Some Were Born To Sing The Blues

酒好き(2017年秋に断酒を宣言)、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越し、2017年春にピアノを始めました。そして2019年6月に東京暮らしを再開。生々流転の日々です。

愛人が本妻になりたいと言う

タイトルだけ見て、艶っぽい話を期待された人には申し訳ないと謝っておく。
今日の話は、楽器についてだ(タイトル詐欺である)。

f:id:somewereborntosingtheblues:20190124224309j:plain

年甲斐もなく、ギター、ドラム、サックス、ピアノと手を出している。ギターに関しては、ホーンセクション中心のバンドでファンク系の音楽。ドラムではハードロックのカバーバンドをやっている。
サックスは、自分の中で一番ヒエラルキーの高い楽器なので、必然的に演奏する頻度が高くなる。
結果として、俺の中で一番プライオリティが低いのがピアノとなってしまう。

ギター、ドラムはそれぞれ所属しているバンドが新曲をやるとなったので、それらを覚えなくてはいけない。特にギターのほうは、メンバーを組みなおして、新バンドとしてスタートを切ったので余計に、だ。
過去の既存曲を全て捨てて、全くの新規曲を3曲やろうという事になった。新しく3曲覚えなくてはいけない。そして、これらがいずれもファンク系の(そうじゃないのもあるが)、16ビートカッティングを必要とする曲だった。

自慢じゃないが、過去にギターはエイトビートのロックしか弾いた事がないから、ファンク系のカッティングをやった事がない。とか言っても、ロックギターも苦手なんだけど。ギターに関してはコードが弾ける程度の腕しかない。
将棋で言えば、駒の動かし方は判るけど、どうやれば相手の王を詰ませる事が出来るか、その戦術ノウハウが一切ない、みたいなもんだ。
なので、必然的にギターの練習時間が一番多くなる(俺の楽器の中で)。

ドラム担当のハードロックのカバーバンドも新曲をやる事になったのだが、それが今までに叩いた事のないパターン。ドラムって、身体にそのドラムパターンを染み込ませるのがメイン作業といっても過言じゃない(俺の場合は、だ。他のドラマーさんのやり方は判らない)。
だから、ドラムに関しては時間を少しでも作って、ひたすらその「俺の慣れていないパターン」を身体に馴染ませなくてはいけない。

ギターとドラムはどちらもバンド単位での活動だ。俺が新曲を演奏出来ないとなると、他のメンバーに迷惑がかかる。当然の話として、ある程度は頑張らないといけないのである。頑張ってみたが、自分の腕じゃ無理だから、ここはこうやって省略するねとか、ここはこういう演奏にさせて欲しいとかメンバーにリクエストするのは、一旦頑張った後に言えるネゴシエーションである。

最初っから、「出来ませーん」というのは怠け者だし、自分自身、頑張ってみないのは悔しいじゃないか。こんな歳になっても、過去にやった事ないものにチャレンジしたら出来るようになるかもしれない。そうしたら、きっと楽しくなるに違いない。

サックスに関してはバンドに所属していないが、俺が趣味としている楽器の中では一番上位にくる楽器だ。この上位というのは、「一番上手い」という意味じゃない。俺の楽器の腕前は、サックスが高校生レベル。ギター、ドラムが中学生程度。ピアノは5歳児にも負ける。そんなもんだ。

サックスが一番上というのは、凄く単純にサックスが一番好きな楽器という意味だ。楽器に貴賎はない。だから、サックス、ギター、ドラム、ピアノ。どれが好きかと問われたら、全部と答えるより他に答えはない。
例えて言うなら、仲間由紀恵ミラ・ジョボビッチシャーリーズ・セロン多部未華子の中で一番好きなのは?と問われて「みんな好きだけど、あえて言うなら、仲間由紀恵かなー」と答える程度の話である。
つまり、心理的優先度、物理的優先度の兼ね合いから、どうしてもピアノが一番低くなってしまう。

というような話を、ピアノのレッスンでE先生に言った。ピアノは今、ブルースピアノをやっていて(俺はずっとそれがやりたかったのだ)、非常に楽しい。が、残念ながらあまりプライベートでピアノを弾く時間がない。だから、レッスンの復習もさぼり気味だし、先生に「時間があったら、やっておいて下さい」と言われたことも、完全に放置プレイだ。

「私もバンドやってるから、どうしてもバンドでやるほうがメインになるのは判ります」とE先生は言う。
俺は容赦を得た気になって言う。「ピアノは、出来なくても、今ここでE先生に『出来ません。ごめんなさい』で済むでしょ。でも他の楽器はねえ(仕方ないでしょ)」
E先生は納得顔をしている。

俺に仕事しなくても食べていけるだけの不労所得や遺産があれば、仕事なんかしないで、ピアノ弾いたりするんだけどね。そうはいかないので、仕方ないのだ。

f:id:somewereborntosingtheblues:20190124224433j:plain

俺はさらにE先生によく判らない喩えを言った。
「ピアノってね、要するに遊び友達くらいの位置なんですよ、俺にとっては。サックスが本妻、ギターとドラムが愛人。そんで、ピアノはたまに遊ぶ、遊び相手程度。別に差別とかしてる訳じゃなくて、どうしてもそうなっちゃう」
「えー、ピアノって愛人の立場よりも低いんですかー?」E先生がショックを受けたような口調で返す。無論、笑っているけど。これはあくまでも喩え話だ。
ただ、E先生はピアノ講師だ。生徒の俺がピアノよりも他に優先度の高い楽器をやっている事は、ちょっと淋しいだろうなというのは想像がつく。
俺が逆にE先生の立場だったら、そう思う。「なんだよ、俺がピアノ教えてるんだから、ピアノを一番にしとけよ!」と。

「いつか、ピアノが本妻になれる日が来ますか?」E先生が問う。
「俺としては、ピアノは本妻にしたいんですよ。でも愛人達が邪魔をする(ギター、ドラムでバンドの曲を練習をするのは避けられないから)」
「憎い愛人達ですねー。ピアノが本妻になれる日を期待してますね」
「時間は掛かるかもしれないけど、いつか本妻になると思いますよ。ピアノ好きですから」
E先生とよく判らん話をして、その後にレッスンが始まった。

なんとなく、既婚者で複数の愛人を持っている男性の気持ちが判ったような気がした。
一つに選べないのだよ。