Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

年末年始備忘録 2019~2020

ついさっき、相方を最寄り駅まで送って来た。これで俺の年末年始休暇は終わりだ。無論、明日明後日も休みだが、それは俺にとって通常の土日休みに過ぎない。
2019~2020年の休暇が終わった。
(今現在、俺は東京で暮らしている。相方は札幌暮らし。相方の仕事の都合で東京、札幌に離れて暮らしている。今年の終わりに相方が東京に戻ってくる予定。だが、あくまでも予定は予定である)

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2019年、大晦日。
相方が東京にやってきた。去年の6月に俺が東京に舞い戻ってから、相方と逢ったのは去年の10月のスペイン~モロッコ旅行以来。とは言え、今更数ヶ月逢わなかったからといって、不自然な感情になったりする訳でもない。もう長い付き合いだ。その辺りに無理がなくて良い。
飛行機が予定よりも遅れ、20時過ぎに相方が俺の住む街の最寄り駅に到着。駅の改札口前で俺は待っている。相方がスーツケースをゴロゴロ引きずりながら手を振る。なんだか一緒になる前の待ち合わせていた頃を思い出した。こういった経験も悪くないのかもしれない。
「久しぶりだねー。あー、白髪増えたねー」相方が笑いながら言う。10月に旅行で一緒に過ごしていた時は髪が長かったから、白髪が目立たなかったのだろう。先月、かなり短髪にしたので、逆に白髪が目立つ結果になったのかもしれない。
「なんか、右側のほうが白髪多いね。ってことは、左脳を沢山使ったのかな?」相方が生兵法で中途半端な知識をひけらかす。どっちもでいいわ。この歳になれば、白髪だらけである。

「お腹空いたねー。何食べる?」相方が呑気に問う。俺は実は相方が東京に来たら、食べようと思っていたものがあった。「焼肉」だ。別に相方に高級な焼肉屋を御馳走したいと思っていた訳じゃない。これは俺都合だ。やはり焼肉というものは、一人で食べるものじゃない。家族や恋人、友人とかの気の置けない人と一緒に食べるべきものだ。一人焼肉というのもあると聴く。それを否定するつもりはない。だが、俺の中で焼肉はやはり「はい、これ焼けてるよ」「これ、もういいんじゃない、食べるだろ」とかの遣り取りをしながら食べる物だという刷り込みがある。
一人で焼肉に行っても美味しくない気がするのだ。だから、相方が東京に来たら、焼肉にしようと決めていた。
大晦日の駅前の焼肉屋。相方はウーロンハイ、俺はウーロン茶。二人でカルビ、タン塩、ロース、ミノ、その他と適当に喰いたい物を注文しては焼いて食べた。大晦日に蕎麦じゃなくて、焼肉。でもそれも悪くない。
年寄でも、たまには肉を大量に喰うというのも良いものである。

俺のボロアパートに着いたのが22時前。零時過ぎたら近所の神社に初詣に行こうと言っていたのだが、この夜は風が強く寒かった。2020年を迎えた辺りで、相方が眠くなったと言うので、早々と1時前には寝る。俺のボロアパートには俺の寝具しかない。この為にレンタル布団を申し込んでおいた。今の世の中は便利だなあとしみじみ思う。俺はベッドに、相方はレンタル布団に潜り込む。

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相方が「なんか、年末年始って感がないよねー」と言う。今更、何を言っているのか。俺自身も、年末や正月の「ハレ」感はとうに失くしている。そもそも、年末も正月もそれほど特別なものだろうか。俺にとっては、単にちょっと週末の休みに数日の休みがプラスされる程度の感覚しかない。

2020年、元日。
起きて互いに「明けましておめでとう」と挨拶。相方が東京に来ると告げた時に「正月はお雑煮くらい作ってあげるよ」と言ってくれていたのだ。だが、生憎材料を買っておくのを失念していた。スーパーは正月休み。そこで近所の100均ローソンへ(ここは年中無休)。餅、鶏肉、野菜、蕎麦汁の素などを購入。相方がお雑煮を作ってくれた。手料理という程のもんじゃないが、相方の料理を半年振りに食べた。
ありがたいものだなあと思う。ここ半年、外食や弁当、或いは自炊の生活を送って来た。
誰かが俺の為に料理を作ってくれるというのは、何事にも代えがたいものなんだなあと実感する。よく女性への結婚の極意で「男の胃袋を掴め」という説があるけど、それは別に美味い料理を作って、男を魅了しろというだけの意味じゃないと俺は思う。
誰かの為に料理を作るということは「私は貴方(貴女)の事を気にかけていますよ」という一番の証左になるからじゃないだろうか。
誰が嫌いな人間の為に、手間暇掛けて料理を作るだろうか。そして、「ああ自分の為に料理を作って貰えて有難いな」と感謝の気持ちを相手に持っていれば、その関係が破綻する事はないのじゃないだろうか。逆に言えば、それを感じられなくなったら(互いに)、その時は二人の関係が終わりだという事を意味するのかもしれないな、多分。

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元日は、俺と相方の共通の友人であるT君(40代半ば)と初詣、初飲み会をする約束をしていたので出掛ける。東京神宮へお参りしようとしたら、あまりの人の多さに三人で仰天し、這う這うの体で退散する。別の場所で初詣を済ませ、そのまま居酒屋へ。
相方から「今日は正月だから、三杯は許すよ。普段飲んでるから許す必要ないと思うけど」との有難い言葉をいただいたので、日本酒の大徳利を熱燗で注文。
T君は俺と同業者(システムエンジニア)なので、そういった仕事の話をしたり。俺は現場至上主義だから、今みたいな管理職的な仕事が合わないと愚痴る。ま、このくらいは愚痴らせてくれよ。去年の半年近く、地獄を見ていたのだから。T君は「判りますよー、それ。自分も前はその立ち位置だったから。今は仕事楽しいっすもん」と。すると相方が「じゃ、会社辞める?」と。この遣り取りを5回くらいした気がする(結構みんな酔っていたのかな?)。
T君は海外旅行をしたことのない人間なので、相方が「海外面白いよー」と「海外旅行楽しいぞ教」に入信させようとする。するとT君が「うち、猫いるから無理っすよー」と。T君は猫を飼っている独身者である。
そうしたら、気付くと逆に相方が丸め込まれていた。相方は子供の頃に犬を飼っていたのだ。それは前から聴いていたから知っている。相方が「もう海外旅行は無理な体力になったら、犬飼いたいなー」と言い出した。
俺は過去にペットを飼った事がないから、そういった生活がよく判らない。ただ、相方と一緒になる前から犬を飼っていた話は何度も聴かされていたし、相方が犬を飼いたい(東京のマンション事情じゃそれが難しいのも承知の上で)というのも頭では理解出来ていた。

T君との楽しい酒食を終えてアパートに帰ると、相方が「犬はメスが良いよねー。名前何にしようかー」と言い出す。相方はパグが良いと言う。俺はパグが何か判らないのでネットで画像検索すると、ブルドッグの小型犬みたいな奴が出て来た。
「なんだこれ、不細工じゃねーかよ」と俺が文句を言うと、「可愛いじゃん」と返す相方。女の「可愛い」の定義は、52年生きてきて未だに判らない。きっと一生判らないのだろうな。

二人で駅前のアーケード商店街で買い物をしたり(俺は部屋が寒いのでフリースが欲しかった)、適当に入ったアジアン料理屋でランチしたり。そうやって三日の午後になった。今日のランチはインドカレーだった。それも平常運転だ。何も和食に拘る必要もどこにもない。

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相方が札幌に帰る時間だ。相方のスーツケースを引きずって最寄り駅まで歩く。

改札前で、相方が「じゃ、またね」と言う。「次、いつになるか決まってねーけどな(笑)」俺が返すと、相方は「じゃ、さよならー(笑)」と言い返す。真面目な話、次に相方と過ごせるのはいつになるかは未定だ。だが俺達は昨日今日知り合った若いカップルじゃない。今更大きなイベントも不要だし、そんなものは無意味だ。

二人で狭い六畳一間のワンルームアパートで、どうでもいいような無駄話を延々としたこと、実はそれが一番大事なことだったような気がする。