Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

空から天使が降って来た

俺が今住んでいるアパートは六畳一間のワンルーム、一階である。典型的な独身男性の住む部屋だ。とか言いつつ、俺の上の階には女性が住んでいるが。
なんで、女性が住んでいるか判ったかと言うと、ある夜、ベランダで物音がしたので窓を開けてみた。すると、ベランダの手すりに洗濯物が引っ掛かっていた。ああ、上の階から風に飛ばされたかどうかして、落ちてきたんだな。
で、見るともなしに洗濯物を見ると(いわゆる洗濯用のハンガーが落ちてきた)、そこに女性物の下着があった。ああ、そうか上の階の住人は女性か。
で、ハンガーの引っ掛かっていた場所はベランダの手すり。これなら、手を伸ばせば自分で回収出来る。となると、下手に俺が拾って届けてやらないほうが(互いの為に)良いだろうと判断して、放置する事にした。
30分後に確認すると、無事に洗濯物は回収されていた。

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俺も良い歳をした大人なので、女性の下着を見たくらいで、どうこうなる訳じゃない。既にそういった年齢は通り過ぎた。そんな事を考えていたら、昔の事を思い出した。
もう15年以上も前の話だ。当時の恋人といわゆるデートの約束をした。待ち合わせて、食事が済んでからだったか、食事の前だったかは忘れたが、彼女が下着売り場に行きたいと言う。
そこで、デパートの下着売り場に行った。俺は当然、入り口で立ち止まって「俺、この辺りにいるから、見てきなよ」と彼女に言った。すると彼女が不思議そうに「えー、一緒に見てよー」と言う。
俺は断固として言った。
「無理。女性の下着売り場のコーナーなんて入れない。居た堪れない」
俺がそう返すと、彼女は嬉しそうに笑顔を浮かべ、「一緒に見てよー」と更に言う。俺はそれを断って、下着売り場から少し離れたところに立つ。携帯電話をいじって、彼女の買い物を待った。
それにしても、俺が下着売り場に尻込みしたことに対して、何故彼女があれほど嬉しそうだったのか、未だに理由が判らない。照れる俺を見て、からかいたくなったのかもしれない。
下着売り場コーナーを見るともなしに見ると、カップルで商品を見ている人達がいた。俺は「男でも女性物の下着を見る事が平気な人もいるんだなぁ…」と感心した。

世の中には、恋人と女性物の下着売り場で、一緒に買い物する事が平気な男性も一定数いるのだろう。或いは、もしかすると拒絶反応を示す俺のほうがマイノリティなのかもしれない。そこはちょっと判らない。
俺が下着売り場に入れないのは、一言で説明すれば「居た堪れない」に尽きる。つまりは、「ここは俺が居て良い場所じゃない」という思いが強くあるからだ。
また、これはかなり高い確証だけれども「女性物の下着売り場に、男性に入って欲しくない」という女性は確実にいるのではないか?
極端な例えだが、女性用化粧室に男性が入ってくるようなものか。最近だったら、電車の女性専用車両に男性が乗り込むようなもので。

ただ、そういった女性専用エリアと下着売り場の唯一の違いが、男性が女性に下着を買ってプレゼントする場合もあるから、男性が立ち入るのは、絶対的に不可ではない、という点だろうか。
もっとも、女性に下着を贈るような男性なんて、まずいないと思うけれども。この辺りは俺の認識不足だろうか。そういや、昔女性から「下着プレゼントして」って言われた事あったしな(当然、拒絶した)。
指輪とかと違って、下着はざっくりとしたサイズ知ってれば買えるものじゃないと思うし(この辺りも俺はよく判らないけど)、買うとなるとやっぱり一緒になんじゃないだろうか。
メーカーとかブランドの型番まで判っていれば、あとはサイズさえ確認しておけば良いのか?

俺が女性に贈ったプレゼントは貴金属が殆どで、洋服すらも贈った事がない。下着なんて当然考えにも及ばない。だが、今時の若い恋人達は、下着を一緒に選んだり、プレゼントに贈ったりするのだろうか。
そして、女性は男性が下着売り場にいても、違和感を覚えたりしないのだろうか。

アパートの二階から女性の下着が落ちてきただけで、ここまで色々思い出したり、考えたり出来るのだから、女性の下着の威力はやはり凄いのである(馬鹿なのか、俺は?)。