Some Were Born To Sing The Blues

   Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

誕生日に前夜の残りのカレーを喰う男もいれば、誕生日に生ハムメロンを喰う女もいる。

今更の話なのだが、2月のとある晩御飯の話をする。

まず、大前提として、俺の誕生日が1月であり、相方の誕生日が2月である。
1月、俺の誕生日の朝、相方に「おはよう」と声を掛けると相方から返事が来た。「誕生日おめでとう。今夜の晩御飯は、昨日の残りのカレーだよ」
俺は苦笑した。今更この歳になったら、誕生日にお祝いのケーキが食べたい訳ではない。別に晩御飯が何でも構わない。しかし、昨日の残りのカレーとは出来過ぎだ。
俺は誕生日にいつもと同じように残業をし、帰宅して、昨日のカレーを温めて食べた。カレーを温めたのは俺だ。俺が帰宅する時間、既に相方の晩御飯は済んでいる。よくカレーは作った当日よりも翌日のほうが美味いという説がある。カレーを煮物と考えるとそれは間違いではないだろう。だが、カレーは翌日は味が落ちるという専門家もいるので、この辺りはよく判らない。
俺は調理当日のカレーも、翌日の一晩冷蔵庫で寝かせたカレーもどちらも同じ程度に好きではある。単に違いが判らないだけの馬鹿舌とも言う。

誕生日祝いには既に財布を元日に買って貰った。となるともう充分であろう。ここで、贅沢なディナーを求めるのは分不相応である。

2月になって、相方の誕生日が来た。ちょうど運良く、俺が早く上がれる日だった。相方に「晩御飯、外で食べようか。何食べたい?」と訊くと、速攻で「生ハムメロン!」の回答が返ってきた。これは、川崎のホテルのビュッフェで生ハムメロンを飽きるまで喰いたいという意味だ。
このホテルのビュッフェは以前も行ったことがある。その時は北海道フェアをやっていた。今回は、宮崎フェアらしい。お一人様、6,000円である。

平日の夜だったせいか、店は空いていた。のんびりとメニュー選びが出来、そういった点でも平日の夜に行ったのは正解だった。前回は土曜日の昼に行ったせいか、かなりの混雑だったが…

席に案内され、ホール担当の人から「宮崎牛のステーキがお一人様、一皿つきます」と言われる。ほうほう、宮崎牛か。それは楽しみだ。
まずは、オードブル的に目に付いた料理を次から次へと取る。相方は生ハムメロンを4個ほど取っていた。オードブル的な料理をそんなに取る奴はいない。お前は、C国の人間か!と問い詰めたい。結局、相方は生ハムメロンをお代わりして、最終的には七個程食べたらしい。いくら好きでもそんなに喰うか?

前回もあったローストビーフ。貧乏人にはローストビーフはやっぱりご馳走だよねー。ローストビーフはお代わりした。相方のことを言えない。

相方が勝手に鰤しゃぶを取ってきて尋ねる「食べる?」二皿取ってきて、今更「食べる?」もないものである。喰うしかない。

あとは宮崎と言えば、やはりチキン南蛮であろう。これはちょっと硬すぎてイマイチだった。あと、チキン南蛮に限らないのだけれども、タルタルソースの掛かった料理って、料理そのものよりも、タルタルソースを食べるのが目的になっているよね?(お前は井の頭五郎か)そんなことないか? いや、ある(反語)。美味いタルタルソースは、それだけで一品料理と言っても過言ではない。

そして、ホール担当の人が「宮崎牛のステーキ」を運んでくれる。皿の大きさに対してステーキが小さいが、文句を言ってはいけない。そもそも、ビュッフェスタイルなのだから、一品一品は通常サイズよりも小振りなのが常識である。さすがにビュッフェ・レストランで一人一皿しか給仕してくれないだけのことはある。美味い。相方が「焼き方、指定させてくれればいいのになー。焼き過ぎだよなー」と文句を言う。この人は食い物に対して文句が多い。俺が「ビュッフェなんだから焼き方の指定なんかできるわけないだろ。贅沢言うな」と窘める。

ステーキの焼き方と言うと思い出す小噺がある。ホール係の人が「焼き方はどう致しましょう?(レア、ミディアム、ウエルダン)」と訊くと、ステーキを初めて食べる人が「美味しく焼いて下さい」と返す有名な話だ。これは無論実話じゃなくて、咄家とかの持ちネタなのだろう。なんとなく微笑ましい気がする。よく考えたら、俺だって人生でステーキの焼き方を訊かれたことなんて、一度か二度しかないぞ!
文句を言いながらも相方は「美味しかったなー。もっと食べたいなー」と言い出した。これだから、この人は、ホントにもう…

次いで、宮崎の有名な「辛麺」を。名前の通りに「辛い」と身構えて食べてみたが全然辛くない。相方と「これ、辛くないよな?」と顔を見合わせる。二人とも、「辛麺」初体験なので、どの程度の辛さがスタンダードなのか判らない。スマホで「辛麺」を検索してみるが、やはり辛いとある。う~む。俺達二人が取ったお椀がたまたま、辛い味付けを忘れたのだろうか。そんな偶然あるだろうか。
相方がホール担当の女性に訊いてみると、どうやら今回は辛さをかなりマイルドに設定したらしい。お子さんが食べることを想定してか? しかし、本場の辛さを失くしてしまったら、それは意味がないと思うのだが、いかがなものか。ちなみに写真向かって左側の海苔が浮いているのは、普通の冷やし蕎麦である。こちらは俺が単純に食べたかっただけ。ただの蕎麦好きである。

次に何故か天婦羅を取ってきてしまった。魚系の天婦羅があるかと思ったら、いわゆる魚のすり身(九州だと一般的らしいね)とサツマイモの天婦羅。俺は子供の頃にサツマイモと茄子の天婦羅ばかり食わされていたので、サツマイモの天婦羅は好きではないのだが仕方ない。ってゆーか、何故取ったのか? と訊かれたら、「全品制覇するため!」としか言いようがない。いい歳して馬鹿である。

段々とお腹が苦しくなってくるが、まだ食べなくてはいけないものがいくつかあるのだ。そのうちの一つが鯛茶漬け。そして冷や汁。冷や汁にチキン南蛮というと、いかにも宮崎な感じがしてくる。相方は冷や汁が嫌いなので、俺が食べているのを見て、顔をしかめていた。失礼だぞ、お前。

何故か相方がいきなりデザートのマンゴーのなんちゃら(名前忘れた)を取って来た。表面はザラっとしているが中はトロトロの滅茶苦茶柔らかいプリンみたいな食感。いや、デザートのことはよく判らんて。

そしてここで、再度ローストビーフ。ローストビーフにホースラディッシュを付けて喰うとこれが美味いのである。そういえば、俺が札幌に行ってカルチャーショックを受けたことの一つに、ホースラディッシュが当たり前のようにスーパーに売っていて、回転寿司でもホースラディッシュを普通に使ったメニューがあることだった。ホースラディッシュは本州の人間には馴染みが薄いけれども、あれは一度じっくり味わうと病みつきになるのだよなあ。

ここで、もういい加減腹が苦しくなってきているのに、ピザを取ってきてしまう。腹ペコの高校生かよ! と突っ込みたくなるほどだ。またお蕎麦をお代わりする。実は写真は当然撮っていないが、お蕎麦はトータルで三杯食べた。相方の生ハムメロンを馬鹿に出来ない。

〆にビーフカレーとココナッツミルクカレー。食い過ぎである。腹ペコの高校生かよ!(大切なことなので二回言いました)

ビーフカレーを食べながら相方に言う「ビーフカレー、明らかに余計だった…」相方は大笑いしていた。

これにて食事は終了ということで、食後のコーヒーとケーキ。そしてさっぱりしたくなったので、ストロベリーアイスクリーム。本当はチョコかコーヒー味のアイスを食べたかったのだが、置いていなかった。残念である。

ということで、今回のビュッフェも腹いっぱい食べて、非常に満足だ。
俺の誕生日の晩御飯が前夜の残りのカレーで、相方の誕生日の晩御飯は宮崎フェアのビュッフェ。偉い差である。だが、これは当然だ。
何故なら、相方は仕事をしながら毎日晩御飯を作ってくれているのだ。彼女の誕生日くらい、晩御飯を作るという義務から解放されて、相方の食べたいものを食べる権利が、相方にはある。そして、俺は相方が食べたいというものを食べさせる義務がある。経済的に一生そんなことは出来る代物じゃない。だとしたら、出来るうちにやっておくべきだ。出来なくなってから、後悔しても遅い。