Some Were Born To Sing The Blues

Saxとジャズ、ピアノとブルース、ドラムとロックが好きなオッサンの日々の呟き

ボ、ボクはオニギリが食べたいんだな

通勤には、地下鉄を使っている。これは東京にいた頃と変わらない。東京と大きく違うのは、こちら札幌では朝の通勤で座れるという事だ。毎日必ずという訳じゃないが、大体三日に二回は座れるくらいの高確率。
仮に座れないとしても、電車に乗っている時間は15分足らず。そして東京と違うのが車内の混み具合。はっきり言えば、札幌の朝の通勤ラッシュなんて、東京の地下鉄を経験している人間からすれば天国だ。

今日も、座る事が出来たので、音楽を聴きながらスマホを適当にいじる。いい歳したおっさんがスマホをいじるのもどうかと思うが、時代なんだから仕方ない。それに15分程度だと本を読むには短すぎるんだよね。だから、短い文章を細切れで読めるスマホ経由のネットのほうが、文庫本とかよりも都合が良い。

ふと俺の向かって左側に若いOLが立っているのが見えた。黒系のスーツだ。スカートだったか、パンツルックだったかは忘れた(それは今回の話には一切関係ない)。彼女がバッグの中に手を突っ込んで何か取り出そうとしている。まあ、スマホか手帳とかそんな類だろう。
俺はスマホに視線を戻した。暫くして、そのOLが何かしているのが見えた。俺はそろりと視線を彼女に向けた。

彼女は、おむすびを頬張っていた。

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黒い海苔が巻かれていた。いわゆるパリパリ系の奴じゃなくて、しっとり系の海苔。いや、海苔はどうでもいいのだ、この場合。そういう事ではない。具はやっぱり鮭かな、北海道だけに。いや、だからそういう事でもない。

時間は朝の8時40分くらい。いわゆる通勤ラッシュの時間帯。その地下鉄の中でおむすびを食べる若き女性。しかも立っている状態で。
彼女がおむすびをまだ食べている最中に、俺の下車駅に到着してしまったので、顛末を確認する事は出来なかった。いや、顛末もへったくれもないんだけど。おむすび完食するか、或いは食べきれずにバッグに戻したかの二択しかないのだから。

それにしても、だ。なんで地下鉄の中で立ったまま、おむすびを食べていたのだろうか、彼女は。普通に考えると、寝坊して朝食を摂る時間がなかったから、電車で済ませたと考えるのが一般的だろう。
まさか、彼女は毎日地下鉄で朝食を済ませている訳ではあるまい。

だが、だ。いくらなんでも地下鉄車内でおむすびを頬張るだろうか(いや、実際に頬張っていたのだけれども)。俺だったら、ちょっとそれは出来ない。どれだけ腹が減っているにしても、もう少し場所を選ぶ。駅のホームのベンチとかのほうが断然マシだろう。その時間すらもなかったのだろうか。

地下鉄内での違和感のある行為というと、やはり女性の化粧問題が一番だろう(痴漢行為はそもそも犯罪なので、ここでは考慮しない。混んだ電車でのスマホ使用、音楽プレイヤーの騒音もほぼ犯罪レベルなので、同様)。
一時期、ネットとかで、「女性の電車内での化粧は是か非か」みたいな議論があったように記憶している。東京にいた頃は車内で化粧する女性を何度も見た事があった。
ここ札幌ではさすがに見た事がない、札幌の女性の民度は東京の女性に比べて高いからね! と言いたいところなのだが、残念ながら札幌でも化粧する女性は見かけた事がある。

電車内での化粧について、昔からの知り合いの女性に訊いてみたところ「人前で下着姿になるより恥ずかしい」という答えが返って来た。俺からすると、下着姿のほうが恥ずかしいんじゃね、とか思うけど、これは俺がやはり男だからだろう。女性の羞恥心の沸点はきっと違うのだ。
江戸時代は、女性は寝化粧と言って、寝る時ですら男性の前では化粧をしたくらいだからなあ。そう考えるとすっぴん状態というのは、ある意味、裸や下着姿に近いのかもしれない。だとすると、知り合いが言った「下着姿を見せるより恥ずかしい」という回答も納得がいく。

確かに、人前で裸を見せたり下着姿になったりして着替えていたら、それはただの露出狂だ。車内で化粧する人も露出狂と同義語なのかもしれない。
ただ、多分「電車内化粧」を非難/否定する人は、「化粧をしている時の粉とかリキッドが隣の人に付着して迷惑を掛ける」という点を憂慮している可能性が高いとも思う。
あと、化粧というのは、本来人前でするものじゃないから、車内で化粧をするという事は、周りの乗客を人と見なしていない、それが不快だという意見も読んだ事があるが、それは穿ち過ぎだろう。

ちなみに俺は車内化粧はあんまり気にしていない。何故かというと、俺自身が東京にいた頃は、おっちゃんの車内迷惑行為の多分一位であろう「車内飲酒」を年中していたからだ。
ようは、人様の行為を偉そうに糾弾出来るような立場の人間じゃないから、である。

東京にいた頃は、京葉線という帰りの電車が割と空いている路線をよく使っていた。この路線は本数が少ないので、一本電車を逃すと10分以上は待つのが常だった。だから、ホームで一本ビールを飲んで、車内に乗り込んでから、ゆっくりと缶チューハイのロング缶を飲むなんて事を平気でやっていた。
今考えてみても、迷惑なよっぱらいのオヤジである。そんな人間が車内化粧をとやかく言う権利があろう筈がない。

ひとつだけ言えるのは、化粧も朝食も家で済ませておくのが一番だと言う事だ。それくらいの余裕は日々あったほうが、きっと良いに違いない。