Some Were Born To Sing The Blues

酒好き(2017年秋に断酒を宣言)、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越し、2017年春にピアノを始めました。そして2019年6月に東京で一人暮らしを開始。2020年10月に神奈川に移り住む。生々流転の日々。

余計な事を言うくらいなら、黙って髪を切ってくれ

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(札幌、中島公園。2017年5月撮影)

札幌に来て二年半になるが、未だに確立されていないものが一つある(他にも沢山あるけど)。それは馴染みの美容院の選定だ。オッサンのお前が美容院行くのかよ? 千円カットに行け!という意見もあるだろう。だが、ちょっと待って欲しい。俺が美容院とかに行って、好きな髪形にして貰える期間はあまり残されていない。20代の頃に比べて、髪の量は半分以下になったし、白髪も増えた。そのうち、切って貰いたくても、切れない状況になるのだ。それまでは、美容院に行くくらいは許してくれ。自分で書いていて泣けてきた。

札幌に来たのが2016年12月だったので、翌年の4月になるまで髪は切らなかった。これは単純に「冬の札幌で短髪にしたら、寒さに慣れていないから風邪を引くだろう」と懸念したからだ。春になってから、家から一番近い美容院に行って髪を切って貰った。ここの美容師さんが、石野真子さんばりに八重歯が可愛くて、暫くここに通っていた。家からも近いし、この美容院を俺の馴染にするつもりだった。ところが、相方が「今度髪切る時、隣駅の***に行って、@@@さんを指名してよ」と命令してきた。そこは、相方が札幌に来てから初めて行った美容院だ。「友人紹介」をするとカット代金が30%オフになるとかそういった割引制度を相方が使いたかった為だ。くそ、俺の石野真子さんが…
仕方ないので、相方の顔を立てて、隣町の美容院に通い始めた。担当美容師さんは、まだ20代半ばくらいの身長150センチに満たないちびっ子の可愛い子だった。相方は「@@@さん、カット下手なんだよなー」と文句を言っていた。そりゃ、東京時代は表参道の藤原紀香御用達の美容院で髪を切っていた相方からすれば文句も出るだろう。俺は気にならなかったけれど。というか、ちびっ子美容師さんは凄く可愛かった。確かにカットは下手だったけど。

このちびっ子美容師さんのところでずっと切って貰っていたのだが、その美容師さんが、美容院を移るという。店のやり方や給料とか待遇とか、客には言えない色々な理由があるのだと思う。ところが、彼女の移る先が、家からかなり遠いところだった。正直言って、わざわざ電車を乗り換えてまで行くほどのものでもない。ちびっ子の可愛さには惹かれるものがあったが…仕方ないので、またネットで家の近所の美容院を探す羽目になった。本当なら、石野真子さんのところへ戻れば良いのだけれども、既に2年近くもご無沙汰にしている。今の恋人と別れたからといって、昔の恋人のところへ「やあ、元気? 俺、今一人なんだけど、お前今フリーなの?」と言うようなものだ。それはみっともない。考えすぎか?
それから家の近所の美容院を新規開拓して二軒ほど行ったが、どうもしっくり来ない。いや、散髪は問題ないんだけど、アンケート用紙に「会話は要らない」と書いているのに、カット中に「お仕事は何されてるんですかあ?」とか訊いてくるのでイラッと来る。男の美容師と会話なんかしても楽しくないんだから、黙って切ってろ!(オッサンの暴言、ここに極まれり)

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また新しい美容院探すかなあ、今のとこで我慢するかなあと考えていたら、東京時代の床屋さんのことを思い出した。東京時代は、美容院じゃなくて、床屋に行っていた。まだ相方と知り合う前の話だ。この床屋には10年くらい通った。マスターも俺の顔を認識してくれていたし、散髪のテクニックそのものは問題なかったのだが、散髪中の会話に問題があった。
「お客さん、この前の天皇賞とった?」とマスターは競馬の話をしてくる。きっと彼の趣味なのだろう。だが、俺は彼に競馬が趣味だと言ったことは一度も無い。俺は競輪競馬には興味がない。基本的に俺はギャンブルはやらない、だって人生そのものがギャンブルみたいなものではないか。よくありがちな陳腐な喩えだなあ。
そして、「この間のK1凄かったねー。***のノックアウトは痺れたなあ」と今度は格闘技の話題を振ってくる。俺は格闘技好きだと言ったことも無い。競馬や格闘技の話題を振られても、こっちは一切判らないから、適当に返事をするより他にない。客が乗ってこない時点で、ああこの人はそういうのには興味ないんだなと察して欲しいものである。
だが、この辺りの会話はまだいい。適当に受け流せば良いのだから。俺がこの床屋に行くのを止めようと思ったのは、マスターの次の一言だ。
「韓国人や中国人なんか、とっとと日本から出て行けばいいんだよね。生活保護貰ってるなんてふざけた話だよ」
マスターは非常に判り易い差別主義者だった。俺が「韓国人なんか日本から追い出せばいいんだ」と話を振ったのではない。彼がそういった話を始めたのだ。俺は見た目が典型的な日本人顔だから、俺を見て「この人は韓国人かな? 中国人かな?」と考える人はいない。だから、マスターも安心してそういった話をしたのかもしれない。だが、俺の妻や恋人、親しい友人に韓国人や中国人がいる可能性は考えないのであろうか。
仲間内だけで、飲み屋でそういった話題をしているのなら、それは仕方ない、黙殺しよう。好きな話をすればいい、好ましいとは思えないが。
だが、サービス業の人間が接客中に、そういった非常に気を遣わなくてはいけない話題を、平気でしてくるところに違和感があった。「韓国人出て行け」発言があって、俺はその床屋に行くことを止めた。

会話をする時に、全方向に気を配れと言っているのではない。相手の好きな事だけ話せとも言ってはいない。そんな事を言い出したら、天気の話以外何も出来なくなる。だが、ちょっと想像を働かせれば、言っていい事と悪い事くらい、すぐに判るだろう。難しいことじゃない。その程度のことも判らない人はサービス業に向いていない。そういう意味では、俺はサービス業をやってはいけない人間の見本みたいなものだ。システムエンジニア(俺の職業)って、ある意味サービス業なんだけどね。
もう東京の床屋さんとは遭遇する機会もないから、別に良いんだけど、問題は札幌での美容室だ。どうしよう。相方が割引サービスに釣られなければ、今でも石野真子さんのところで切って貰えていたのに。逃がした魚は大きい(そもそも、釣ってないけど)。