Some Were Born To Sing The Blues

酒好き(2017年秋に断酒を宣言)、音楽好きな中年のおっさんの日々の呟き。趣味はテナーサックスとドラム。2016年冬に50歳目前で札幌に引越し、2017年春にピアノを始めました。

Don't Stop Believin'

昨日は、デフ・レパード(ブリティッシュ・ロックバンド)のカバーをやっているバンドの練習日(俺の担当はドラムス)。二月終わりくらいに結成して、それから月に一回程度の練習をのんびりと続けて来た。
まだ数える程度しかバンド練習はしていない。が、それでも最初にスタジオに入った時から比べると、バンド全体がかなり良い感じになってきた。

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こうやって、バンドの上達(そして多少なりとも、俺のドラムも初回頃に比べるとだいぶにマシになったと思う)が実感出来ると、さらに楽しくなってくるのだよなあ。
無論、俺達は純粋なアマチュアだし、プロとかに比べたら演奏スキルは低い。だが、音楽ってそういう事じゃない筈だ。だから、これで良いのだ。

過去にドラムでいくつかのバンドに所属した事があるけれども(無論、東京時代が殆どだが)、本当に自分の好きなミュージシャンのカバーのみをやるバンドをやるのは初めてかもしれない。

デフ・レパードは10代の頃から好きなバンドだ。来日ライブも何度か見ている。よく考えてみれば、30年以上もこのバンドを応援している事になる(勿論、他にも同じように何十年も追っかけているバンドやミュージシャンはいる)。
このバンドのドラマーであるリック・アレンは隻腕ドラマーだ。つまり片腕しかない。
「え? 片腕でどうやってドラム叩くの?」そう思う人がいても不思議はない。彼は若くして交通事故で左腕を肩から失った。その後、特注品の電子ドラム(失った左腕の代りに足でドラムを操作する仕組みを作った)を使うようになった。が、今はノーマルなドラムセットを片腕で叩いている。

つまり、彼が片腕で叩いている曲を俺は両腕でコピーしている訳だ。そう思ったら、「うーん。上手く叩けないなぁ」などと泣き言を言っている場合じゃない。やらねばならぬの精神になるのである。


若い頃に好きだったミュージシャンやバンドというのは、当時の生活と深く結びついている。このデフ・レパードというバンドもそうだ。大学時代、ガール・フレンドの部屋で、やはりデフ・レパードのCDを流していた事があった。
当然、自分の好きなミュージシャンの事を恋人に語りたくなるのは、人の常だ。俺は「このバンドのドラマー、片腕がないんだぜ」と自慢げに彼女に語った(俺が自慢出来る要素はどこにもないのだが、よく考えれば)。
すると、彼女がこう返してきた「なるほどねー。道理でドラム下手だと思った」
この時、彼女が何を考えてこういった発言をしたのかは、正直判らない。「私だって音楽の事判るのよ」というアピールなのか、それともただ単に思った事を口にしただけなのか。
俺は若干キレ気味に言った。
「この曲の時は、まだ両腕あったんだよ!」
別にこの遣り取りが直接の原因じゃないんだけど、その子とは暫くして別れてしまった。

30代の頃、元恋人と再会した(上記の女性とは別人)。その時、ちょっと洒落た店で酒を飲んだ。デフ・レパードの「TONIGHT」という曲が流れていた。
「あ、デフ・レパードだ。俺このバンド好きなんだよね」
昔、付き合っていた頃、彼女がデフ・レパードは好きじゃないと言ったのは覚えていた。でも、仕方ないじゃないか。俺は好きなんだから。
「なんて曲?」彼女の問いに答えた。「『TONIGHT』って曲だよ」
「そっか。私、『TONIGHT』って曲、好きだな」
デフ・レパード、嫌いだって言ってたじゃん」
「好きになったのよ…」


デフ・レパードは今、ジャーニーというロックバンドと一緒にツアーでアメリカを回っている。ジャーニーは「セパレイト・ウエイズ」や「オープン・アームズ」のヒット曲があるから、知っている人もいるだろう。
高校生の時、クラスの女の子から「家に遊びに来ない?」と誘われた。仲の良かった子だけれども、付き合っていた訳じゃない。女性として好きだったかと問われれば、好きだけど、果たして恋人にしたいかと訊かれたら、ちょっと悩むといったところだったか。
彼女の家に遊びに行くと、ヴィデオラックの中にジャーニーのライブテープがあった。当時は勿論、DVDなんて存在していない。VHSだ。
「お、ジャーニーだ。見ようよ!」俺は喜び勇んでライブ映像を見ていた。今みたいに、お気に入りのミュージシャンのライブがYouTubeとかで簡単に見られる時代じゃない。ライブ映像は滅茶苦茶貴重だった。
ライブを喜んで見ている俺に彼女は言った。
「サンドイッチでも作ろうか」
彼女がサンドイッチを作って食べさせてくれた。何故か、提供された飲み物はミルクだった。
あの時、家には彼女しかいなかった。普通に考えると(いや、何が普通なのかは判らんけど)、そこで何かあっても良かった。でも、俺と彼女の間には何もなかった。
彼女とはキスはおろか、手を繋いだ事もなかった。友達以上、恋人未満という奴か。それも限りなく友達に近い位置の。

彼女が俺を家に招待した以上、俺に全く興味がなかったというのは考えにくい。だとすると、彼女は俺からのアクションを待っていたのかもしれない。
だが、あの時俺はそういった類の行動を一切しなかった。今思い出すと、「勿体ないことしたなー」である(笑)
彼女の顔は今でも明確に思い出せる。写真一枚残っている訳でもないのに。何か二人の間に特別な事があったという訳でもないのに。むしろ、何もなかったから、良かったのかもしれない。

好きなミュージシャンの思い出話は、必ず女性とセットになっている。いや、俺が無理矢理女性とセットで記憶しているだけなのかもしれないが。