Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

俺の話を聴け!

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プロのバンドとアマチュアバンドのライブの一番の差は何か? いきなり偉そうである。テクニック? オリジナルをやるかカバーをやるか? プロでもカバー曲やる人達は結構いる。一番の差は実はMC(曲と曲の合間の客へ向けてのお喋り)だと俺は思っている。アマチュアでもプロ並に上手い人は沢山いる。特に東京にいた頃、よくブルースバンドのライブを見たけれども、彼らは押しなべて演奏技術が高かった。これだけ上手い人が在野にいるのかと驚いたものだ。ただ、アマチュアとプロの歴然とした差は曲を演奏している時に発揮されるものじゃない。むしろ、曲と曲の間のMCでその差が現れる。

特にアマチュアで酷いのが、MCで身内ネタをやっているバンド。アマチュアバンドで単独ライブをやれる人達はまずいない。俗に言う対バン(複数のバンドが参加して一つのライブとなる)の場合、お客さんは、自分達が呼んだ友人知人以外もいる。他のバンド目当てで来た人達のことだ。そういった場合に、身内にだけしか判らない内容で盛り上がったり(大抵盛り上がっていない)、身内にのみ話しかけているようなMCによく遭遇する。これがまあ見事に白ける。
ちょっと想像すれば判りそうなものだが、逆の立場でこれをやられたら、一気に気分がダウンする。貴方が友人のライブを見に行く。友人の出番はまだ先だ。ということで、その前の出演バンドを見るとも無しに見ていて、全く意味不明な自分の知らない会話をやられたら、詰まらないし、段々とバンドの演奏そのものを聴く気にもならなくなるだろう。MCをやる時に、見に来てくれた友人らを話のネタにすれば話はしやすい。だが、それでは他のお客さんは置いてきぼりだ。MCが来てくれたお客さん全員に向かっていないのは、百害有って一利無しである。
あと、他にもぼそぼそと独り言喋ってるんだか、客に向かって話してるのか判らないような、小声のはっきりしないトーンでMCをして、最後に「まあ、そんな事はどーでもいいんですけどね」と自虐で終わるパターン。これも勘弁して欲しい。「どーでもいい」ような話ならしないで欲しい。身内ネタMCや、何話してんだか判らない暗い雰囲気のMCやるくらいなら、「次はこの曲です」とタイトルだけ言ってすぐに演奏に入るほうが、何倍もマシである。或いは、一切喋らないとかね。

これと同じような事をBlogでやっている人も結構いて驚く。「Blogで金を稼ぎたい」とか「Blogでアクセス稼いで人気者になりたい」と言っている人のBlogに限ってそういったのが多い。
「今月は記事をいくつ書きました。アクセスはこれだけありました」と報告している人をたまに見かける。それは自分が把握していれば良い情報であって、何もわざわざ報告するようなものじゃない。俺も定期的に見ているBlogがいくつもあるけれど、そのBlogが人気あるのかどうかなんて気にした事がない。自分が気に入っているのだから、それだけで見る価値がある。数値の報告に何の意味があるのか。また「読者を惹きつけるタイトルの書き方」とか「読ませるためのテクニック」とか、そのネタ、過去に死ぬほど見たことあるわ!って記事も多く見かける。それはどうみても、読者へ向かっての記事じゃなくて、「同じようなアクセスを稼ぎたいBlogを書いている人へ向けての記事」だ。さっきのライブのMCで言うところの「身内受けネタ」と同義だ。ちょっと考えれば判ることだけれども、Blogを書いている人よりも、Blogを読んでいる人のほうが分母は多いのだ。その多い人に向かって書かなくてどうするのだ? これが「いや、僕は同じようにBlogの書き方に悩んでいる人に向かって書いているんです」なら良い。ライブをやった時に、客が全員同じサークルの仲間しか来ないのなら、サークル仲間でしか通用しない身内ネタで盛り上がって貰って全然構わない。だが、そういった身内ネタを書いている人に限って「アクセス欲しいです。人気者になりたい、金も稼ぎたい」と言っている。矛盾してねーか? 二番煎じのネタはある意味書きやすいのかもしれない。だが、Blogで金が稼げるようになりたいと言っているのなら、手垢のついた誰かの書いたものをコピペするような内容じゃしょうがねえだろう、身内ネタから脱却しろ。

過去に見たアマチュアバンドのライブで一番素晴らしかったのは、20代の時に見た、会社の先輩のバンドだ。ヴォーカルがMCを務めていた。ヴォーカルは関西弁でたこ焼き屋でのおばちゃんとの遣り取りを面白おかしく話す(バンドの事や曲と一切関係ない話を始めたのだ)。これが「さすが関西人はお笑いが上手いなー」と関心する程だった。観客も爆笑していた。そして一番の笑いが起きたところで、ヴォーカルが「コカイン!」と叫ぶ。あのエリック・クラプトンで有名な「コカイン」をバンドが演奏し出した。今度はその演奏の格好良さに観客が息を呑んだ。客席の雰囲気が一変するのが、判った(このバンドはテクニックも最上級だった)。あそこまでMCの面白さ、バンドの格好良さが融合されたライブは見た事がない。

昔、ローリングストーンズのカバーバンドを学生時代の仲間とやっていたのだが、その時のヴォーカルもMCが下手くそだった。「俺、MC苦手なんだよ」とヴォーカルは言っていたが、それはヴォーカルが「俺、歌苦手なんだよ」と言うのと変わらない。お前が頑張らなくてどうすんだ? って話である。さんざん、メンバー皆でヴォーカルに「もうちっとMCちゃんとやれ」と説教した。

後年、自分がアコースティックギターデュオをやった時に、MCをやらされてよく判った。
MCは難しい。