Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

高橋一生

通勤電車に乗り、席が空いていたので、座った。と、何気なく正面に目をやると、俺の正面には、俳優の高橋一生さんによく似た人が座っていた。

そして、俺は「むむむむ?」となってしまった。その偽一生が、男性なのか女性なのか判別が付かなかったからだ。年齢は20代半ばくらいの感じ。もう少し若いかもしれない。髪はショートで、男女どちらでもOKな感じのスタイル。顔の雰囲気は7対3で男かなぁと思わせた。服装も今時の若者風とでも言おうか、ユニセックスなもので、男女の判別が出来ない。座っているから明確な身長は判らないが、それほど大きくはない。

「うーむ、男かなぁ、女かなぁ」

別に、偽一生が男でも女でもどちらでも良い。俺に何らかしらの影響を与えるわけじゃないのだから。と書いていて思った。こうやって俺が心の中で自問自答している時点で、偽一生は少々ながらも影響を俺に与えているではないか。

よく、男と女は骨格が違うから、体型を見れば一発で判ると言う人がいる。きっとそれは真実なのだろう。だが俺は正直さっぱり判らない。随分昔にプロ野球選手がニューハーフの人とホテルに行って、それをフライデーされていたことがあった。そのプロ野球選手が「いや、女だって。男だなんて全然判らなかった」と談話をしていた(捏造かもしれない)のをネットで見たことがある。俺もそういった区別が出来ない自信がある。 

偽一生はジーンズを穿いていた。その脚の造形を見ると、女性かなと俺は思った。男性って、アスリートとかを除くと、太ももから脛にかけてが、ほぼストレートな作りだ(それほど差異がない)。それに比べると、女性は太もものほうが丸みを帯びていて太く、脛の部分が細い。これはあくまでも俺観点なので、男女の脚の造形は絶対にそうだと言っているわけではないので、お間違えなきよう。 

んー、偽一生は女性なのかなぁと思ったら、ちょっとドキドキしてきた。オッサン、何考えてんだよ?と突っ込みたくなる人の気持ちも判らないでもない。だが、俺の気持ちも察して欲しい。中性的な雰囲気を漂わせた高橋一生に似た感じのボーイッシュな女性。これは、心惹かれたとしても、許されるのではないか? というか、そもそもこの場合、誰が俺を許すのか、そして許されない場合、誰が俺を断罪するのか? …判りません。

正直言うと、俺は高橋一生さんに関しては特に思う事はない。今売れてるイケメン俳優の一人だなー程度の認識である。だが、この偽一生(女)は、ちょっと俺の琴線に触れた。俺がもし今30歳前後だったら、きっと偽一生(女)を口説くなあと思った。ナンパをするという意味ではない。まずは友達になって、そこから「今度二人で飲みに行こうよ」と誘うだろうと確信しただけの話だ。それほどまでに、偽一生(女)はその中性的な雰囲気も相まって魅力的だった。 

もう一度、偽一生の顔を見た。うーむ、顔だけ見てると、男なんだよなあ。と、ここで気付いた。あ、偽一生は化粧してねえぞ。ってことは男じゃねえか?

もう駄目だ。ゲシュタルト崩壊した。偽一生が男か女か判らん。だが、だ。偽一生が男だとしたら、むしろ簡単に一緒に飲みに行けるなあと俺は夢想した。ただ、あまりにも魅力的な空気を持っているから、酔った勢いで、偽一生(男)を押し倒してしまうかもしれん(これは、俺が30歳前後に戻れたらという空想前提での話)。でも、この偽一生(男)とだったら、それも良いかもしれんと思い始めた。

注:俺自身は異性愛者だが、俺は同性愛、同性愛者を否定しない、むしろ肯定しています。 

ターミナル駅に着き、偽一生(男女不明)が立ち上がった。俺も降りる。偶然なのだが、俺の目の前を偽一生が歩き始めた。見るともなしに見ると(すいません、嘘つきました。ガン見してました)、偽一生のお尻が見えた。あ、これは女性だな、確信した。

 そして改札口を抜け、偽一生(女:確定)は、左に進んだ。俺は右の出口に向かった。女性を見て、久しぶりにドキドキする経験を味わった。

偽一生(もはや男女どちらもでも良い)と再会することはもうないだろう。だから、俺はほんの10分程度、束の間の夢を見たに過ぎない。そしてそれはとても甘美な夢だった(自分で書いていて気持ち悪くなってきた。いい歳して、俺って馬鹿なんじゃないだろうか、否、馬鹿というよりもいかれてる、という表現のほうが合っているか)。

 俺に素晴らしい妄想の時間を与えてくれた偽一生(性別不問)には感謝だ。偽一生が男でも女でも、どちらでも良いじゃないか。電車の中で偶々遭遇しただけの50代のオッサンをここまで虜にしたのだ。その魅惑的なルックスに最上の栄誉を贈りたいと思う。

 ただ、だ。残された問題は、今後俺がドラマとかで高橋一生さんを見た時に、よからぬ妄想をするんじゃないかという点だ。

高橋一生さん本人とファンには、申し訳ないことではある。