Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

明日から東京

明日、東京へ帰る。俺の二年半の札幌生活の終わりだ。
今日は最後の晩餐。ということで、相方に「なごやか亭(札幌では有名な回転寿司。回転寿司と馬鹿にすることなかれ。美味いのだ)で晩飯にしようよ」と水を向ける。すると「米よりも肉がいいなー」とのことで牛角になった。牛角なら東京にもある。だが、別に今生の別れじゃない。難しく考えることもあるまい。

俺の荷物は今日の午後、引越業者が東京へと運んで行った。荷物が少なかったから、作業時間は40分程度で済んだ。簡単なものである。相方との共有物である、テレビや食事用テーブル、CDコンポなどは札幌へ残した。
東京へ運ぶものは、服を除けば、布団、パイプベッド、そして電子ピアノ、ギター、サックスがメイン。CDコンポは持って行かないが、やはりお気に入りの音楽はいつでも聴ける状態にしておきたいから、CDは殆ど段ボール箱に詰めた。ま、これを聴くとしたら、パソコンで聴くしか手がないのだけれど。

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明後日は、今度は荷物の搬入がある。明日、俺は東京の不動産屋へ行って契約作業を済ませ、部屋の鍵を貰うのである。
勿論、明日はまだ荷物も部屋には来ていないし、布団もない。明日の夜は東京のビジネスホテル泊りだ。
札幌では、相方と2LDKの部屋に住んでいた。LDKは勿論二人共有スペースだった。残りの二部屋は寝室と通称ピアノ部屋だ。6畳弱の一部屋には、電子ピアノを置き、俺のギター、サックスを置いていた。ここにはCDコンポもあったから、バンドの課題曲のギターを弾く時はこの部屋で練習していた。ピアノを弾いたり、ギターを弾いたりと、俺の趣味の部屋と化していたのだ。
東京では、1Kで一人暮らし。このピアノ部屋と同じくらいの広さの部屋で、俺はピアノを弾き、食事をして、眠るのだ。という意味のことを相方に言ったら、相方は大笑いしていた。
「1Kで暮らすのなんて、ほぼ25年振りくらいだなぁ」
俺が言うと、相方は「なんか、嫌だねえ…」としょんぼりしていた。札幌のこの広さに余裕のある暮らしから、一気に狭い部屋で暮らす。そりゃ気分が良くなる要素はどこにもない。だからといって、腐っていても仕方ない。
俺が「別居生活終わる前に、一回は俺の住んでるアパートに陣中見舞いに来いよ」と言うと、「なんか気分が落ちそうだから、嫌だなあ」と相方は嫌そうな顔をしていた。だが、自分の亭主が東京でどんな部屋で暮らすかくらいは、知っておいて貰いたいものである。

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牛角で最後の晩餐を終え、マンションに帰る道すがら、俺が「ついに札幌生活も終わりだなー」と言うと、相方が「まさか自分が札幌で暮らすなんて夢にも思わなかったなー」と呟いた。そして、俺が東京に戻るのに、相方はまだ札幌にいるのも不思議な話だ。
人生なんて、そんな不可思議な事の連続なんだろうと思う。
札幌生活が二年半で終わったのは、ある意味良かったのかもしれない。もし、もっと長く札幌に暮らしていたら、札幌はもっと離れがたい場所になっていたろう。また、東京での暮らしを再度始めるのも、心身ともに辛くなっていたに違いない。

三年前、札幌で生活するなんて夢にも思わなかった。二ヶ月前、東京に戻ることになるなんて、これもまた想定の範囲外だった。だからきっと、これからの人生も想像していないような、想定していないようなことに遭遇するだろう。
その度に「まじかよー」とぶつくさ言いながら、俺はなんとかしようとするのだろう。今までだって、そうやって生きて来たのだ。これからだって、きっとそうやって生きていくのだろう、きっと。

とりあえず、さようなら札幌。二年半ありがとう。また逢う日まで。