Some Were Born To Sing The Blues

酒好き(2017年秋に断酒を宣言)、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越し、2017年春にピアノを始めました。そして2019年6月に東京暮らしを再開。生々流転の日々です。

Jazzなんて下らない音楽だ

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音楽を好きな人間に悪い奴はいない。
こんな嘘120%の言葉があるけれども、誰が言い出したんだろう? この「音楽」の部分は何にでも置換えが効く。俺はサッカーの「鹿島アントラーズ」のサポーターだけれども、鹿島サポの中には良い人もいるだろうけれど、極悪人も多数いる。え? その筆頭が俺だろうって? そうかもしれない。

話変わって(もう変わるのかよ)、音楽には二種類しか存在しない。
答えは「音楽には二種類しか存在しない、それはロックかジャズだ」。違います。
では「音楽には二種類しか存在しない、素晴らしいものか、下らないものか」ちょっと近づいてきた。この解答だと、テストとしては、50点だ。では正解は何か?
「音楽には二種類しか存在しない。好きな音楽か、嫌いな音楽か」。今、ドリフのコント並みにずっこけた人がいるかもしれないが、気のせいだろう。

随分前にネットの「相談掲示板」みたいなところで読んだのだが、「主人がジャズを聴いているので止めさせたい。ジャズなんて下らない音楽を聴くと、子供に悪影響が出る。クラシックのような高尚な音楽を聴くべきだ。どうやったら、ジャズを止めさせられるか」という相談があった。ちょっと内容がネタっぽくて、俺はこの相談は創作だと思っている。案の定、「ジャズは素晴らしい音楽だ、そんな事を言うのは偏見だ」とか「クラシックしか認めないその偏狭さのほうが問題では?」などと真摯に回答している人が多数いた。
こういったネット上での大喜利を見ていると、思わず笑ってしまう。そして俺は声を大にして言いたい。この相談者(ネタの創作者)の言っている事は半分正しいと。

俺もこの相談者の言う前段部分には賛成だ。「ジャズなんて音楽は非常に下らないものだ」
おいおい、お前ジャズ好きじゃなかったのかよ?という突っ込みがモニター越しに聴こえてきそうだ。早まらないで頂きたい。俺はジャズが下らないと書いたが、ジャズが嫌いだとは一言も書いていない。
「ジャズなんて物凄く下らない音楽だ。そして俺はそのジャズが大好きだ」これが全てである。

俺が初めてジャズを良いなあと思ったのはベタだけれども、ジョン・コルトレーンの「MY FAVORITE THINGS」を聴いた時だ。三連のリズムに乗るサックスの音色に惹かれた。そこからジャズを聴き始め、サックスを演奏するようになった(この話、何度も書いている気がする)。そしてジャズサックスのみならず、ジャズピアノも聴くようになったし、俺がドラムを今叩いているのは、ジャズドラマーの渡辺文男さんの演奏を生で聴いたのが直接のきっかけだ。

だが、俺はジャズ原理主義者じゃないから、一から十までジャズを肯定する気はない。
「MY FAVORITE THINGS」が収録されているコルトレーンのアルバムを購入して聴いた時は唖然とした。この曲(というか、コルトレーンのバージョン)は演奏時間が13分もあるのだ。
「長いよ!」が素直な感想である。ソロ回しのところで、ベースソロがあるのだが、これが退屈で死にそうになる。だらだらだらだらと、聴いていてどこが良いのか全く判らない抑揚も変化もないベースソロが中盤にある。ここ、ごっそりカットしてくれないかなとすら思っている。俺は過去にロックバンドでベースを弾いていた経験もあるから、ベースという楽器は大好きだ。でも、この演奏のベースソロは俺には無用の長物。
当時何回か聴いて、もうあまりの長さにうんざりしたので、ここ何年もコルトレーン版は聴いていない。久しぶりに聴けば印象も変わるかもしれないが、特に積極的に聴こうとは思わない。

ジャズの最大の魅力はアドリブによるソロ回しだと言う。スタジオ版と違い、その場その場でしか発生しないアドリブフレーズの応酬、それがジャズの醍醐味だとも。その言い分は判る。だが、そもそもそういった応酬はライブで聴いてこそ、じゃないだろうか。スタジオ版はもっとコンパクトで良い。6分くらいに収めて欲しい。というか、10分以上も演奏されると、正直俺の集中力が続かない(ライブなら話は別だ)。ジャズで演奏される曲は、大抵が長すぎる。長くなる理由としては、それぞれのプレイヤーが延々とソロをやっているからだ。そこをもっと削れと。
「それはお前の理屈だろう。僕はソロをお腹いっぱい堪能したいんだ!」と主張する人がいても良い。だから、この「ジャズのスタジオ版はもっと曲を短くしろ」というのは、あくまでも俺主観による、俺のリクエストでしかない。

ジャズピアノで言えば、キース・ジャレットは演奏が始まって最初の2分くらいは素晴らしい。格好良いなあとこちらがピアノの音色に聞き惚れていると、そこにキースの唸り声が乱入してくる(キースという人は演奏しながら、ハミングとも叫びともなんとも表現出来ない感じで歌い出すのだ。歌と言えるほど、明確に歌ってもいないのだが)。これがもう邪魔で仕方ない。「頼むからキース、黙って演奏してくれないかな」といつも思う。キースの唸り声が始まると、肝心のピアノを聴く気が俺はうせてしまって、嫌になるのだ。

「そんな文句ばかりあるくせに、ジャズが好きなのか?」と問われれば、そうだ好きだと答えるより他にない。「変なの」と思う人もいるかもしれないが、これは全然変じゃないし、不思議でもない。
何故かと言うと、好きとか嫌いとかって感覚は理屈じゃないからだ。
金遣いが荒くて、見栄っ張りで、他の男と遊び歩いてばかりいて、自分をちっとも大事にしてくれない嫌な女に惚れる男が必ずいるだろう。
決して美人でもなく、心優しいわけでもなく、料理もまともに作れない、部屋も散らかったまま、暴飲暴食で体型も崩れている。そんな女性に恋に落ちる男だって、腐るほどいる。
だからといって、清楚で品がありお淑やかで、美人で育ちも良く、自分を一番に考えてくれる最高に素敵な女性、その女性を好きになるかと言ったら、そんな事もない。

ジャズも恋愛も一緒なのだ。人に自慢出来るようなもんじゃないものほど、好きになったりするのだ。そして、そんなものほど、やけに愛おしかったりするから始末が悪い。