Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

三ヶ月振りにドラムを叩いてきた

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東京に戻ってきてから、楽しかった時と言えば、昔の仲間達と飲んだ時くらいだった。日常生活は苦痛以外の何物でもない(その主な原因は仕事なんだけれど)。でも、そんな日々を過ごしていたら、心が死んでしまう。
ある「バンドメンバー募集サイト」からメッセージが届いた(俺はそこにドラマーとして登録している)。それは俺と同い年のギターの人からだった。「良かったら、一緒にバンドをやりませんか」というお誘いだった。その人のプロフィールを見ると俺と趣味が近い。そこで俺は「俺のドラムはかなり下手ですよ。それでもよければ」と返した。そして今日、スタジオに入って来た。要するに、顔合わせとセッションを兼ねていた訳だ。
酒を飲んでも憂さは晴れない。煙草を吸うのは一時的な逃げに過ぎない。
やはり自分の好きな事に時間を費やすのが一番だ。

約束のスタジオに行き、メンバーと顔を合わせた。実はバンドはまだ結成されておらず、ギターの人が各パートに声を掛けていたらしい。ただ今日集まったメンバーで、ヴォーカル、ギター(発起人)、ベース、キーボード、ドラム(俺)と全パートが揃っていた。そこで予め課題曲として教えられていた曲を演奏した。ジュディ&マリー「ブルー・ティアーズ」、ビートルズ「Let It Be」、レッド・ツエッペリン「ロックン・ロール」だ。正直言って、これを伝えられた時は「楽曲がバラバラじゃねーか。このバンド趣味が拡散し過ぎていて大丈夫かな」と不安になったのはここだけの秘密だ。

あと、俺自身が実はジュディ&マリにちょっと拒絶反応的な部分があったのも否定出来ない。発起人のギターの人から「ボーカルは女性です」と教えられて、尚且つ課題曲がジュディ&マリ。これは俺の苦手な分野かもと思っていた。正直、あんまりやりたいジャンルじゃねえな、と。先日のサックスセッションのチェッカーズと同じ流れだ。
実際にスタジオに入って音を合わせてみて、ちょっと考えが変わった。それはヴォーカルのT子さんが思った以上に良かったせいもあるかもしれない(上から目線で済まない)。大体、女性ヴォーカルをやりたがる人の8割は「ただのカラオケ好き」でバンドが判っていない人が多い。バンドはカラオケのように音量を簡単に上げたり下げたり、ましてやキーを好き勝手に変えたりする事は出来ない。だが、T子さんはそんな事はなく、充分な声量とバンドの演奏を判っている人だった(後で訊いたらバンド経験者だった。失礼しました)。

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二時間のスタジオは課題曲が三つと少なかったせいもあり、また初顔合わせの場でもあったので、かなり緩いまったりとした時間となった。それは一向に構わない。それにヴォーカルのT子さんがロックンロールやLet It Beがあまり好きなジャンルじゃない感じだったので、後半はジュディ&マリーをひたすらやる場となった。

スタジオ時間はゆるりと終わり、発起人のギターのKさんから「この後時間あったら、ちょっとお話でもしませんか」ということで、居酒屋に異動。居酒屋で二時間、だらだらとお喋り。
「どうですか、このメンバーでやっていきますか?」との問いに俺は苦笑い。というか、俺はこのメンツだったらやっても良いなと思っていたけれども、もし「この人達とはやりたくないなあ」と思っている人がいたら、それは答えにくい質問だろう。
だが、メンバー全員が「やりたい」という答えだった。これは凄い偶然だな。ヴォーカルのT子さんはやはり、ジュディ&マリーや椎名林檎と言った、女性ヴォーカルの好きな奴の王道を好みにあげていた。ま、それはそうだろうなと。

俺自身、40代前半の頃は女性ヴォーカルバンドでドラムをやっていた。だから邦楽の女性の歌物には拒絶感はない。Supeflyとかは大好きだしね。それに今日演奏して、ジュディ&マリーも悪くねえなと思始めた。

バンドというのは男と女と同じで、どう転ぶかなんかなんて判らない。最初はこんな最高な関係は他にはねえと信じていたのに、あっという間に崩壊する場合もあれば、成り行きで始めたものが、ずっと続いたりする場合もある。
でも、俺は今回の成り行きに乗ってみることにした。どんな曲をやるのかも、まだ決まっていないし、バンドの方向性も明確になっているのでもない。決まっているのは、バンドのパートだけだ。

とりあえず、それだけで良いじゃねえか。仕事しかなかった俺の東京の生活に、バンドというワンピースが追加されたのだ。
これ以上の喜びが他にあるだろうか?