Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

「お疲れ様です」とは言いたくない

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お気に入りのBlogが久しぶりに更新されていたので、おっと思い、クリックしてそのBlogに到達。読み終わり、「相変わらずこの人の文章は面白いなあ」と満足したのは良いのだけれども、そのBlogのコメント欄を見て、ちょっとした違和感を覚えた。
ある人がコメント投稿していたのだが、一番最初に「お疲れ様です」と書かれていた。

Blogのコメントの最初の一言が「お疲れ様です」って変じゃないか?
なんか、仕事の挨拶みたいだ。

17歳の時、生まれて初めてアルバイトをした。群馬の田舎のラーメン屋だった。時給がなんと驚きの430円(忘れもしない)。30年以上前とはいえ、随分と安い。いや、時給の話がしたいんじゃない。そのラーメン屋で夕方になると、アルバイトの人達が従業員用出入り口から入ってくるのだけれども、第一声が「おはよーございまーす」だった。
最初は「なんで夕方なのに、おはようなんだよ?」と思ったものだが、そのうちにそれが通常の挨拶である事を覚えた。東京に出てきて、居酒屋でバイトを始めた時も、やはり挨拶は「おはようございます」だった。
仕事を始める前の挨拶は「おはようございます」なのだと実地で学んだ。

仕事の挨拶はそれでいい。だが、コメントの最初の言葉が「お疲れ様です」は違和感しかない。このコメント投稿者は、blog主と同じ会社に勤めているのか? それにしたって、ここはBlogである、会社じゃない。プライベート空間だ。そこで「お疲れ様」はないだろう。

今、札幌で俺は二つのバンドに所属しているのだが、そこでもやはりスタジオに「お疲れ様でーす」という挨拶で入って来る人がいる。俺からすると、「今からバンドという楽しい遊びの時間が始まるのに、その前に『お疲れ様』というのは変だなー」とずっと思っていた。だが、ちょっと考えてみるとその挨拶はある意味、理に適ったものなのかもしれない。
「(仕事が終わって)お疲れ様です。(さて、ではバンドの練習やりましょうか)」という意味を含めての言葉なのかも。

東京にいた頃、最後に組んでいたバンドは、20年以上付き合いのある旧友とやっていたアコースティック・ギターデュオだった。気心がしれているから、会った時の挨拶は「よぉ!」とか「やあ」。或いは「久しぶりー」とか。少なくとも、「お疲れ様ー」と言った事は互いに一度もなかった。
それはやはり、気を遣う必要が殆どないから、というのが一番大きかっただろう。

そう考えると、バンド練習時に「お疲れ様です」という挨拶は一番安全(良くも悪くも無難)なのだよなあ。互いの距離感がまだ確実に掴めていない状態で、変に馴れ馴れしい挨拶をすると「まだお前とそんな遣り取りする程じゃねえよ」と思われるかもしれないし、迂闊に地雷を踏まなくていい。親しさを感じさせる挨拶を好まない人がいる可能性だってゼロじゃないから。

東京で5年以上やって、かなり気楽に腹を割って話せたブラスアンサンブルのバンドでも、挨拶は最後まで「お疲れ様です」だったな。ある意味、それが間違いのない、一番確実な挨拶ではあるのかもしれない。

それでも俺はやはり「お疲れ様です」という言葉をプライベートの遊びの場では言いたくないんだよな。別にバンドに限った話じゃなく。だって、遊びはどれだけやっても「疲れる」ものではないから。
「お疲れ様です」という仕事場で使うのが専売特許みたいな言葉は、やはり遊びの場にはそぐわない。

以前、ネットでとある女性と遣り取りをした時に(その女性とは、ネット上のみの付き合いで直接会った事も話した事すらもない)、メッセージの最後に「ちゃお!」と書かれていた。
(ちなみに「ちゃお」ってどんな意味? 「じゃあね」とかそんな感じかな?)
その絶妙な文末の挨拶に、ああ良い単語の選択だなあと俺は感心した。変に他人行儀でもなく、かといって不要に踏み込んでくる訳でもなく、それでいて程よい親しみを感じさせる言葉だった。

言葉っていうのは、選択を誤ると、不要な勘違いや怒りを生む。だから人は言葉を充分に吟味して取捨選択し、なるべく相手に真意が伝わるよう努力する。
当然、挨拶なんて無難であればある程良い。挨拶にいちいち気を配って疲れるのも本末転倒だ。そう考えると、最も危険性の少ない「お疲れ様です」を言うのが賢いやり方である。

だから俺は「お疲れ様です」と挨拶してくる人を否定する気は勿論ない。ただ、それと自分自身が相手にその言葉を使いたいかというのはまた別の問題だ。
ただ、その常套句に代わる良い言葉がないってのも事実なんだよなあ。

今度俺も、「チャオ!」って言ってみるかな。それとも、スペイン語の「オーラ!」にしようかな(やめろ、馬鹿者が)。