Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

【ドラゴン桜】を見て、思い出したこと

f:id:somewereborntosingtheblues:20210702012449j:plain

(画像は本文と関係なし)

先週の日曜の夜、俺はテレビドラマ「ドラゴン桜」を見ていた。説明する必要はないと思うが、阿部寛さん演じる弁護士が、高校生達に受験のテクニックを教え込み、東大合格を目指すという話。なんで弁護士が受験勉強を教えるのか、未だにその流れが判らない。阿部さんの役がカリスマ塾講師とかなら判るんだけれど。今でしょ、今!(古いよ)
ドラマの中で大学構内の掲示板に貼り出された合格者一覧(合格者の受験番号が記載されている)を見て、各受験者が自分の受験番号を照らし合わせるシーンがあった。それを見て、昔の話を思い出した。

俺が大学受験したのってもう34年も前の話じゃないか。ついこの間のような気がしていたが(さすがにそれは言い過ぎだ)。
俺は高校2年生を2回やったので(詳細は書かない。訊かないように)、大学受験の時は既に19歳だった。つまり最初から一浪している人達と同じ歳ということになる。
親からも「失敗したら、即二浪と同じだぞ。よく考えろ」と言われていた。そんな事は言われなくても判っている。

結局、受験する大学は3つに絞った。やや高望みのA大学、実力を出せば受かるであろうB大学、いわゆる滑り止めのC大学。A大学は落ちた。これは仕方ない。次がC大学の受験。この時、受験のために上京し、都内のビジネスホテルに泊まった。それまで1人でホテルに泊まった経験なんかないから、それが楽しかった。何しろ、群馬の赤城山の麓で生まれ育った田舎者だからね。
夜、食事を済ませてビジネスホテルの部屋でテレビを見ながら1人で酒盛り。おい、明日受験だぞ。

翌日の試験。英語の試験は特に問題はなかった。英語は得意科目だったし。しかし次の国語辺りから気持ちが悪くなってきた。ただの二日酔いである。今書きながら、19歳の俺って頭イカレてたんじゃないだろうかと思う。受験の前日に泊まったホテルで酒飲み過ぎて、二日酔いで受験する奴なんて聞いた事がない。
あまりの体調の悪さに受験は途中で棄権した。この辺りはあまりよく覚えていない。

さすがにB大学受験の時は、酒は自重した。缶ビール1本で我慢。やっぱり飲んだのか!
試験から数日後の結果発表の日、俺は再び、B大学へ向かった。ドラゴン桜の受験生達のように受験票を握りしめながら、掲示板を見る。無事に俺の番号は載っていた。
おお、受かった。良かった、良かった。何しろ、Aは落ち、Cは途中棄権。Bに受からないと、俺は身の置き所が無くなるのだ。
確か、掲示板と受験票を3回くらいは見直した。受験経験のある人はみなそうだと思う。

俺は親と高校に結果報告をする為に、電話ボックスに並んだ。長蛇の列が出来ていた。当時はスマホはおろか、携帯電話もない時代だ。
ボックスに入り、親と高校にそれぞれ連絡をしていると、隣のボックスから女の子の声が聞こえて来た。
「お母さん、駄目だった…ごめんね」
女の子の声は、途中から涙声になっていた。ああ、可哀想に。彼女は落ちてしまったのか。泣くくらいショックを受けていたのだから、Bがきっと本命だったのではないか。

その後、俺はB大学に入学し、大学生となった。無論、合格発表の時に泣いていた女の子の事など、すっかり忘れた。無責任なようだが、友人でもなんでもない人が大学に落ちたからといって、それをいつまでも胸に残して置けるほど、俺の心のキャパシティは広くはない。

大学受験というのは、人によってはかなり大きな人生の岐路になるだろうと思う。これは30年前の俺達の世代の話だが、受験に失敗したら進学は諦めて就職という人もいた。
また、浪人は許されないから、希望の大学に受からなかった場合、望まない別の大学に進学というのも比較的多くあった。

あの隣の電話ボックスで泣いていた女の子(つまり、今は俺と同じ50代のおばさんだ!)はその後どうしたのかな。B大学落ちて、人生の方向転換を余儀なくされたかもしれない。或いは浪人して初志貫徹したかもしれない。
でも、人生なんていくらでもやり直しが効くし、目指していたものを変えることだって当たり前の話だ。何か1つ失敗したくらいで、人生が終わる訳じゃない。

人生なんて、死ぬ瞬間までずっとトライ&エラーが可能だ。失敗したっていいじゃんか。間違えたって誰も貴方を咎めたりはしない。またやってみりゃ良いんだよ。貴方にハードモードを押し付けてくるような奴は、貴方の人生から除去しちまえばいい。そんな奴は不要なだけだ。

ってまあ、年寄り特有の説教臭い話を今日は書いてますが、何が言いたいかって言うとですね。
いや、俺結局B大学は3年で中退してるんで。それでもなんとか生きてるよってこと。

あの合格発表の時に泣いていた女の子に、ちょっと済まないと思ってしまったのだ。君の代わりに俺が落ちれば良かったのかもしれない。