Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

スペイン~モロッコ旅行2 スペインで四ヶ月半振りの再会

トランジット(乗換)の香港に着いたが、当然やる事など何もない。相方のようにフルラの財布を買う訳にもいかんし。だが、それは想定の範囲内。日本からちゃんと文庫本を俺は持ってきていたのだ。タイトルは何だったっけかな? 「夜鳴きめし屋」(宇江佐 真理著)だ。これは面白かった。池波正太郎テイストな物語と、「深夜食堂」の演出をミックスしたかのような小説。どちらかが好きな方には是非読む事をお薦めしたい。香港での時間が良い感じで潰れた。

三時間程度待って、再びフライト。さてここからはバルセロナまで13時間の長旅だ。今回も運よく三列席の通路側を予約したお蔭で、三席自由に使う事が出来た。俺は身長177センチあるから、正直三席だと足が出る。だから、自由に伸び伸びという訳にはいかんが、まあ贅沢は言えない。

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乗って暫くして、ドリンクサービス。ここで俺は白ワインを頼んだ。バルセロナまで13時間もあるのだ。白ワインの一杯や二杯、問題ないという判断だ。こうやって目先の酒に溺れて過去に何度も失敗しているのに懲りない。懲りているくらいなら、俺も会社の社長になれていたことだろう。
搭乗して何時間かは忘れたが、また食事。海外旅行はどうしても、機内での食事のタイミングが滅茶苦茶になる。そして、機内の楽しみは映画か食事しかないから、空腹でなくてもこれまた食べてしまう。このせいで、時差ボケと満腹中枢がおかしくなるのが恒例だ。

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食事の時に飲み物を訊かれたので、又もや白ワイン。千歳から香港の機上でも一杯飲んでいるから、これで合計三杯目だ。何やってんだかね。
食事はチキンとマッシュポテト。まあ見た目通りの味。

それから機内が暗くなり、皆寝静まる。俺は映画のX-MENの最新作とジョン・ウィックパート3を観る。どちらも日本語字幕無しだから、細かい内容がよく判らない。でもいいのだ、それで。なんとなく時間が潰せれば良いのだから。そして食事メニューに「カップヌードル」があったのを思い出して、それをCAに注文。正直腹は減っていない。だが、話のネタに一回食べてみようと思ったのだ。ついでに白ワインお代わり(何杯呑む気だよ?)

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カップラーメンは百均で売っているマイナーブランドのインスタントラーメンのような味がした。正直不味い。これを日本の部屋で食べたら、半分も食べずに捨てた事だろう。だが、ここはバルセロナへ向かう飛行機の中。その不味さすらも一種のエンターテイメントだ。

ここでも三席を利用して横になる。だから搭乗時間は13時間だったけれども、体感的には物凄く短かった。4時間くらいの感じだったかなあ。そして、飛行機があと一時間でバルセロナへ着くかという頃、CAが俺に向かって、白ワインのボトルを振って見せる「ミスター、飲みませんか?」と。俺が何度も飲んでいるものだから、最後はこいつに飲ませてしまえと思ったのだろう。エコノミークラスに提供するような安ワインのボトルを残しても仕方ない、だったらあのアル中の日本人に飲ませてボトルを空にしたほうが、後々の作業が楽だ、そうCAは思ったに違いない。

馬鹿野郎、有難く頂きました。この機上で四杯の白ワイン。調子に乗り過ぎだ。まあ、いいか(相変わらず反省という言葉を俺は知らない)。
やっとバルセロナに到着。やれやれだぜ。でもここはまだ終着点ではないのだ。今度はここから国内線でマラガというスペインの海沿いの街に行かねばならぬ。いつになったら俺はゴールにたどり着けるのか。そして相方に無事に逢えるのだろうか?

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と、その前に入国審査。過去に二回スペインに来た事があるが、日本人の審査はかなり甘いと俺は思う。というか、過去二回はすんなり行った。だから今回もそうだろうと余裕かまして、審査官にパスポートを提出。暫くそれを見ていた審査官、俺のパスポートを持って、どこかにいなくなる。

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おいおい、なんだよ。俺は麻薬の売人じゃねーぞ、見た目はそう見えるかもしれないけれど。
少しして、審査官はどうみても上役に見える男を連れて戻って来た。こういった時は堂々としているに限る。俺は言った。
"Is there any problem with my passport?"
"No! just checking your passport. You're Japanese? コンニチワー"
何がコンニチワーだ。問題ねえのに、なんで長々と調べてんだよ。おまけに俺も「コンニチワー」の呼びかけに"Good Morning"と返したりして。コミュニケーションブレイクダウンだ。
「何日バルセロナにいるんだ?」(これは英語で訊かれた)
「今日の午後にマラガに行くよ。そこに妻がいるんだ。で、その後はモロッコに行く」(と、俺も英語で答えた)
やっとパスポートを返して貰って、無事入国審査終了。なんであんなに時間が掛かったのか、未だに判らない。過去二回はあっという間に入れてくれたのにな。やっぱり一人だったからかな?(笑)

バルセロナの空港でスーツケースをピックアップして(スペインの国内線は航空会社が違うから、ここで自分で運ばないといけなかったのだ)、一旦空港の外に出る。おお、懐かしや、FCバルセロナの公式ショップ。これを見るのも三度目だ(と、何度もスペインに来ている事を書きたいというだけの、みっともない自己顕示欲の発露であります)。

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空港の外までスーツケースを引っ張って、灰皿を見つけて一服。バルセロナも涼しい。Tシャツに半ズボンなんて舐めた恰好、白人の兄ちゃんですらしてないぞ、俺だけだ。
この時、確かバルセロナが朝の9時くらい。俺の最終目的地であるマラガの便の出発時間は12時半くらい。まだまだ時間がある。とりあえず国内線のチェックインを済ませ、荷物を預け、空港内のカフェへ。
俺は今回の旅行ではユーロしか持っていない。それも新宿の金券ショップで両替したものだから、50ユーロ紙幣しか持ち合わせていなかった。これは空港内で崩す必要がある、という自分へのエクスキューズで、ビールを注文。いや、ビールである必要はないだろうと突っ込む人がいるかもしれない。だが、やはりせっかくスペインに一人でやってきたのだ。その祝杯を上げるくらいは許してくれても良いのではないだろうか。

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時間が余ったので、小説を読んだり煙草を吸ったりしていたが、微妙に腹が減って来た。そこでバーガーキング(海外ではマクドナルドと同じくらい有名なハンバーガーチェーン店)でコーラ、ハンバーガー、ポテトを。

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マラガ便の搭乗まであと一時間くらいになったので、搭乗ゲートへ向かう。滅茶苦茶混んでいる。まあ、ここからマラガまでは二時間も掛からない。これに乗ってさえしまえば、あとはマラガに着くだけ。そう思ったが、実は体感的にこのゲートでマラガ行の搭乗を待っている時間が一番長かった。ゴールはもう少しだ。

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そしてやっとマラガ・コスタ・デル・ソル空港に到着。おお、懐かしいなあ。ここも二度目だ(と、何度もスペインに来ている事を書きたいというだけの、みっともない自己顕---以下省略)。

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相方が空港からホテルまでのバスの乗り方を書いたメモをメールしておいてくれたのだ。俺はそれをプリントアウトしてバッグの中に入れておいた。バス停で停留所を確認すると終点だった。これなら安心だな。
バスに乗り込む時に、運転手にプリントアウトしたメモを見せて、終点を指さす。すると運転手「Si、Si(yesの意味)」と頷く。安心して乗り込む。
さてあとはスペインの景色でも楽しむ事とするか。

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終点に到着。乗っていた時間は30分程度かな。楽しかった。下車すると、景色がまるで南国みたいだ。というか、マラガはスペインでも南に位置しているから、当然そうなんだろうけれども。

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俺は遥か昔に行ったフロリダを思い出した(と、こうやって意地汚く、昔フロリダに行った事がある事を書きたいだけの、みっともない自---以下省略再び)。
バスを降りて、相方から貰ったバス停からホテルまでの地図を頼りに歩く。スペインは街にこういったキオスクみたいなスタンドがあるんだよね。売ってるものは、ガムや新聞、ソフトドリンクくらいなんだけどさ。チープな土産とかも売っているから、それも楽しい。

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ここマラガは完全に南国の街だなあ。俺が行った時はそれほど暑くなかったけれども、充分によい気候だった。ああ、相方は既にここで三日も過ごしたのか。俺もここでのんびりビーチで昼寝とかしたかった。台風でスケジュールが削られたせいで、俺は今日ここで一泊したら移動しなくてはいけないのだ。悲しいなあ。

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と、地図を片手に歩いていたら、迷子になった。カフェのウエイターに場所を訊いて(大体、こっちのカフェの従業員は英語が話せるでの助かるのだ)、やっとホテルに到着。いやあ、長かった。千歳空港を出てから、実にほぼ一日掛かった。

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ホテルのレセプションにバウチャーを出して"I think Mrs.xxxx is staying here.I'm her husband"と告げる。するとレセプションの女性が"passport,please.because I don't know if you're really her husband"と返す。そりゃそうだ。彼女は内線で電話を掛けている。「部屋に奥様いるわよ。ルームナンバーは8010よ」とキーカードを呉れる。俺は「彼女と会うのは四ヶ月振りなんだ」と告げると、レセプションの女性が「あら、それはとても喜ばしいわねー」と言葉をくれた。
ま、俺も相手がスペイン人だから言えた台詞だな。日本人相手にそんな気障めいた台詞は言えない。

8階に上がり、8010の部屋の扉をノックする。キーカードがあるから勝手に入っても良かったのだが、さすがにそれは不躾だろう。
扉が開いて、相方が顔を見せた。四ヶ月半振りの再会。まさか、ここスペイン、マラガの南国の地のホテルの部屋で久しぶりの再会を果たすとはね。「遅かったねー」と相方が笑う。俺もスーツケースを引きずって部屋に入る。俺達が20代半ばの恋人同士だったら、ここで抱擁でも交わすのだろう。だが、俺達はそういった恋愛ドラマの主役を張るような歳じゃない。もうほぼほぼ隠居老人である。俺は「疲れたー」と言ってベッドに座り込む。

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相方が「もう今日一日しかないんだよ。街観に行くでしょ。城壁観に行こうよ」と言う。いつもの旅行だったら、現地について初日はのんびり出来たのにな。今回は台風で日程が削られたせいで、余裕が全くない。
それでも、俺はなんだか、旅行の目的の大半は達したような気分になっていた。

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