がった。
小銭が1ユーロしかなかったので、それしか払えなかった。気分的には10ユーロくらい払っても良かったなー、今考えると。
昼間見た場所がみな、夜の色に染まっていた。これもまた悪くない。
今日は滅茶苦茶歩き回った。正直足の疲労が半端なかった。ホテルに戻った時は、相方は疲労でグッタリしていた。だが、俺はちょっと小腹が空いた感じだったので、「外の店で何か食べよう」と相方を誘い出す。
ホテルのすぐ近くには、こういった感じで店が並んでいるので、それもまた楽しい(相方はそれどころじゃなかった模様)
適当な店に入り(相方の希望で、あえて空いている店を選んだ。そのほうがゆっくり出来るから)、まずはビール。
そして、この店は何選んだかあんまり記憶にないんだよねー(写真観ると、ああ、そういったの喰ったかとは思い出せるんだけど)。俺も疲れてたのかな?
大体、一品が8~10ユーロだったから、トータルでやっぱり飲み物込で40ユーロくらい。スペインは食事代が結構掛かったなあ。
食事を終え、相方は疲労困憊でシャワーを浴びてダウン。俺もシャワー後にはウィスキーを飲みながら、いつの間にか気絶した。
歩き回ると、夜ぐっすり眠れるからお薦めだ(ホントかよ?)