Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

黒木瞳とアイシャドウ

仕事が詰まらないのだが、仕事に行かねばならぬ。こういった時、人はどうやって自分自身をモチベートしているのだろうか。

「え? 仕事は最高に面白いじゃん。仕事が嫌って子供かよ?」そんな軽口が叩ける人は2度とここに来るな!
ちょっとだけ真面目な話をする。俺の仕事はシステムエンジニアだ。そして今の現場では非常に詰まらない仕事しかしていない。この類の仕事はシステムエンジニアのやる仕事じゃないなぁという気持ちもある(現在進行形の仕事のことなので詳細は書かない)。だったら、そこで上司なりチームに働きかけて、もっと自分を高める行動取って、上昇しようよ、そんな意見もあるだろう。だが、俺には正論は要らない。そんなことはごもっとも。百も承知だ。
仕事なんてものは、会社はおろか現場が変わるとやることさえも変わる。一般論で語ることには何の意味もない。俺が現場で自分を主張し出せば、詰まらない仕事が増え、俺の精神が更にささくれるだけである。

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今の仕事(現場)における俺の数少ない楽しみが、黒木瞳嬢とのやり取りである。無論、俺が働いている現場に女優の黒木瞳さんがいる筈もない。俺がよく遣り取りをする部署の担当者が、黒木瞳さんに似た外見の女性なのだ。似ているとは言っても、昨今の情勢だ。彼女はマスクをしている。彼女の外見で確認出来るのは髪型と目だけである。顔の造形は半分も判らないと言ってよい。我らが現場の黒木嬢は小柄である。身長150センチくらいだろうか。
彼女は瞼のところにアイシャドウを施している。その雰囲気と彼女の声が黒木瞳さんに似ているのだ。年齢は40代半ばくらいだろうか。ちなみに俺は女性を見る目も、女性の年齢を見る目もないので、この推理は当てにはならない。
また余計な言葉を付け加えると、俺は黒木瞳さんのファンではない。俺が好きなのは仲間由紀恵ちゃんだ。それはつまり、俺は現場のその女性が黒木瞳に似ているから良いと思っているのではない、ということになる。

基本的には、彼女との仕事の遣り取りはメールで済むことが多い。だが、それだと詰まらないので、メールで済む要件でも会話が出来る状況だと、俺は彼女の部署まで出掛けていく。また、今の現場は時代錯誤も甚だしく、各種申請書には印鑑が必要だったりする。そのため、サーバー上に保管した申請書を印刷し、押印して黒木嬢に提出するのである。
「黒木さん、お疲れ様です」俺は黒木嬢の所属する部署に顔を出す。
「あ、お疲れ様ですー」黒木嬢の声がまた癒されるんだよなぁ。俺はもしかすると声フェチなのかもしれぬ。
「午前中にメールした@@の申請書持ってきました」
「ありがとうございます。えーと(書類を確認しつつ)、はいOKです。お手数お掛けしました」
黒木嬢のお礼の言葉は、俺にとって最高のご褒美である。彼女は恐ろしく人当りが良い。それは彼女の仕事が色々な部署と折衝するからというのも理由としてあるだろう。つまり、交渉事をスムーズに行うには、高圧的な態度や不機嫌な声質は不要というよりも邪魔である。それよりも愛想のある雰囲気や友好的な空気を感じさせる会話のほうが、圧倒的に仕事が捗っていくのである。経験によってそういったことを覚えたのか、仕事を始めた初期の段階から、自然と身についていたのかは俺には判らないが、これが彼女の持つ一つの武器であることは間違いない。
そして、これは俺の勝手な推察だが、こういった雰囲気を醸し出す女性は、間違いなく同性に敵を多く作る。いつも笑顔と柔らかい会話を絶やさない黒木さんにも、人に見せられない苦労があるのだ(とこれは100%俺の妄想なので、合っているかどうかすら判らない)。

当たり前の話だが、そこでは仕事の会話しか存在しない。彼女のプライベートなど、単語一つすら訊いたことがない。今後も訊くつもりもない。
彼女の年齢も判らないし、独身か既婚かも知らない。子供がいるのかも当然不明。だが、それで良いのだ。
アイシャドウのメイクをした、黒木瞳に似た雰囲気の可愛い声をした彼女とほんのちょっと会話が出来れば、それで充分だ。

もしかして、黒木嬢がアイシャドウメイクをするようになったのは、コロナ騒動以降(マスク装着が世の中のスタンダードになってから)かもしれない。要するに、目の辺りしかメイクが出来ないから、そこを強調するためのアイシャドウ。いや、男の俺には化粧の変遷とか流行とかは判らないけれども。
いつの日か、ノーマスクに社会が戻る日が来たら、その時は黒木嬢のご尊顔を眺めることが出来るのだ。その日までは、この現場で働きたいなぁと、冒頭で「仕事が詰まらん」と言っていた男は真逆の言葉でこの駄文を〆るのであった。

(ひとりごと)現実的に、ノーマスクになる日は来るのかな?