Some Were Born To Sing The Blues

   Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

Hey Judeでピアノ奏者デビューしてきたのだ!

先週の日曜日に、通っているピアノ教室の発表会でピアノを弾いてきた。その顛末を記録しておく。

ピアノの優香先生(小芝風花似の若くて綺麗な先生←その情報要るか?)に習い始めて三年が過ぎた。その間にやっていた事と言えば、左手でコードを押さえ、右手でメロディを弾くというもの。これは俺が「とりあえずコードをまずさらっと弾けるようになりたい」と優香先生に告げたからだ。やろうとしていることは、全くの初心者の入門編辺りを行ったり来たりといった感じだ。
しかし、なかなかこのレッスン内容は捗らなかった。一曲完成するまでに数ヶ月も掛かったりする。これは理由として、どうしてもピアノのレッスンよりも、バンド活動を優先するからに他ならない。ピアノはレッスンの時に「すいません。前回のレッスンから一度もピアノに触ってません」と言っても許される。何故なら、俺個人が「あー、全然上達しねえな」と愚痴っていれば済むから(練習しないのだから、上達する訳もない)。

だが、自分自身で段々と「これじゃ、いつまで経ってもピアノ弾けるようにならねえぞ」と焦り始めた。俺の野望は死ぬまでにブルースピアニストになることだ。ブルースバーに行って「マスター、ちょっとピアノ弾かせて貰っていいかな」とバーボン片手に下手くそなブルースピアノを弾く。これが俺のピアノの最終ゴールだ。
このままだと、その野望に到達する前に棺桶に入る羽目になる。おまけに、去年の夏に新しいバンドにSax奏者として参加させて貰うようになり、にわかにSaxが忙しくなってきた。さらにピアノが遠ざかる。ピアノレッスンに行っても「忙しくて、ピアノ触ってないのよー」と優香先生に言い訳して、優香先生のお喋りに付き合うような有様。ピアノ教室に通っているのか、小芝風花似の優香先生と会ってお喋りしているのか、どっちが主目的なのか判らなくなってきた。

年が明けて、俺は優香先生に宣言した。「今年のピアノ教室の発表会出るよ! 俺、目的持ったほうが練習に身が入ると思うんだよね」
優香先生は「いいですねー。ソロで? それともバンド形式? どっちで出ます?」と訊いてくる。無論、答えは決まっている。バンド形式だ。Sax、ギター、ドラムはいずれもバンドでライブ経験がある。それに比べてピアノは過去に札幌時代に発表会でソロ形式で参加したのみ。バンド(ベースやドラム)と合わせて演奏したことがない。せっかくなので、ここはバンド形式で参加したい。

優香先生から「発表会は6月です。3月には曲を決めて練習を始めましょう」と言われる。おいおい、本番まで3ヶ月も練習するのかよ。俺は正直舐めていた。そんなに要るかよ、と。この考えが甘かったことを後に知る。
実際に年明けからはSaxで参加したバンドのライブが毎月あるような有様で、バンド活動(Sax)がメインになった。どうしてもピアノが疎かになる。それでも発表会があるから、ピアノをやらなくてはという意識は心の底にずっとあった。

3月に入り、発表曲の練習を始めた。曲はビートルズの名曲"Hey Jude"のブルースアレンジにした。オリジナル曲を素直になぞるのは端から頭になかった。俺のピアノの腕でオリジナルのメロディを弾けば、オリジナルのメロディの美しさに対して、俺の稚拙なピアノが負ける。ブルースアレンジにすれば、その辺りの技巧の拙さが誤魔化せる(実際、全く誤魔化せなかった)という狙い。この辺り、中途半端に楽器の経験があることにより、策を弄して策に溺れるという最悪の結果となったが…

4月にSaxで参加しているバンドのライブが終わり、ピアノに集中出来るようになった。5月、6月とピアノばかり弾いていた。とは言っても、せいぜい一日15分から20分程度。一向に弾けるようにならず、曲の完成形が見えなかった。優香先生からは「6月の第一週にバンドとのリハーサルがあるから、そこまでにはある程度弾けるようになっていないと(駄目だよ)」と釘を刺される。

4月の半ばくらいに、「このままでは無理だな」と思い、譜面の音をガンガンと削る作業を行う。「このフレーズ、弾けたら格好良いよなー」と思いつつも、これは無理だなと思う部分は落として(削除)行った。ブルースなので、音数がそもそも少ない。それがさらに少なくなって、隙間だらけの音になった。本当はこの音と音の間の休符を楽しめるようになると、ブルージーな感じが出て格好良いのだが、そんな「休符を楽しむ」なんて余裕は一切なかった。なんとか間引いた形の譜面通りに弾くのが精いっぱいだ。

個人練習で弾いている時点で、80%くらいの力の入れ具合で弾けるようになっていないと、バンドと合わせて弾くことは無理だ。バンドとのリハーサルの日がやってくる。
ベースとドラムの人に挨拶をして電子ピアノに座る(リハーサルは本物ではなく、電子だった)。いざ演奏が始まるとベースの音量がでかくて、自分のピアノの音が聞こえなかった。おまけに俺が指定していたリズムよりもずっとテンポが早く、全くワンフレーズたりとも弾けなかった。これは冗談じゃなくて本当の話で、リハーサルの一回目は一音も音が出せなかった。
さすがに優香先生もやばいと思ったのか、二回目は俺の横にたって、譜面を指差しながら「今ここ!」みたいに教えてくれたが、やはり俺は一音もまともに弾くことが出来なかった。個人練習ではそれなりに弾けていたのに。
結局、二回通して二回ともまともなリハにならなかった。最大の問題はベースの音量とテンポだった。俺の指定したテンポよりもずっと早いテンポで演奏されたせいで、自分の頭の中にあるイメージが全く再現出来なかった。

だが、実を言うと(これは優香先生にも言えなかったが)、前日酒を飲み過ぎて、リハの時は酒が全く抜けておらず、頭も指も一切動かなかったということをここに告白しておく。

リハから一週間後が本番だ。この一週間可能な限り練習した。そしていざ本番。
ベースの音量が相変わらずでかくて、俺はドラムの音がよく聞こえなかった。さすがに本番前日は酒を少ししか飲まなかった(飲んだのかよ?)。そのお陰で、指は動いたのだが、恐ろしいことに、練習で弾けていたフレーズの80%は弾けなかった。これは、酒のせいでもないし、テンポが早すぎたということでもない。ステージで緊張して頭が真っ白になったということでもない。
ベースの演奏を聴きながら、譜面通りに全く弾けない自分の頭の中に、奏者でない第三者目線のもう一人の俺が現れた。冷静なもう一人の俺は譜面を見ながら「あれ? 全然指動かねえな。練習の時には弾けてたのになー」と客観的な判断を下していた。奏者の俺は譜面通りに弾けないので、時には弾くことを諦め、また時には全然譜面とは違う音を弾いたりしてお茶を濁した。

曲自体は短いため、あっという間に終わってしまった。ほぼちゃんと演奏出来ないまま、俺のピアニストとしてのバンドデビュー曲の発表は終わった。
あっさりとしたものだった。そして惨憺たるものでもあった。
だが、俺は諦めてもいないし、挫けてもいない。ここは俺にとってのスタートだ。ゼロからイチへの到達が一番難しいのだ。と自分を鼓舞して、やっていく。失敗なんて、過去にSaxやドラムで死ぬほどしている。だから、一番演奏能力の低いピアノでしくじったからといって、全然気にしてもいない(少しは気にしろよ)。

あとは一歩ずつ進んでいくだけだ。

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