Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

東京

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先週、実に一年半振りに東京へ行ってきた。目的は研修の為の出張だ。
研修は三日間。上手い具合に研修最終日が金曜だったので、土曜日に札幌へ帰る便を予約する事が出来た。東京初日の夜、金曜の夜、土曜の昼と東京時代の友人らと旧交を暖める事も出来た。
研修に関しては言う事は何も無い。そもそも何も言いたくない。朝の9時から夜の8時近くまで、地獄の三日間だった。

今回の出張で、相方から許しを得て「東京にいる間は飲酒して良い」という事になっていた。そもそも旧友らと再会するので、さすがに飲酒出来なくてはなあという気持ちがあった。
実に飲酒するのは半年振り。火曜の昼に会社を出て、札幌駅から新千歳空港へ向かう。もうこの時点で気分は東京なので、駅の売店でビールと缶チューハイを購入。
乗り込んだ電車で早速ビールを飲み出す。この辺りはアル中時代となんら変わらない。久しぶりのビールは確かに美味かった。間違いなく美味かったのだが、果たしてこれが自分の人生、そして人の生活を壊してまで飲む必要のあるものだろうか? とは確かに思った。
そしてすぐに缶チューハイへ。こういった惰性や流れで飲酒しているのがきっと駄目なんだろうとは思うけれども。

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新千歳空港にて、東京で会う人達用の土産を物色。それが終わるとやる事がなくなった。仕方ないので、売店でまたハイボールを買って飲む。今思い出してみると、こうやって何か行動する度に昔の俺は酒を飲んでいたな。
典型的な駄目人間の構図だ。
搭乗口近辺でも、暇なのでハイボールのロング缶を2本買って時間を潰す。東京に行くのが目的なのか、空港で酒を飲むのが目的なのか、もはや判らない。俺の親父や兄弟がこんな感じだったら、確かに見捨てる以外の選択肢がある筈も無い。

1時間半程度で羽田空港へ。降りていきなり東京の東南アジア化の洗礼を浴びる。何しろ札幌はその週は20度程度しか気温がなかったのだ。夜なんて、Tシャツ一枚だと涼しいくらいだったのだぞ。それが一気に30度超え、そして地獄の湿度。
俺も確かに一昨年まではこの灼熱地獄を味わっていたのだ。よくこんな暑いところで20年以上も暮らせたものだなと自分に感心する。札幌の春から夏に慣れた身体に、この暑さは耐えられない。

研修場所は千葉の某所だったので、そこから高速リムジンバス、JRで移動。千葉の辺りは昔住んでいた場所に近かったから、景色に馴染みもある。けれども、なんというか特に「懐かしい」といった感じはなかった。
まだまだ、札幌よりも東京の風景のほうが俺の記憶の中にはデータ量は多い(そりゃ、25年と1年半だもの)。
でも、俺は思ってしまったのだ。ああ、東京は既に俺にとって懐かしいと思える場所ではなくなってしまったのだ、と。
何故、そう思ったのかを言葉で説明するのは難しい。俺が生まれ育った群馬の前橋すらも、既に俺にとっては懐かしいと思える場所ではない。
そう考えると、俺は典型的な根無し草なのかもしれない。俺がもっとじいさんになって、棺桶に両足突っ込む頃は、札幌でも東京でも群馬でもない別の場所にいるかもしれない。

ちなみにホテルは船橋に宿泊したのだが、船橋の人の多さは札幌を凌駕していた。いや、人の多さ(札幌は観光客が多いから)で言えば、札幌だと思う。が、人口密度みたいなもの、密集率は遥かに船橋のほうが凄かった。これは広々とした札幌と建物が多く立ち並ぶ船橋の違いのせいだと思う。
部屋の窓から山々が見える街に暮らしている人間からすれば、東京近郊の密度の高い街は圧迫感しかない。

チェックインして一息つくまもなく、東京駅へ向かう。この夜は、昔一緒に働いた事のある亀さん(仮名)と飲む約束をしていたからだ。彼と一緒に仕事をしたのは、たったの4ヶ月だけなのだけれども、馬が合うというのか、別々の現場で働くようになっても、よく彼とは酒を飲んでいた。
亀さんが予約しておいてくれた店で、飲み放題コースを選択。俺も亀さんもかなり飲むので、飲み放題にしないとコスパがよろしくない。
明日は研修初日だしなあという思いがあったが、久しぶりの飲酒、東京、古い馴染みという要素が入ってしまえば、もはや飲むしかないという状況になった。
亀さんも、最初は俺の札幌生活を訊いてきたが、気づくと昔のように互いの仕事の愚痴やらの会話となった。ま、彼とはそもそもそんなふうに愚痴を言い合えるから付き合ってきた部分もあるのだ(気を遣う相手と飲む酒ほど不味いものはない)。
亀さんとは22時くらいに別れて俺は船橋のホテルに戻る。途中のコンビニで缶チューハイをさらに二本買って寝酒だ。相方の許可がある事、東京での久しぶりの夜という状況もあるけど、明らかに昔の飲酒時代と何も変わらない。
そして、東京の夜も変わらず暑くてきつい。
翌日の研修の為に、久しぶりに東京の満員電車に乗った。これも札幌のガラガラの地下鉄に慣れた身からすると、きつかった(さらに結構二日酔いに近かったからね)。
もう、札幌の通勤電車に慣れちゃったら、東京の通勤なんて不可能だよなあ、そう思わずにはいられない。

水、木、金と研修は三日間。水、木の夜に誰か東京時代の知り合いに会っておこうかと最初は思ったのだけれども、計画を入れなくて正解だった。そもそも研修終了時間が20時だ。そこから人と会って酒飲んで翌日研修となったら、ちょっと身体が持たない。研修そのもので相当心身をやられたので。
だが、結局毎晩ホテルに戻る途中で晩御飯を摂りながら酒を飲み、ホテルに戻っても酒を飲みで、研修期間中はずっと二日酔いだった。
研修中、ずっと隣の席だった深田さん(仮名)、酒臭くてすみませんでした。

今回の出張では東京の暑さが厳しかったけれども、その厳しさの半分くらいは、二日酔いだったせいも否めない。
そして金曜の夜に研修が終わり、早速駅で缶ビールを購入した。これは地獄の研修を終えた自分へのご褒美だ。と、酒飲みはなんだかんだ理由を作っては酒を飲む。
この夜は銀座に泊まる事になっていたので、電車で移動。電車の中でも缶ビールを飲んでいた。全く酷い。途中で昔住んでいた「葛西臨海公園駅」を通過したのだけれども、やはり望郷みたいなものはなかった。
「ああ、そういえば俺は昔ここに住んでたんだなぁ」と思った程度。俺は帰属意識みたいなものが弱い、或いは無いのかもしれない。

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銀座のホテルにチェックインして、早速旧友に電話。旧友は大学時代の友人であり、東京を離れる直前まで一緒にアコースティックギターのデュオを組んでいた間柄だ。
付き合いも30年以上になるので、気心も知れている。
旧友の予約してくれた焼き鳥屋に行ってビールで乾杯。最初は俺の札幌生活や仕事の話をしていたが、焼酎のボトルを入れた辺りから、話がバンド時代や音楽に関する事に移行する。これもお約束だね。
バンド時代の話なんかも結構したと思うのだけれども、内容はあまり覚えていない。これもいつものことだ。ただ、彼は今は特にバンドはやっていなくて、家でギターを弾く程度だと言っていた。まあ、それは想像出来たのだけれども。
もし、今でも俺が東京にいたら、彼とギターデュオを続けていただろうから、そこは彼に悪いことをした。俺は今は札幌では、過不足ない感じで音楽をやれているから余計にね。

互いに翌日の予定もあるので、23時過ぎには解散。余った焼酎のボトルは旧友から「部屋で飲めよ」と貰った。確かに店にボトルキープして貰う訳にもいかないし。

翌日は朝の9時に起床。昼に昔の音楽仲間に会うので、酒はその時でいいなと思う。が、友人から貰った焼酎がある。ホテルに捨て置いていけばいいだけの話。そう思ったのだが、もったいないので、朝から芋焼酎をストレートで。
もはや、この辺りの飲酒スタイルは、30代の頃の一番飲酒癖が悪かった頃と双璧である。ボトルは空になった。
半年の禁酒も一滴のビールから全てが無に帰すのであった。

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それから銀座の山野楽器(東京時代はよく行ったものだった)で、アコースティックギターを見に行く。気に入ったのも無かったし、値段も手が出るものではなかったので、冷やかすだけ。
煙草が吸いたくなったが、東京って煙草を吸える場所が、札幌に比べて圧倒的に少ない。そこで「テラス席は喫煙可」と書かれたイタリアンレストランに入店。テラス席でビールを注文。
何故かビールが温くて殺意が湧いた。このクソ暑い東京で、温いビール出すな!

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待ち合わせ場所に行くと、昔一緒にバンドをやっていたAさん、そしてAさん(女性)と一緒に今デュオをやっているSさん(男性)が既にいた。
Aさんとは一緒にバンドをやっていたし、Sさんともバンド繋がりで何度も顔を合わせて話をしたことがあるので、やはりリラックスして話が出来る間柄だ。
二人はこの日の夜、ライブがあるのだ。ライブ前の時間にランチに付き合ってもらうとは非常に有りがたい事である。
三人でランチを摂りながら、俺は残波(泡盛だ)をロックで。食事しながら色々な話をする。やはり音楽仲間なので、音楽の話が多い。

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そしてやはり音楽の話が面白いんだよね。互いにそれぞれの仕事の話なんかしたって面白くないしさ。音楽好きが三人集まって酒飲んだら、そりゃ音楽の話でしょ!と。
後で、Sさんから「残波、6杯飲んでたよ」と教えて貰った。泡盛をロックで6杯も飲めば、そりゃ酔うはずだ。二人と別れて、俺は羽田空港へ。

と、気づいたら、山手線の電車の中。スマホの時計見たら、その時点で飛行機の出発時間過ぎてた(笑)
なんとか羽田空港へ到着し、AIR-DOの窓口へ行って「乗り過ごしたんですけど」と素直に言うと「一回だけ変更効きます」と言われ安心する。
さすがにここではもう酒は飲まなかった。というか朝から芋焼酎のストレート、そして泡盛のロック、これ以上飲める訳がない。

札幌へ着いて、飛行機を降りた時のあの涼しさに感動する。東京とは全然違う。勿論どちらが良いかという話じゃない。いや、どちらが良いかという話だ。
夏の東京なんて、地獄の一丁目だ。人の住む場所じゃない。が、札幌の冬は今度はこちらが地獄の二丁目だ。

二日酔いと真夏の暑さでライフポイントが殆どゼロになり、ほうほうの体で帰宅する。札幌のマンションは誰もいない。なぜならこの日から相方は東京に出張だからだ。入れ違いである。


四泊五日の東京滞在は、こうして無事に(?)終わった。
旧友たちとの懐かしく楽しい会話、灼熱地獄の東京、飲みすぎた酒。
そんなものが、今回の東京で得た土産だ。あ、あと研修で一緒だった、深田さん(仮名)の素敵な笑顔も良いお土産となりました。←なんだ、この蛇足は?