8月の週末は調子に乗って散財していたら金がなくなった。給料日まで一週間。金の掛かる遊びは出来ない。
そこで相方に宣言した。
「遊び過ぎて、赤字まっしぐらになったから、週末は金の掛かる事は出来ないよ」
では大人しく家で映画(ケーブルTV)でも観ていようとか、相方はそんな殊勝な事を考える人間じゃない。
「じゃあ、散歩だね!」
元々、東京にいた頃から、散歩は俺達の共通の趣味だった。散歩は、中年になって運動していないから、その運動不足解消の目的もある。
だが、散歩はそもそも楽しいのだ。そして金も掛からない。知らない道を歩いたり、見た事もないようなマンションや一軒家を眺めたり。天気さえ良ければ、散歩は非常に上質な趣味と成り得るのだ。
いつも車で出掛けている方面は避ける事にする。そういえば相方が以前「駅の近くに良い公園があるんだよ」と言っていた。どうやら買い物に行く時に偶然見つけたらしい。
ということで、まずは駅近くの公園へ向かう事にする。
普通に住宅街を歩いていたら、フェラーリに遭遇。車に興味のない俺ですら「へー、恰好良いなあ」と思える。だが、これだけ車高の低い車は冬の雪の時は走れないんじゃないだろうか。冬は乗らないのかな。
札幌に来て驚いたのが、8月なのに、紫陽花が咲いている事。なんか札幌に来てから、季節感がよく判らなくなってきた。
また、暫く歩いていると、綺麗に花を飾っている家を発見。札幌は東京に比べて「花を愛でる」家が圧倒的に多い気がする。これはやはり短い春~夏~秋を満喫したいという道民のささやかな楽しみなのかもしれない。素敵な事だ。
駅近くまで歩いて、公園に到着。しかし名前が凄いよな。「寒さを発する川」だぜ。いかにも北の地って名前である。が、後で知ったんだけど、この地名(はっさむと読む)、どうやらアイヌ語でムクドリを意味する「ハチャ・ペッ」が語源なのだとか。漢字は後付けなんだな。
緑と水。やはりこれが大事だよなあ。公園とかに来ると本当にそう思う。東京にいた頃はコンクリートだらけの景色を当たり前だと思っていたけれども、こういった水と緑と地が人にとって必要なものだよな。
そしてなんといっても、白樺。これを見ると「ああ、俺は北海道にいるんだなー」と実感する。相方も札幌に来てから、白樺を見ると「北海道にいるって感じになるよねー」と常々言っている。ちなみに相方が職場で白樺の事を言うと、道民の人達は見飽きてるせいか「白樺見てると侘しい気分になるわよ」だそうだ。
俺達もずっと白樺を見てたら、同じような気分になるのかしらね?
公園を抜けて山を目指す。ってゆーか、この街を歩いていると、至るところから山が見える。札幌って来る前は「雪」ってのがイメージのトップだったけど、今はどっちかと言うと「山」のイメージのほうが強いな。
山に向かって歩いたのだけれども、どうやらこれ以上は進むのが難しい。獣道になっていた。ここが普通の散歩で来られる限界だ。
ま、別に登山に来た訳じゃないからね。ここまで来れれば充分、充分。
ここにも紫陽花が咲いている。札幌に来るまで、ここまで花を観賞する事はなかった。
そして高台から札幌を見下ろす。良い景色だな。山も遠くに見えるんだけど、低い所は建物がやたらと乱立している。不思議な組合せだ。
下山して、さらに歩く。お、いい景色に遭遇。こういったのがあるから、散歩は楽しいのだよなあ。この景色が家から徒歩20分程度のところにあるんだからなあ。凄い話だ。
知っている道を通って帰るのはつまらないから、わざと知らない道を使って帰宅しようとする。おおまかな方向は判っているから、迷子になる事はないしね。
と、なんだか不思議な色をした木を発見。
そして素敵な景色の次は、見慣れぬ組合せの食事処。ぎょうざとカレーか。不思議過ぎる。相方は「私はどっちも好物だから、今度来てみたいなー」と言う。いや、俺だってカレーも餃子も嫌いじゃないよ。でもこの組合せってあんまり見た事ないなあ。
餃子だとやっぱりビールかラーメンだよなあ。
そして次は喫茶店。なんで「侍」なんだろうか。こちらも謎は深まるばかりなり。昔はコーヒーも、ブルーマウンテン、モカ、キリマンジャロと三種類のコーヒー豆を必ず揃えてた事もあったけど、今は毎日インスタントだもんなー。
ということで、二時間半程、街を歩き回って散歩は終了。楽しい景色を堪能出来た良い時間だった。
雪が降って街歩きが出来なくなる前に、なるべく色々なところを歩き回っておこう。