Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

酒を買う女

今日遭遇した、ちょっと悲しい(大きなお世話な話ではあるが)体験を記しておこう。

仕事が終わり、最寄り駅を降りた俺は、駅前のコンビニに立ち寄った。チョコモナカアイスを買う為だ。平日は酒を飲まなくなったので、その代りに時々甘いものを買うようになった。こういった悪習慣がデブへの道一直線なのだが、今日はそれが命題ではないので、詳細は省かせて貰う。

さて、レジ前には自分の前に一人の女性がコンビニの買い物籠を持って順番を待っていた。籠の中に結構な量が見えたので「うーむ、レジ終わるのに時間かかるな」とたいして意味のない事を考えていた。

その女性はちょうど俺の直前だったから、彼女が何を買ったか、レジで精算する際にすべてが視線に入ってしまった。それらを列記しておく。

・さとうのご飯

・レトルトのカレー

・カップラーメン

・惣菜のししゃも(チンすればすぐに食べられる奴)

・缶ビール500ml 2本(アサヒスーパードライ発泡酒

俺はそれらを見ながら、意味なく悲しくなってしまった。女性は斜め後ろから見た感じでは30代半ばくらいに見えた。彼女はきっと今から家に帰り(当然賃貸アパート/マンションだろう)、ししゃもを肴に缶ビールを飲むのだ。当然最初の1本は贅沢なアサヒスーパードライ。2本目は倹約しての発泡酒。そしてレトルトカレーとカップラーメンが晩御飯だ。

なんか、10年くらい前の俺の晩飯みたいだな。中年のおっさん(つまり俺みたいな人)が、上記の買い物をコンビニで買ってもそれほど悲壮感はない。だが、30代の女性の晩御飯がコンビニのそれらというのも、他人事ながら切なくなってしまう。

無論、仕事を持つ女性に取って、わざわざ食材をスーパーで購入して、料理を作って一人で食べるというのは、労力も要るし、侘しい行為だ。自分も経験があるから判る。時間を掛けて料理を作って、一人で食べるくらいなら、コンビニで適当に済ませたほうが早いし楽だ。

俺はこの女性を非難している訳では無論ない。男女の違いはあれど、その心情が痛い程判るからだ。

当然、この女性が独り暮らしをしていて、食事を独りで摂る(少なくと今晩に関しては)というのは俺の勝手な想像だが、99%間違ってはいないだろう。

俺だって毎晩必ず誰かと食事をしている訳じゃない。一人で食べる夜もある。そして逆に一人のほうが楽しい場合もある。

だが、なんで女性一人の食事だと勝手に侘しいと思ってしまうのだろうか。最近はよくTVなんかでも「おひとり様」とか特集してたりするよね。それでも、なんか違う気がしてしょうがないんだよな。

やっぱり一人は寂しいし、別に夫や妻や恋人でなくても友達でいいんだけど、誰かが側にいるって必要な事だと俺が思っているからなんだろう。でも、だからといってどうでもいい人間に側に居られても気遣うだけだし。難しいね。

と、なんか答えも出そうもないから、ここで終わりにする。大昔読んだ向田邦子さんの小説にこんな感じの文章があって、それが俺の頭の中にあるんで、件の女性が気になるんだろう、ということにしておこう。

『女って生き物はね、暑いねって言ったら、暑いねって答えてくれる、そういった男が必要なのよ』

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