Some Were Born To Sing The Blues

酒好き(2017年秋に断酒を宣言)、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越し、2017年春にピアノを始めました。そして2019年6月に東京暮らしを再開。生々流転の日々です。

LAST GIG@札幌

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先週の日曜日に、俺の札幌での最後のライブがあった。やはりバンドはライブをやると楽しいのだ。その楽しい活動も、俺が東京へ戻る事で一旦全て終了となる。残念なことだ。東京に戻れば戻ったで、旧友とまたアコースティックギターデュオも再開出来るだろうし、新規にバンドもやれるかもしれない。だが、やはり気の置けない札幌の仲間達とやっていたバンドは格別である。
淋しくないと言ったら、それは嘘だ。というよりも残念だし悲しいし、勿体ないとか色々な感情がある。だが、人生とはそういったものなのだ。「さよならだけが人生だ」と言ったのは誰だっけ。こればかりは致し方ない。また、彼ら(今回のラストライブをやったメンバーとも、別のハードロックバンドのメンバーとも)とは喧嘩別れをしたのではない。機会さえあれば、また会う事も可能だ。
4月終わり頃に、東京への帰還が決まった。そこで、バンドの発起人であるHさんに「東京に戻る事になった」と報告した。勿論、「東京戻る=バンドを抜ける」だ。残念で仕方ない、と。これは本心だった。Hさんも非常に残念がってくれた。
俺とHさんはサックス教室で知り合った。去年の2月の教室の発表会で同じアンサンブルグループに組み込まれたのだ。Hさんと同じグループになったのは勿論偶然。サックスの先生がメンバーを選定してくれたのだけれども、先生は「この二人はきっと気が合うから一緒にしょう」と思ったらしい。そして、それは大正解だった。サックスの先生の慧眼には瞠目するより他ない。

俺とHさんは偶然ながら同い年。そして同じようにロックやジャズが好き。ロックやジャズと言っても傾向があるし、ジャンルとしての幅は広い。俺達は趣味がかなり似通っていた。趣味が似ているから、歳が一緒だから、友人になれるというもんじゃない。そこは互いに気が合うというか、そういった部分が必要だ。これは理屈や方程式じゃない。
池波正太郎が「歳を取ると知人は増えても、友人は作り難くなる」とエッセイに書いている。これは事実だと思う。そして、この歳になって、ここまで気心の知れた友人が出来た幸運に俺は感謝したい。
Hさんとはサックスのアンサンブル練習を通じて仲良くなり、そこから「一緒にバンドやろうよ」という話になってバンドを結成した。
バンドはメンバーを何度も組み替えたり、紆余曲折を経て、今年になって良い形に収まった。楽器編成も、メンバーとしてもこれがベストと言える人達で構成出来るようになった。バンドというのも、結局は人対人の繋がりだ。純粋に音楽の嗜好だけで決められるものでもない。同じバンドやミュージシャンが好きな人同士で集まっても、性格が合わず、バンドが空中分解するなんてのはよくある話。それにこのバンドのホーン担当の二人は、ガチガチのクラシック好き。クラシック好きとジャズ、ロック好きなメンバーが混合であるにも係らず、バンドは非常に良い雰囲気になっていた。それはやはりメンバー間で良い関係を築けていたからだ。音楽(バンド)というのはジャンルに拘泥するだけでは駄目で、最後は人として良い関係を保てているかどうかに帰着するんじゃないかという気がする。
東京にいた頃、J-POPを中心にやっていたバンドも、人間関係が良かったから、ドラム叩いていて、とても楽しかったもの。
ところが、今年も色々活動していこうぜ、Hさんと話していた矢先に、俺の東京転勤。本当に人生とは思ったようにはいかないのだ。

今のメンバーになってから、まだライブをやっていない。俺が「このメンバーでライブやりたかったなぁ」とこぼし、「俺の転勤は6月からだろうから、何とか5月にライブやれないかな」と提案した。Hさんもその案に乗ってくれて、ライブやろうとメンバーにネゴを取ったり、ライブハウスへの折衝などをしてくれた。Hさんには感謝しかない。
今年になってから今のメンバーで練習していたから、ライブをやるだけのレパートリーはある。

そして、5/19にラストライブ。気の合う仲間と選んだからなのか、選曲がいずれも気に入ったものばかり。ライブをやる時って、どうしても「この曲はあんまり気乗りしねえなあ」という場合があるのだが、今回はそういったものは一切ない。お気に入りの曲ばかりだ。自分への思い出としてセットリストを記しておく。
1.PICK UP THE PIECES
2.映画「KILL BILL」のテーマ曲、BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY
3.映画「ブルースブラザーズ」のテーマ曲、PETER GUN
4.「太陽にほえろ」テーマ曲
5.「傷だらけの天使」テーマ曲
6.「サイボーグ009」主題歌、誰がために
こうしてみると、サントラが多いな、偶然だけれど。このバンドは、テナーサックス×2、トロンボーンとホーン奏者が三人いるから、サントラ系が多くなったのかな、そういや。

日曜日ライブ当日の朝、俺は二日酔いで東京で目覚めた。前日まで東京での赴任先の住居探しをしていたからだ。ホテルチェックアウトの15分前に起きて、熱いシャワーを浴びてホテルを出る。冷蔵庫には昨日の夜買った缶チューハイが残っているが、さすがに飲む気にはなれなかった。東京は相変わらず暑い。札幌の涼しい気候が懐かしい。
東京駅で、成田空港行の高速バスを待っている間に、喉が渇いてきたので「ビール飲もうかなあ…」という誘惑と闘っていた。ギター弾く前に酒を飲むと、ギターがまともに弾けなくなるのが判っているのに、このていたらく。でも、そこは辛抱。高速バスの中でウトウトしたお蔭でだいぶに酒が抜けた。
成田空港で空腹を覚えたので、さぬきうどんを食す。俺の前にレジに並んでいたベトナム人風のアジア人男性が、かけうどんに醤油をドボドボ注いでいるのを見て唖然とした。いや、それちゃんと味ついてるぞ…まあ、人の味覚にケチをつけても仕方ない。
搭乗まで一時間弱、暇になった。またここでもビールを飲みたい誘惑と闘っていた。お前はいつも飲酒欲求と闘っているな!そう思った貴方、正解です。当然、ビールを飲むとギターがまともに弾けなく…これは、さっきも書いた。
ところがだ。俺がビールを辛抱しているのに、バンドメンバーのうち、テナーサックス担当とドラム担当が「時間が余っているので、酒やってます」とビールと肴の画像をグループLINEに上げてきた。全く不届きな奴らだ。奴らには天罰が下るべきである。

定刻通り搭乗し、飛行機が滑走路を走り出した。が、暫くして止まる。すると機長のアナウンスが。
「コントロールなんちゃらに異常が見つかった為、出発を一旦中止します。以下、ほにゃらら」
なんだって!俺は慌てて、バンドのグループLINEに「なんか、飛行機に異常が発生して、飛行機飛ばないんだが。もしライブ間に合わなかったら、ギター抜きでライブやってくれ」とメッセージ送信。
この日は、新千歳空港に16時半に到着予定。ライブは20時過ぎから。当初の予定通りなら、全然慌てる必要がない。でも、こういった「この日だけはなんとしても予定通りで頼む」という時に限って、予期せぬトラブルに巻き込まれる。これもまた人生なのだ。最悪、定刻より二時間までの遅れならライブに間に合う。だが、欠航となったら、もうその時はお手上げだ。
運良く、一時間弱の遅れで飛行機は飛ぶことが出来た。ライブが終わった後、ドラムのOさんから「あーやって、飛行機飛ばないかもとか言って、メンバーの気を引こうとするんだからぁ」とからかわれた。メンバーは皆爆笑していた。

無事、予定時間にライブ会場には着けた。ライブは予想通り、途中でギターのコードが飛んだり(コード進行を忘れる事)したが、それも平常運転だ。
ステージの上の熱気が凄く、滅茶苦茶熱かった。俺はTシャツ一枚で演奏していたのだが、演奏中に汗だくになる。不思議だったのが、酒を飲んでいないのに、指が上手く動かない。前日の酒のせいで指先が震えていた。これを言うと、リーダーのHさんに「これだからアル中は…」と呆れられたのも或る意味、お約束だ。俺の場合は、ギターを弾く前日から酒を抜かないと駄目だということがよく判った。今更判っても手遅れではあるが。
とにかく気の置けない仲間とする演奏は楽しい。レパートリーさえあったら、一時間くらいは演奏していたかった。尤も、前日の酒が残っていた俺では、一時間体力が持ったか怪しいものだが。

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俺の札幌でのバンド(音楽)活動はこれにて終了となった。だが、彼らはバンドを続けていくだろうし、俺も東京に戻っても音楽は続けていく。
そう、それだけで充分じゃないか。これ以上望むのは贅沢というものだ。