Some Were Born To Sing The Blues

   Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

まだ見ぬ君に会いに行く

11月23日(月)に俺は東京ビッグサイトへ出掛けた。「文学フリマ東京41」という物販イベント(本の展示即売会)を観に行くためだ。「フリマ」はフリーマーケットの略であろう。「41」は、当然のことながら開催41回目を意味するのは間違いない。結構、歴史があるのだな。

俺がなぜ、本の展示即売会に出掛けたのか、それを記す前に大前提を書く。それを書かないと俺の行動原理の説明が付かない。
俺は割とblogが人に及ぼす影響力というものを信じている。というか、俺自身、何度か経験しているからである。
その最たるものが、Saxだ。俺がSaxを吹き始めたのは今から20年前、38歳の時である。「Sax吹けるようになりてえなぁ…」と30歳くらいの時に思い立ってから、実際に行動に移すまで8年程度掛かった。8年も放置していたSaxを吹く切っ掛けを呉れたのは、当時20代半ばの青年がblogに書いた「僕は今年、フルートをやります」の一言だった。その一言で俺は頭をハンマーで殴られたような衝撃を受け、急いでSax教室を探し出し、Saxを吹き始めた。
詳細はこちら blogを読んで、人生が変わったという話 - Some Were Born To Sing The Blues

去年の夏に、blogを通じて知り合った女性ドラマー(つるひめさん)のライブを観に行った。彼らの演奏が終わり、バンドメンバーに「この人、Sax吹いてるんだよ」と紹介して貰った。それが縁で、新しくバンドにSax奏者として加わることが出来た。
詳細はこちら 一年前の今日、俺はこのバンドのライブを観た。一年後の今日、俺はこのバンドでSaxを吹いている - Some Were Born To Sing The Blues

つまり、俺がSaxを始めた直接の切っ掛けはblogであり、Sax奏者としてバンドに参加できるようになった切っ掛けもやはり、blogである。無論バンドに関しては、blogと関係ないところで結成したり、参加したバンドのほうが数は多い、当然の話として。だが、それでもblogが及ぼした影響は馬鹿にしたものではない。

そして、本題に戻る。俺が普段よく読んでいるblogの人達がやたらと「文学フリマ東京41に参加します」と自らのblogで告知していた。この人達に共通しているのは、いわゆる「自主製作本(自費出版本)」を作っているということだ。彼らがこの文学フリマで、自分の書いた本を自ら売るという想像は容易についた。
これは素敵なことだなと素直に思う。俺もバンドをやっているから判る。バンドマンは自らの演奏を人に聴いて貰いたい。人前で演奏し、お客さんと一体になってライブを楽しみたい。そういった熱を常に持っている。また、自らの演奏をきちんとレコーディングして、自主製作CDを作りたいと思う人も一定数いる。これは、自分で書いた文章をblog上のみならず、きちんと紙媒体で製本し、それを読者に届けて読んで欲しいという想いと同じである。俺も昔は下手くそながら小説を書いて、文学賞に応募した経験を持つ。自分の書いた文章を誰かに読んで欲しいという気持ちは理解出来る(20代の頃、ミステリを書いて賞に応募したことがある - Some Were Born To Sing The Blues)。

そういった「文学フリマ東京41に参加します」と宣言しているblogの中で、俺が普段愛読しているblogがあった。そのblogは「Buddha's Face Sandwich」という。初めてそのblogを見た時に「仏の顔 サンドウィッチ?…ああ、仏の顔も三度のモジりか!」と感心したことを覚えている。
その人(blogを書いているのはニャントラさんという20代の女性である)のblogはとにかく文章に半端のない熱量と怒涛の勢いがあった。プロフィール欄に「思ったこと全部書かないと死ぬ病」と書かれていて非常に納得した。なんというか、頭の中に浮かんだ「これ書こう」という話と、心の中にある「これを吐き出さずにはいられない」という想いが全て文章に乗っている、そんな感じだ。多分だが、本人が書きたいと思っていることに対して、タイピングの指が追い付かないくらい、大量の物語が彼女の体内に潜んでいる、そんな印象を受けた。
俺が人様のblogに欲するものは、純粋たるエンターテインメントである。ライフハック的なものは一切求めていない。教養、知識等の上積みも必要ない。結果として個人blogから何か学ぶことはあっても、「教えを乞おう」としてblogを読んではいないということだ。
ごちゃごちゃ書いているが、単純に俺が彼女のblogのファンになったということである。これが説明として一番判り易くて良い。そして彼女は、東京ビッグサイトに来て、彼女自身が書いた本を物販すると言う。となれば、これは会いに行って彼女の本を直接買ったほうが良いだろうと判断した。大抵の場合、製作した本はネット経由でも購入できると思う。だが、直接会場を訪れ「blog読んでますよ」と伝えたほうが、断然良い。何故ならそのほうが、筆者にとって読者が具体的に見える。同じ一冊が売れたにしても喜びはだいぶに違うであろう。偉そうに書いているが、俺が逆の立場だったら、きっと同じことを思うに違いない。
ちょっと種明かしをすると、会場で彼女と会った時に、俺はスマホで自分のblogのページを見せて「このblog判ります?」と確認している。彼女が俺のblogを読んだことがあるのは知っていたからである。また、彼女も、俺が彼女のページを見ていることは知っている(blogの機能で、それが判る仕組みになっているのだ)。

会場は約3,000のブースが出展していると言う。東京ビッグサイトに入場すると、あまりのテナントの多さと来場者の数に人いきれがする。

ニャントラさんのブースを見つける。若い女性がそこにはいた。文章の醸し出す空気から、ワイルドな女性を想像していたが、おしとやかなお嬢さんがそこにはいた。自己紹介をして、本を買わせて貰う。そして暫く雑談。時間にして、10分弱程度だ。本当はせっかくの機会なので、もっとお喋りしたかったが、俺が筆者であるニャントラさんと会話をしていると、他の購買意欲のあるお客さんの邪魔になる。適当なところで場を後にした。

俺が今回、東京ビッグサイトに出掛けて本を購入したのは、上述した通り「筆者の人に直接会って本を購入しよう」という想いがあったからだ。それはやはり、直接会うことによって、何かしらの良い影響を互いに与えあえるであろうという確信があったからに他ならない。具体的に「どんな良い影響?」と問われると困る。そこまで突き詰めて考えてはいないからだ。
だが、俺(読者)からすれば、好きなbloggerの本を直接買える、彼女(作家)からすれば、直接自分の読者と会って話が出来るので、執筆のモチベーションの多少の助けにはなる、つまりwin-winだ。
少なくとも、お互いに嫌な思いになる部分は一つもない(これ大事)。だとしたならば、東京ビッグサイトに出掛けたことには意味があったと俺は思っている。
そうだな。格好つけた言い方を許してもらえるなら、俺はblogによっていろいろ恩恵を受けて来た。俺にそれを多少なりとも返せる機会があるのなら、その機会は逃すべきじゃない。俺は、そう思うのだ。