Some Were Born To Sing The Blues

酒好き(2017年秋に断酒を宣言)、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越し、2017年春にピアノを始めました。そして2019年6月に東京暮らしを再開。生々流転の日々です。

お前の言う「普通」は、どこが「普通」なのか?

世の中には、自分のやり方を押し通さないと気が済まない人が一定数いて、それに驚く。これは仕事に限った話じゃなくて、プライベートでもそうだ。そして、そういった「俺流」を頑固に押し通そうとする人は大抵年寄りだ(だいたい俺の世代)。

東京にいた頃の話。仕事で、とある作業をチームメンバーで手分けしてやる事になった。陣頭指揮を取っているのは、30歳前後の眼鏡が似合う森さん(女性)。彼女が資料を基に、担当はここからここまでは誰それ、そしてその次からは、何とかさんみたいに説明をしていく。

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(森さんのイメージ画像。10割程、美人度を盛っております…)

それを聴いていたオッサン(男性、50代半ば)が説明を遮った。
「普通、こういった確認作業をやる場合、@@@もやる筈だよ。僕が前にいた現場ではやってた。それは考慮しないの?」
出たよ、判りやすい「俺が前にいたところではこうやってた」発言。現場でこういった事を言う馬鹿は必ずいる。当然、どこの現場であろうと同じ業界の仕事だから、ある程度の「コモンセンスとして、この場合はこうやるのが暗黙の了解だよね」というのはある。だが、各現場でやり方が違うのは当たり前の話。そして、各現場では、長らくやってきた、そこならではのやり方というものがある。無論、悪しき習慣は改めたほうが良いが、そうやって長くそのやり方でやっているのには、それ相応の理由があるのだ。このオッサンは単に「自分は過去にこの仕事を長くやってきたんだ。経験もノウハウもある。それを30歳ぐらいの小娘に指示されて堪るか」という非常に詰まらないプライドだけで、偉そうに横槍を入れたのだ。また「僕はこの仕事に関してはお前らより判ってるんだぜ」という自己顕示欲を示したかっただけである。真相は判らないが(オッサンに確認したのではないから)、ほぼ間違いない。
そもそも、(眼鏡姿の可愛い)森さんは、作業の割り振り指示と確認を任されただけだ。その作業内容の資料を作ったのは別の人間(資料には作成者の名前もあるから、当然判る)。となれば、オッサンの突っ込みは、(眼鏡姿の可愛い)森さん相手ではなく、資料を作った人間にすべきである。ところが、こういったところが、オッサンの卑怯な点なのだが、資料を作ったのはそれなりの立場の人。つまり、オッサンからすると手強い相手なのだ。それに比べて、(眼鏡姿の可愛い)森さんはまだ若いし、女性。オッサンからすると攻撃しやすい。真っ当な仕事の話をしているように見せかけて、これは間接的なパワハラと変わらない。

「いや、オッサン。そのやり方とかは、今話す事じゃないでしょ。それは資料作成時に確認すべきことだよ。今は皆で作業を片付けるのが主題なんだから」
と格好良くオッサンをたしなめたのは、俺じゃなくて、俺の横に座っていた亀さん(男性、俺と同い年)。
あとで亀さんから「お前も突っ込めよ。(眼鏡姿の可愛い)森さんが困ってたんだから」と怒られた(俺と亀さんは仲が良かった)。全くもってその通り。こういった時に、俺は役立たずだ。

仕事のみならず、上のような例はプライベートでもある。非営利目的のコミュニティなんかでも年中起きる。判りやすい例が、俺の場合だとやはりバンドである(以前書いた話とちょっと内容が重複する)。
札幌に来てから、初めて組んだバンドでの話(俺の担当はドラム)。この時、メンバーはヴォーカル、ギター、ベース、ドラム。楽曲の系統からして、キーボードが欲しいねとなり、キーボードを募集した。一人応募があった。その人も50代半ばの男性、オッサン2号。
オッサン2号との初顔合わせの為、スタジオに入った。曲を合わせていると、オッサン2号が言った。
「レパートリーの曲の構成シートはないの?」
ようするに、曲がどういった構成になっているかを記したものだと言う。そんな物の存在を俺は生まれて初めて知った。そもそも、音源があるのだから(俺達はカバーをやっていた)、構成は全員把握している。曲の構成をオリジナルと変えるというのなら、そういったシートも必要だろう。だが、こちらはその辺りは原曲に則ってやっているのだ。そんなものを作る必要がない。
「普通、そういうの作るのが当たり前だよ」
オッサン2号は言った。だが、俺は過去に所属したバンドでそんなもん作ったことないぞ。オッサン2号、お前の言う普通のバンドって、それどこに存在してんだよ?
当然の話だが、バンドによって曲の完成のさせ方は違う。中には一音一音オリジナルと同じようにやることを目指す完全コピーバンドもあれば、曲のコード進行と構成だけ同じでアレンジはがらっと変えるカバーバンドもあるだろう。その中間地点の折衷型もある。俺が所属したバンドはこの折衷型が多かった。
バンドのやり方に絶対的な正解なんてものは存在しない。そしてメンバーが納得してやっていれば、それが正解なのだ。このキーボードのオッサン2号は、自分が新規メンバーなのだから、今までの俺達のやり方を尊重すべきである。何も、バンドに正式加入してからも、ずっとこっちのやり方に従えと言っているのではない。ベターなやり方を提案されれば、当然それを受け入れる準備はある。
だが、初めて音あわせをした人からバンドに対して否定的な発言をされたら、気分が良くない。言っている事が正しいか、正しくないかという問題じゃない。
相手に対して一定の敬意が払えるか否かという事だ。そして、そういった敬意を払えない人間と組んで何かをやっても、必ずこちらの気分がダウンさせられる事は必至である。つまり上手くいかない。
結局このバンドはこの件がきっかけという事もないのだろうけど、そのまま自然消滅した。勿体無いことをした。

自分が新参者なのに、その分野で経験値が豊富にあるからと言って、我が物顔をして良い訳じゃない。物事には何事も歴史があるのだ。だから、その歴史の新しい一頁に自分が加わろうとしたら、その前の頁に書かれている事は大事にしなくちゃいけない。先人達が守ってきたものなのだから。自分が新しい頁を記載する時に、過去にない斬新なやり方や、素晴らしいアイディアを注入するのはむしろ歓迎だ。それは是非やるべきだ。
だが、過去の頁を破り捨てるようなことはしてはいけない。