Some Were Born To Sing The Blues

酒好き(2017年秋に断酒を宣言)、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越し、2017年春にピアノを始めました。そして2019年6月に東京で一人暮らしを開始。2020年10月に神奈川に移り住む。生々流転の日々。

10万円のゆくえ

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特別定額給付金の申請用紙は、確か5月には届いていたと思う。6月に入ってからだったかもしれない。
とにかく、5月6月は仕事が忙しくて、申請用紙に記入する気にすらなれなかった。期限は8月半ばだったから、「7月に入ってから書けばいいや」と思っていたのが実情。案内の封筒にも「6月は申込が殺到するから、余裕あるなら、7月からにしてね」という意味のメモも入っていたし。

で、俺の場合は正直なところ、目先の10万円がないと生活出来ないという状況じゃなかったから、慌てる必要もなかった。
7月に入り、仕事も谷間を迎えたので必要な身分証明や口座のコピーを取り、用紙に必要事項を記入してポストに投函した。投函する時にふと思いついて、写真を撮って、それを相方にLineで送信した。

「へー。良かったねー。10万円、何に使うの?」
相方の問いに俺は答えた「パソコン壊れたから新しいの買った。それで既に7万は使っちゃったよ」
これは事実。とは言え、新しいパソコンは起動確認済ませた後は、押入れに突っ込んだままなんだけど。そろそろ古いパソコンから新しいのに替えようかな。

「じゃあさ、残ったお金でバッグ買って」
すかさず、相方の「あれ買って、これ買って病」が再発した。特別定額給付金は元々何か買おうという考えが俺にはなかった。物欲ないしね。たまたまパソコンが壊れたから、新しいのを買ったけれども、それがなかったら、10万円は口座に入れっぱなしになっていたことだろう。しかし、前から俺が給付金は特に何か使う予定はないと言っていたのを、ちゃんと覚えている辺りが小憎らしい。
「いいよ。東京来た時に買ってあげようか?」(相方は7月末に出張で東京に来る予定なのだ)
「やったー」という文字と共になんか笑顔の絵文字が並んでいた。 \(^o^)/ こんな感じのやつ。

銀行口座に金を入れっぱなしだと経済が回らない。だから、相方が買い物をする事によって、お金が動き、世の中が回る。それは理屈では理解出来る。だが、やはり俺の頭の中では「どうしてそんなに四六時中、バッグが欲しいのか」が不思議でならない。
ま、これは未来永劫、俺と相方の間では相互理解を得られない物だから仕方ない。

30代の頃に一時、ロック系のセッションに顔を出していた事があった。その常連メンバーにM君という男性がいて、彼はギターマニアで、彼の所有しているギターを全部売れば、ベンツが買えるという噂がまことしやかに流れていた。
本人に訊いたら、どうやらまんざら嘘でもないようだった。彼は確か一流企業に勤めていたので、そんなことが可能だったのだろう。

俺が札幌に行く前に習っていたドラムの先生は、ドラムに関する物(スネア、バスドラ、シンバル等)を全部合わせると一千万円以上掛かっていると言っていた。彼は昔、八神純子さんのバックでドラムを叩いていたそうなので、それも納得である。

世の中で楽器演奏する人の中には、一本のギターをひたすら大事に弾きまくる人と、何十本もギターをコレクションする人に二分される。映画「ボヘミアンラプソディー」で人気が再沸騰したクイーンのギタリスト、ブライアンメイは一本のギターをずっとメインで使っていると言う(父親と作った手製ギター)。
またギターを何十本も持っていて、ライブ中にとっかえひっかえ演奏する人もいる。
これはどちらが良い、悪いの問題じゃない。単純に志向の問題だから、それぞれ自分の想いがある筈だ。

マチュアでも弾きもしないのに、何本もギターやベースを持っている人がいる。ギターの価値が判らない人からすると「身体は一つなのに、そんなにあっても仕方ないでしょう」となる。だが、それは女性のバッグや靴にも同じことが言える。
それを言い出すと泥仕合だ。言うだけ無駄。

俺の部屋の押入には時代劇(殆どが必殺シリーズ)のDVDがあるが、全部合わせると多分30万円以上になるだろう。だが、それで良いのだ。
物の価値なんて、当事者以外には理解出来ない場合が殆どだからだ。

だから、俺は相方に「バッグ欲しい。買って」と言われたら、素直に「判った。どれが欲しいの?」と言うだけだ。
それで世界は平和になる。