Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

ありふれた土曜日

会社からインセンティヴ・ボーナスが出た。インセンティヴとか書くと格好良いけど、実情はたいした事はない。業績に応じて出る臨時賞与の事だが、業績が良くないので、出るのは雀の涙程度。そしてここから税金が抜かれるのだから、洒落にならない。手取り額は高校生のアルバイト代よりも低い。
あまりにも微々たる額なのだが、とりあえず相方に小遣いとして一部を渡した。相方は「バーゲンやってるから丁度いいなあ。ジャケット買おうかなー」とまたいつもの病気を発病させていた。相方の病気は「買い物依存症」である。俺は二年程穿いていた仕事用のパンツを買い換える事にした。それとベルトでも買うか。あとは、二人でちょっと贅沢なランチでも摂る事にしよう。その程度の目論見で消える金額だ、今回貰った賞与は。

土曜日の午前。相方は10時からのバーゲンに出掛けて行った。俺は定期的に通っている内科へ行く。歳取ると、病院と顔なじみになるというのも、辛い話である。お昼に札幌パルコで待ち合わせ。相方は買い物袋を持っていない。「良い服売ってなかった…」それは残念でした。目当ての物が買えなかったら、そこで諦めるのが普通の人の感覚だと思う。だが、相方は病気なのでその辺りが違う。
「代わりにフランフラン(小物雑貨屋)で、タオルとかお皿を買う!」と意気込んでいる。相方は何か買おうと思ってそれが買えなかった場合、戦利品無しで帰宅する事はまずない。靴を買いに行って良いものが見つからないと、代わりにバッグを買ってきたりする。要するに「買い物するぞ」モードになると、必ず何かを買わないと気がすまないのだ。明らかに病気だと思う。不治の病だ。

とりあえず、俺の買い物にまず付き合って貰う。ユニクロに行ってパンツを二着。黒と紺の色違い。デザインは一緒。仕事に穿いていくパンツだから、ユニクロで充分だ。こういった時に、お洒落なパンツを買うか、ユニクロのパンツで良しとするかで、その人のファッションセンスがジャッジされるのだと思う。当然、俺はそんな時にお洒落がどうとか、気にする人間ではない。相方も昔は俺の買うものに「オッサン臭いから、もっと洒落たのにしなよ」とか言っていたが、ここ最近は言わなくなった。諦めたのだろう。パンツ一着3,000円だ。ユニクロは貧乏人の味方である。あとベルトがくたびれてきたので、ベルトも一本買う。俺が普段着ている服の50%はユニクロで占められているといっても過言ではない。
エスカレーターで下っていると、タワーレコードがあったので、寄り道する。自分的には予算が微妙に余ったので何かCDでも買おうかな、と。丁度上手い具合にビル・エバンスマイルス・デイビスのCDがあったので購入。ついでにジャズピアノの企画物も購入。ジャズのCDって今は安いよなあと思う。正規アルバムが2,000円しないで買える。CDは二枚合わせて3,000円だ。先ほどのパンツ、ベルトと合わせて、これで俺の予算は使い切った。

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時間は午後の二時半くらい。相方と何を食おうか相談する。すすきの方面に向かって歩くと、美味そうな牛かつ屋さんに遭遇したので入る。メニューはヒレとロースのみ。相方はヒレ、俺はロースをダブルで。二人合わせて4,000円だ。ランチとしては贅沢なメニュー。一応、臨時収入があったという事で。ここのカツは基本レア。鉄鍋が付いて来るので、好みに応じてそれで焼き加減を調整出来るというものだ。よく出来てるなあ。トロロも付いてくるので、ご飯に掛けるも良し、カツを絡ませて食べるも良し。相方は非常に満足していた。俺も「美味いもん食ったなあ」と満足した。

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あとは相方の買い物熱をクールダウンさせねばならない。フランフランに行って、バスタオル数枚購入。そして色の洒落た皿があったので、数枚それを買う。相方は壁に吊るされているカーペットを見て「これ、いいねえ。欲しいなー」と言う。残念ながらカーペットを買う予算はない。それに今日は電車で来てるし。次回は車で来てカーペットを買おうという事になった。問題は、その代金をどこから調達するかなんだけれど。相方は「これ欲しい」と言うだけだから簡単だ。その費用の捻出に頭を痛くするのはいつも俺だ。

ちょっと贅沢なランチをして、相方の欲しいものを買って俺達は帰宅した。俺の買ったものは欲しいものというよりも、必要な物だから、俺自身の購買欲を満たした訳じゃない。でも、CD買ったから、良しとしよう。通勤中のBGMが確保出来た。
何か特別なものを買ったのでもなければ、凄いことをしたのでもない。ごくごく当たり前のありきたりな風景。そんな土曜日だった。
でも、そういった日を過ごせることが大切なのだと思う。当たり前のことを当たり前にやる。それが出来る状況であるということが、実はとても貴重な事なんじゃないだろうか。そう思う。