2025年になってから、毎月ライブをやっている計算になる。
1月はオールディーズをレパートリーとしているバンドでSaxを吹き、2月はロックンロールを中心とした選曲のバンドでやはりSaxを吹き、同じく2月にビートルズのカバーバンドでドラムを叩いた。
そして3月、再びロックンロールを持ちネタとするバンドでSaxを吹いた。
俺の過去のバンド歴で、ここまでライブが過密日程になったことはない。友人の中には、ほぼ毎月のようにライブを開催している人もいる。俺の中でライブというものは、ある種の『ハレ』に該当するものだから、そんなに年中やるべきものじゃないだろうという感覚がある。また、これは必然的にそうなるのだが、ライブの回数が多くなりすぎると一回辺りのライブに対する熱量が下がる。熱量が下がるとはどういうことかと言えば、一つ一つのライブに対しての熱意、やる気、練習密度が薄くなり、ライブ自体の完成度が低くなる。
毎回全く同じ選曲ならば、やればやるだけ曲に対しての習熟度が上がるので、曲の完成度は高くなる。だが、ライブをやる度に数曲は入れ替えるので、そうなると新曲に対しての練習量が足りなくなり、バンドとしての演奏レベルが結果として下がる。
ライブをやる以上「ライブ日程が立て込んでまして、練習あんまり出来ませんでした。ごめんね。てへっ」などという舐めた発言は死んでも出来ない。それは見に来てくれたお客さんに対して演者として許されない行為である。だが、格好つけたことを言っても、練習不足は自分が一番判っている。個人練習もバンドの全体練習もライブの開催頻度に反比例し、下がっていくのだ。とは言え、ライブは既にブッキング済だし、やるしかないのである。
3月にライブをやったロックンロールバンドは、2月にやったロックンロールバンドとは別物である。別バンドだが、俺を含めてメンバーの4人が重複しているし、レパートリーも何曲かは被っている。おまけにメンバーのN子さんは、2月のバンドではキーボードを担当し、3月のバンドではギターを弾くという八面六臂の活躍振り。同じ曲をキーボード、ギターの二つの楽器で弾けるようにしなくてはいけない。これは結構大変だと思う。
また同じ曲であっても、2月と3月のバンドでは、曲のKEY(調号)が違うなんてものもある。テナーSaxはKEYが変わると結構辛い。KEYによって運指が変わるからだ(ざっくり言うと、ドミソと吹いていたフレーズをレファラと吹かなくてはいけない、みたいな感じ)。
また、同じ曲だがアレンジが違い、2月のバンドではSaxソロを入れていた箇所に3月のバンドではキーボードソロを入れていたり。正直混乱する。
3月にライブをやったバンドは本番前に全体練習を一度しか出来なかったせいもあり、全体の構成などが怪しいまま本番を迎えることになった。
3/22の土曜日、俺は神田のライブハウス、ISOLDEに向かう。時間は朝の10時半。昼の部に出演なので、リハーサル時間を考えると、随分と朝が早い。
店の入り口に往年のロックスターのポスターが飾ってあり、気分が高揚する。この雰囲気は非常に良いなあ。
通常、ライブは出番の前にリハーサルがある。これは実際のライブハウスの機材で音を出して、バンド全体の音量バランスを確認するためのもの。直前リハーサルが終わった後に、俺達はドトールで作戦会議を開く。作戦会議というと何やら物々しいが、単なるセットリストの確認だ。俺達はライブ当日まで、どの曲順で演奏するかを決めていなかったのだ。
朝が早く、リハーサルの終わった時間がギリギリだったため、食事を摂るタイミングを逸した。何も口に入れないまま、ライブがスタートする。当日は4バンド出演で俺達の出番は3番目だ。結構時間が余るな。ということで、まずは生ビールを飲む。空きっ腹で調子に乗ってビールを飲むと演奏に差し支える。ビールは一杯だけにしようと決める。とか言いつつ2番目のバンドが演奏を始めた時はハイボールを飲み始めてたけど(駄目じゃん)。
俺達の出番となる。ビールとハイボールを一杯ずつ飲んだだけなので、まだ酔ってはいない。演奏が始まり、それほど悪くはない感じで吹けていた。バンド全体も荒々しくはあるものの、ロックンロールだ。多少はラフなほうが、逆に格好良い場合もある。そういった意味ではバンド全体の演奏は充分に及第点だったと思うのだが、俺は4曲くらい演奏した時点で既に息が切れて、体力がなくなっていた。普段だったら、この程度の演奏時間で、息が切れる筈がない。俺はベースのMさんに「Mさん、駄目だ。体力が持たん…」泣き言を言う。その時気づいた。前の晩、夜中にYouTubeをダラダラと観ていて、完徹していたのであった。一睡もせずにアルコールを摂取してSaxを吹けば、途中でガス欠になるのは明白である。
後で演奏動画を見直して反省する点は腐るほどある。というか、徹頭徹尾反省しかないと言っても過言ではない。が、それはライブをやるといつものことではある。
「だせーバッキング(ダサい伴奏)だ」「このソロ、起承転結も何もねえな。ダラダラ吹いているだけだな」自分のSax演奏に関しての反省点はいくらでも出てくる。見直せば見直した分だけ、駄目出し箇所が見つかる。
その時、その時は反省するのだが、それが次回に活かされないのは何故なのか? まず演奏前に酒を飲むのを止めたほうがいいと思います。
自分達の出番が終わったので、安心してハイボールをお代わりする。ライブをやる時はいつも、Saxを演奏しに行っているのか、酒を飲みに行っているのか、その辺りが判然としない。いや、ってゆーか、飲みに行くという概念がそもそも間違っている。
全てのバンドの出番が終わり、打ち上げタイムとなった。3,000円で軽食が出て、アルコールは飲み放題だと言う。パスタ、サラダ、鶏唐を肴にハイボールを飲む。もう演奏も終わったし、あとは飲むだけだ。ということで、多分1時間半程度の間に、5、6杯はハイボールを飲んだのではないかと思う。調子に乗って飲みすぎである。
セッションタイムとなり、クリームの"White Room"でドラムを叩かせて貰う。Saxを吹いて、その後にドラム。非常に楽しい時間となった。尤も、"White Room"のドラムはグダグダで終わった。キーボードで参加した人から「全然合ってなかったね」と苦言を貰う。セッションだから、良いではないか(と言い訳ばかりしている)。下の画像でドラムを叩いているキャップを被っているオッサンが俺だ。
4月には、またライブが二つ予定されている。当面、週末はSax三昧となること必至である。そして6月には習っているピアノ教室の発表会があるので、ピアノを弾かねばならない。ピアノはまだ、イントロの8小節が弾けずに四苦八苦している。間に合うのか、このペースで? いや、間に合わせる。
自分にとって一番楽しいことをやっているのだ。それを妥協するなんてありえないだろ?